前回、フェスファッションについて異議申立てをしたあと「偉そうなことを言いやがって。じゃあお前はどんな格好で<フジロック>に行っているんだ」という批判が幻聴で聞こえてきたので、今回はそれについて書きたいと思います。その前に、<フジロック>に行きたいけれど行かない人って、身のまわりに10人はいるじゃないですか。「一生に一回は行きたいよね」と言っているそこのあなた、たぶん一生行かないでしょう。だって、ただでさえお金がないのに、電車代を払って、宿まで取って、さらには装備まで揃えなきゃいけないなんて、考えられませんよね。チケット代も合わせるとざっと10万円はかかりそうです。可処分所得が少なくなる一方のいまの状況で、それはなかなか無理なお話。人より稼いでいる人はたいてい忙しくて休めないしね(前夜祭〜最終日のクロージングアクトまで滞在する場合、木曜日〜翌週の月曜日までは休みたい)。

で、音楽とファッション両方で消費が止まらない私のような人間は、余計にそういうことを考えるわけです。みみっちいですが、仕方ないです。<フジロック>に出演するアーティストのレコードも買わないかんしね! でも、だいたい毎年行くわけです(もちろん、3日フルで参加せずに、1日、2日だけというのも半分くらいあります)。初めて参加したときはこう思いました。僕は最新型のマウンテンパーカも、たくさん収納できるリュックも、登山靴も持ちあわせていないぞ、と。でも、自称“フジロックラヴァー”たちは口を揃えてこう言う。「やっぱり自然を舐めちゃいけないよね」。うう、<フジロック>とはそんなに大自然のなかで行われるものなのか……信じがたいスコールが降って(これは本当に降る)、ヤバい虫なんかも出るに違いない。でもお金がない。とりあえず、シャカシャカ系のアウターだけは古着で買って、靴は着脱しやすいローファーで行こう。

「そんなんじゃダメだよ!」という声が聞こえてきそうですが、分かっています。たしかに、ローファーは色んな人たちに突っ込まれました。でも、このローファーめちゃくちゃすごいんですよ! まずは、見て! これ!

resize_nagahata_2 実際に着たフェス・ファッション〜足下編〜

アメリカのデクスターというメーカーのもので、素材はゴムのような革です。こいつで<フジロック>の地を何回も踏んでいますが、さすがアメリカ製、細かいところは雑でもとにかく壊れない。泥まみれになってもガシガシに手洗いして干せば、翌日には復活しています。会場には蛇口もあるので、そこでよく足を洗って、濡れたまま履いています。まわりがボッテリとしたシューズを履いているなか、自分がちょっとだけ洒落ているのはけっこう良い気分です。すいません、ファッションってそういうものなんですよ。天邪鬼で、アホに思われるかもしれないですが、自分で選んだものを身に付けることが誇りなんです。雪山にショーツで入るのは危険ですが、個人的に(というエクスキューズつけるのは嫌だけど)<フジロック>にデクスターで行くのはそこまで危険じゃないと思います。これで足を怪我しても自分の責任ですが、幸いまだそんな目にあったことはありません。それはみんなが危ないゴミを捨てないおかげかもしれないですけど。

次回は僕が<フジロック>で愛用しているドンキの雨合羽について書こうかな。“フジロックラヴァーズ”から苦情が出て炎上しなければ。

7d91004b6fff1ccfe845364098e9ed9f-m44zz26cf6h1kjdzs5awiwfejyshsxv70i17q2go7c 実際に着たフェス・ファッション〜足下編〜

著者プロフィール:長畑宏明

1987年生まれ/編集者
2014年に『STUDY』というファッション雑誌を出版しました。音楽、ファッションの分野でライターの仕事もしています。悪口とべた褒めが好きです。生来のものぐさですがやる気はあるので、よろしくお願い致します。
Lift公式サイト:lieeeft.com
ブログ:howtodancewithyou2015.blogspot.jp