■7月28日(日)

○朝

朝5時。Twitterをチェックすると会場に続く国道17号の封鎖やシャトルバス運行停止といった情報を見て飛び起きた。窓の外は空一面を雨雲が覆っている。ほどなくKiuのInstagramに投稿された画像に目を見開いて絶句。

@kiu.worldparty

とはいえ「3日目も開催する」という公式ツイートを確認できたので会場へ。ケロポンズのステージを目指してアバロンへ歩いた。グリーンステージを抜けると水没エリアがあって迂回。前日にギターやドラムで遊んだ場所が水浸しだ。

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○昼

アバロン到着。タマゴ探し改め、ゴンちゃんハントをできずにいたドラゴンは、アバロンのスタッフが作った偽ゴンちゃんを手に入れた。

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昨年の同ステージでは途中で空腹となった教訓から、「朝霧食堂」でぐるぐるウインナーとシチューを買ってからステージ・エリアへ移動。3歳のときは見知らぬ人にお菓子をもらっていたけれど、4歳になったら3歳のハナちゃんとウインナーを分け合える優しいお兄さんに進化。周囲の子どもたちも食べたり、遊んだり、寝たりとそれぞれのスタイルでケロポンズの登場を待っていた。

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そこへ、ケロポンズ登場! 待ちにまったケロポンズのライブがスタートし、みんな思い思いに踊り始めた!

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Ⓒ Tsuyoshi Ikegami

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ケロポンズの大ヒット曲「エビカニクス」では前日の雨で買ったばかりの赤カニツメが濡れてしまったのでいつもの黒カニツメで参加。カニツメまで予備が必要になるとは、フジロックおそるべし! 結成20周年のケロポンズのライブは「ツイてる!ツイてる!」「にじ」など大盛況のステージだった。ライブ後はハナちゃんと手をつないでキッズランドへ。

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水たまりなどで立ち止まるたび、遠くで見守るファルコン。もうすっかり苗場に馴染んでいる。

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川は増水で立ち入り禁止になり、前日までいたゴンちゃんも見えない。二人は真剣な表情で「ゴンちゃんは歩いて家に帰った」「いや、走って逃げた」とゴンちゃんの安否について話し込んでいたので、なぜ川が増水したのか、なぜ危険なのかなども伝えることができた。

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キッズランドに到着すると、遊ぶ子どもたちの多いこと! 昨日の大雨が嘘のようなキッズの森だ。古き良き遊びベーゴマ遊びも受け継がれ、持ち駒を持参した小中学生が真剣勝負をしていた。

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○夕方

「森のフィナーレ」では、ケロポンズ、鈴木翼くん、ふーちんと共に大声で「にじ」を歌う子どもたちの合唱を聴いて、子連れ4回目の今年もまた泣いてしまう。この場所でこの歌を聴くと育児をしていることへのご褒美をもらえたような有り難い気持ちになるし、元気をもらえる。もしかしたらドラゴンよりも母のほうが大好きなステージかもしれない。

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フィナーレが終わってもキッズランドから子どもの姿は消えず、ワークショップやダイナミックな手作り遊具は常に鈴なり状態。ドラゴンもシャボン玉作りの和に加わって一瞬たりとも休まずに遊んでいた。

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17時。眠さの限界に達したドラゴンの姿を見て、一度宿へ帰り、夜起きられたら40周年を迎えるTHE CUREを一緒に見ようと本人に提案するとあっさり「そうする」と言ってバギーへ。道中、朝は閉店していたコゼットジョリが空いていたので「ネイルやってみる?」と言うと復活し、数秒で「コレにする!」と選んだ色は苗場の空の色をしたフジロック限定カラーだった。すごいな、4歳!

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今年<フジロック>でやりたかったことは全部やったはずのドラゴンは数分で夢の世界へ。起きたら迎えに行くからとファルコンにお願いして宿へ戻ってもらったけれど、やはりまだ4歳。睡魔には勝てずにドラゴン4回目のフジロックはここで終了。翌朝まで深く眠り続けた。

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○夜

2人を見送った後はキッズランドで多くのファミリー写真を撮った。森の番人・ヤスさんと話し込んでいたのは毎年子どもと来場するお父さんだそうで、1年に1度会える物語は織り姫と彦星の二人だけではなく、<フジロック>で過ごす大人や子どもにも存在する。

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そんな素敵な話を聞いたところで今年のキッズランドは終了。その後、平沢進+会人、ロバート・スミス率いるTHE CUREを見てからジェイムス・ブレイクへ移動。最初から調子悪そうだなと思って見ていたのだが、やはり体調不良だったと後で知った。残念。

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ホワイトステージを後にし、G&G Miller Orchestraの音に耳を傾けながらゲートにある来年の日程を確認。場外で一杯飲んで母の<フジロック>も終了した。

■7月29日(月)

○朝

帰宅する朝、もらった偽ゴンちゃん手に「これはニセモノ。ホンモノのゴンちゃんがほしい! 探しにいこうよ!」と叫んだ。ハントに成功した石川家が本物を見せてくれたことで本物との違いに気づいてしまったようだ。困る母に為す術はなく、「来年のフジロックで探すしかない」と真っ当な説明をするしかなかった。

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帰路中、「フジロックどうだった?」と聞くと「たのしかった!」とのこと。「何が一番楽しかった?」の問いには「森のステージ! だって楽しいから! みんなと一緒に歌ったし!」との嬉しい答えを聞けて、連れて行って良かったと今年も思えた。だって森のステージは<フジロック>にしかないのだから。

帰宅後、ランチに食べたいものを尋ねると「チャーシュー!」と即答されたので、出発したときと同じお気に入り店で佐野ラーメンを食べた。お店のお姉さんに「なおちゃん、フジロック行ってきたよ!」と常連ぽく報告。

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それから実家でのんびりし、翌日帰宅。母は洗濯ものをやっつけながら今年も無事に終わったことにホッとする反面、ストーンド・サークルにもピラミッド・ガーデンにも観たかったライブにも行けなかったことをちょっぴり反芻していた。それを見透かしたかのように「5歳になったらまたフジロック行くんでしょ?」とドラゴンから言われてドキッとした。子どもって本当に鋭い!

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【あとがき】
あの豪雨を経たにもかかわらず、帰宅後「今年は楽だったわ〜」と話すファルコンのタフさにも驚かされましたが、荒天からの影響よりも子どもの成長がそれを上回って作用したと感じたのは筆者も同じでした。1歳の時よりも2歳、2歳よりも3歳という風に、自己主張と意思疎通ができるようになったドラゴンの成長は大人2人を精神的にも肉体的にも楽にさせてくれましたし、過去の経験と天気予報から“無理はしない” を家族全員で徹底できたことが我が家の4回目のこどもフジロックを最良の時間にした鍵だったように思います。遊んでくださった方、手を貸してくださった方、ありがとうございました。

冒頭で触れましたが延べ13万人となった今年の<フジロック>来場者のうち、約5千人が中学生以下の子どもだったそうです。しかしながら、今年は来場者のマナーの低下がひどく目立ち、子どもには見せたくない光景に何度か出くわしました。

問題と感じたのは場内で禁止されている傘の使用、椅子をたたまずに運搬する他人に怪我をさせる可能性大の危険な行為、歩きタバコ、プライオリティ・テントエリアでの場所取り、そしてゴミのポイ捨てです。前を歩く人の傘で目を突き刺されそうになったり、歩きながらタバコを吸う人のタバコを持つ手がドラゴンの顔をかすめたり、折りたたまずに運ばれていたむきだしの椅子の脚がファルコンの頭にぶつかったりと散々で、自分たち家族の身にも危険が及んだのは初めてでした。

また、椅子やシートの放置や場所取りは一時的であっても全面禁止されているにもかかわらず、プライオリティ・エリアにおいてデコレーションまで用いて陣取る放置シートには子連れと思しき荷物も置かれていました。こうした一部の人の迷惑行為によって「これだから子連れは!」と批判されるのは同じ子連れとして大変迷惑ですし、とても残念に思います。

こうした著しいマナーの低下は、これまで経験したことのない強烈な豪雨によって参加者の気力体力が奪われたことに起因すると私は考えていますが、上記に挙げたことは自由な<フジロック>に定められている数少ない禁止行為です。他人に危害が及ぶ、環境を破壊する行為はどんなに辛い状況であっても皆で守ろうよというのが長年参加している者としての本音です。とはいえ、自分も完璧ではないので「人の振り見て我が振り直せ」の精神をもって人生を豊かにしてくれる<フジロック>に今後も参加し、楽しみながら、たくさんのことを家族と一緒に学ぶつもりです。

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text and photo by 早乙女 ‘dorami’ ゆうこ
photo by Masanori Naruse(THE CHEMICAL BROTHERS, RED HOT CHILLI PIPERS, MITSKI, ASIAN KUNG-FU GENERATION, SIA, JAMES BLAKE),Taio Konishi(GEZAN, THOM YORKE TOMORROW’S MODERN BOXES, DEATH CAB FOR CUTIE, THE CURE, 平沢進+会人),Tsuyoshi Ikegami(ケロポンズ)

<こどもフジロックFacebook>では、フジロックに子連れで参加する人にとって役立つ情報の収集、発信、シェアを呼びかけ、皆で助け合い、子どもも大人もフジロックを思いっきり楽しもうという想いが活動のベースにあります。<こどもフジロックFacebook>では、役立ち情報のシェアを呼びかけています。子連れで不安に感じていることなどを、子連れ参加経験のある方は体験談をシェアしてください。