日本列島に台風25号が吹き荒れた10月6日から7日にかけて、日本一の山・富士山に抱かれた広大な朝霧高原では豊かな自然と音楽に惹かれて集う人々が思い思いに過ごし、それぞれが互いを尊重して過ごす居心地のいいフェス、「It’s a beautiful day〜 Camp in 朝霧Jam」が開催されました。

昨年の子連れ朝霧Jamデビューから早1年、例年通り、開催前にチケットが完売した日本のキャンプ・イン・フェスのパイオニアとして人気の高いこのフェスに、我が家も張り切って参加してきました。

今回は、参加2度目となる【こどもフジロック】朝霧Jam’18子連れフェス体験記 〜3歳児とのキャンプ・イン・フェスの過ごし方〜をお届けします。

■はじめに

「また行く! だって朝霧Jamスキ!」

これは今年の朝霧Jamから帰宅した直後、息子が開口一番に発した言葉です。
日々の公園やプレイパークに加え、休日にはキャンプ遊びを重ねてきた我が家。外あそびが大好きな3歳11ヶ月の男児は昨年の朝霧Jam時期と比較して大きな成長を遂げていました。

01-1 【こどもフジロック】朝霧Jam’18子連れフェス体験記〜3歳児とのキャンプ・イン・フェスの過ごし方〜

第一に、昨年の今頃は単語のみの発言だった彼の口からは、上記の通り感情を込めたシャウトが飛び出すようになりました。たった1年、されど1年。拙いながらも自分で考え、作った文章を話せるようになり、フェスの名前やエリア、ステージ名も自然と覚えたようです。

また、ソーセージが食卓に上れば「ペロペロチャンキー(ペロペロキャンディと言いたいはずだけれども正しくはぐるぐるウインナー)がおいしかった」と言い、ムジカ・ピッコリーノを観れば「ムジカ見るの楽しかった。司令官ちょっとだけいたよ。ママ、みた?」と訊いてきたり、絵本にある虹を目にすると「虹みたね。雲から生えてたね」と何かにつけ朝霧Jamを結びつけています。

改めまして、そんな朝霧ロス中の息子の母である子連れフェスライターのドラミです。

(余談ですが、最近、朝霧Jamの公式ページにて「子連れフェスライター」という素敵な肩書き付きで筆者の別記事をご紹介していただきました。語呂もいいので今後は有り難くそのように名乗ることにします)

今年の朝霧Jamでは荒天に泣かされながらも息子のペースに合わせ、自分も楽しみながら過ごすことができました! 今回、朝霧Jamに参加した家族構成は次の通り。

①長男・ドラゴン(3歳11ヶ月/フジロック歴:3回/アサギリ歴:2回目)
②母・ドラミ(兼ライター/フジロック歴:1回目から17回/アサギリ歴:4回目(子連れ参加歴:2回目))

フジロックには参加してくれているものの、昨年の朝霧Jamでは同行をお願いしてみるもキッパリと断られた筆者の実母、ファルコン。今年は話ができるようになってきたドラゴンを投入して「ばあば〜、キャンプいこうよ〜」と言わせてみたものの、普段のアマアマさ加減はゼロで「バァバは行きません。楽しんでらっしゃいね」とまたしても断られました。

キャンプ未体験の70に手が届きそうな女性を口説くのは大変難しく、本当に嫌いというか苦手というか、興味がないようです。

というわけで、昨年に引き続き、我が家の暴れん坊将軍の目付役には独身時代からのフェス仲間の元同僚Aに昨年同様来てもらい、常に助けてもらいました。

昨年の瓦版での子連れ朝霧Jamレポートでは、「初日に会場に辿り着けなかった」とライブに一切触れないフェスレポート書いた、音楽ライターとしてあるまじき伝説を打ち立てた筆者。しかし、その経験から多くのことを学び得たことにより、今年はなんと24組中10組もの出演アーティストを観ることができるという快挙を成し遂げ、至福の子連れフェス2日間を過ごすことができたのです!

そんなドラ家の朝霧Jam体験記。とても長いので、家事や育児、仕事の合間に、休み休みご覧いただけると嬉しいです。

■10月6日(土)曇り⇒荒天

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「夏フェスの興奮とはまた違う、秋の落ち着いた高揚感もまた格別よね」

そんなフェス気分を不穏にさせたのが、台風25号の存在だった。フジロックに続き、朝霧Jamまでもが…と閉口した人も多かったことだろう。そう、台風に襲来される可能性が出てきたのだ。

台風接近と聞いて気になるのはただひとつ、「朝霧Jamは開催するのか、しないのか」だった。

キャンプ・イン・フェスなだけにキャンプ道具が多いから、車に荷物を運搬するだけでも一苦労。万が一中止になったらその重労働が無駄になってしまう。だから準備するにも気が引けて、やきもきしていたけれど、朝霧Jam公式サイトやSNSにて開催宣言が前日のわりと早い時間になされたことで覚悟が決まり、昨年の教訓(悲惨だった昨年の出来事が気になる人はこちらからどうぞ)もあって荷積みは前日にほぼ終わらせ、当日の朝を穏やかに迎えることができた。こういうとき、SNSって本当に便利だ。フォローしているだけで情報が入ってくるのだから。

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それなのになぜだろう。7時出発予定がなんだかんだで8時近くになり、いよいよ出発というところで知り合いの上級キャンパーで昨年“黒富士”という素敵ワードを教えてくれたTさんから「急な車故障で参加を断念する」という報せが入った。
頼りにしていた家族なだけに残念だったが、意外とそういうことってあるらしく、友人Aの似たような過去の残念話に耳を傾けながら、いざ出発!

□往路の交通事情。晴れから濃霧の世界へ

高速道路は中央道が渋滞とのことで東名をチョイス。しかしそこは3連休、高速に乗るまでの下道の時点ですでに渋滞していた。東名はまあまあ順調だった。

バックミラーには母が用意した大きなおにぎりだけでは満たされぬと言い、手が届くところに積まれていたじゃがりこを勝手に取って開けて頬張り始めたドラゴンが映っている。普段ならとがめる所だが、ある意味順調だ。

往きは東京都内から新富士付近までは曇り、途中に晴れ間もあったが富士宮市内に入ると朝霧高原方面の空には黒い雨雲が覆っているのが見えたので、その時点で雨の朝霧Jamになる覚悟をした。まるでアウトドアの達人にでもなったかのような思考に笑ってしまう。

朝霧高原に近づくにつれ、霧が次第に濃くなっていった。朝霧Jamの正式タイトルは「It’s a Beautiful Day〜Camp in朝霧Jam」だが、その名前の通り、霧が立ちこめる朝、会場に向かう一本道では20m先が見えないほどだ。高原に入った途端に薄暗い空と霧の世界が広がったのは幻想的だけれども、運転する身には少々怖さも感じられた。

霧の中を走ること十数分、とうとう会場となる朝霧アリーナが見えてきたがそこはスルーして、さらに車で10分ほどの距離にあるオートキャンプ場「ふもとっぱら」に向かった。予定よりも1時間半オーバーの正午12時、到着!

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1年ぶりにもどってきたふもとっぱらは、やっぱり雨が降っていた。もちろん富士山も見えない。でも無事辿りつけて嬉しい! ただいま、ふもとっぱら!

12時ともなると車とテントがかなり埋まっている状態。雨でぐちゃっと泥濘んでいる部分も多くて敷地選びに悩んだものの、トイレと水場まで徒歩1分程度で便利だった昨年と同じエリアにテントを張ることにした。昨年の息子はオムツだったのでそれほど気にしていなかったこの距離感だが、子どもはトイレを待てない。それに雨のキャンプならすぐに行けたほうがいいに決まってる。

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14時から始まる今年のRainbow Stageトップバッター、ムジカ・ピッコリーノに間に合わせるために急いでテントやタープの設置する大人に「ムジカは? ねえ、ムジカは?」と延々煽りを入れてくるドラゴン。他の出演者ならまだしもドラゴンの最も楽しみにしているアクトなだけにテントのフライシートの処理を終えられないまま、とりあえず張るだけ張ってシャトルバスで会場へ。

「ムジカーーーーー!」
シャトルバスを降り、叫びながら音の鳴るメインのRainbow Stageへ一目散にダッシュするドラゴン。それを追いかける形で我が家の朝霧Jam本番が始まった!

□ムジカ・ピッコリーノを観る

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我ら親子のお目当てムジカ・ピッコリーノのステージが始まるのを見計らうかのように雨が止んだ。The WhoやEarth, Wind & Fireといった往年のロック・ナンバーから山口百恵や水前寺清子の昭和歌謡まで網羅する、OKAMOTO’Sのオカモトショウ、長岡亮介、ハッチェル楽団率いるハッチハッチェル、ROLLYらが参加するEテレ発の豪華なテンポラリー・バンドを一目見ようと集まった子連れ参加者がわんさかいた。フェスにおける大人も子どもも楽しめるアクトは真に貴重である。

しかし! 母は慌てていたせいでイヤーマフをテントに忘れてくるという失態を犯してしまった。ドラゴンはときより耳をふさいではイヤーマフがないことにプンスカ怒っていたので「自分の持ち物は自分で持ってきてください」と毅然と伝えたらパンチが返ってきた。なんだ、それと思うも「3歳児はまだ動物なのよ」という柴田愛子さんの言葉を思い出して気持ちを静める。

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中盤、お気に入りのピッピこと西條妃華ちゃんが見えないと言うのでフローラが美声を轟かせている間にセンターへ移動。推しを目視できたドラゴンは「ピッピ、いた♥」と満面の笑みでにやつきながら最後まで集中して観ていた。

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一方、すかんち世代の母は司令官ことROLLYを探すも姿を発見できず落胆したが、ラスト2曲「Over the Rainbow」と「365歩のマーチ」では満を持して登場した姿に歓喜した。怖いぐらい歳を取らない人だ。

11-1 【こどもフジロック】朝霧Jam’18子連れフェス体験記〜3歳児とのキャンプ・イン・フェスの過ごし方〜