5年ぶりの出演、G・ラヴが語る“これまで経験してきた”フジロックの光景

<フジロック>には小さめのステージもたくさんあって、ゲートの外にも「ザ・パレス・オブ・ワンダー」というステージがあるのをご存知ですか?

知っているよ。今年はそこでライヴを行うんだ。あれ? まだ言っちゃだめだったかな?
(担当者に確認)

お! 話してOKみたいだね! 実は、今年は2回ライヴを行うんだ。土曜日はフィールド・オブ・ヘブンで、最終日、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのあとにパレス・オブ・ワンダー。DJ、ギャズ・メイオール、そして僕らが最初のバンドとしてプレイする予定だよ。最高だよね。トシ(スマッシュ/ブッキング担当者)に、その時間はレッド・マーキーとそこくらいしかライヴをやっているところがないからかなり盛り上がると思うと言われたよ。土曜日はフィールド・オブ・ヘブン。広々とした風通しの良い場所でライヴをやって、その翌日はG・ラヴ&スペシャル・ソースのクラブ・セットをやってね。かなりスペシャルな夜になりそうだよ。

初パレスなんですね! パレスではよくミュージシャンの方を見かけるもので、もしかしてG・ラヴさんも行ったことがあるのではと思いました。

<フジロック>は大規模なパーティー。だからこそ良いコンディションでステージに上がるためには注意が必要なんだ。土曜日にプレイするなら、夜通しで遊んだりはしないな。いや、するかもしれない、いや、きっとしないな(笑)。これまでで、良いロックスターになるのか、悪いロックスターになるのかについて学んだんだ。夜通しパーティーをするのが良いロックスターなのか、それとも睡眠をとるのが良いロックスターなのかってね。両方だよね。ロックスターなら、夜通しパーティーするべきだよね? でも、それでひどいショウを行ったとしたら、それは良いロックスターじゃないと思うんだ。そのバランスを取らなければならない。だから、そこで夜中に僕のことは見かけてないと思うな。なぜならほとんどの場合、僕はライヴに備えてエネルギーをセーブしているから。夜通し様々なライヴを観てまわりたいという気持ちもあるんだけどね。良いライヴをしていなければ、何度も呼んでもらえなかったと思うし。今回は5回目なので、きっと良いライヴが出来ているんじゃないかな。ハハハハハハハ(笑)。

プロフェッショナルですね!

ハハハ(笑)。いや、いつもじゃないんだけど、そう出来るように心がけているよ(笑)。

今年のフジロックで5回目の出演となりますね。<フジロック>のステージはどんな雰囲気になりそうですか? 2つのショウは全く違うものになりそうですか?

今回みたいにフェスティバルで2回ショウをやる時は、同じ曲をプレイしないよう心がけるから、全く違う内容のライヴになると思うよ。

ニューアルバム『ニュー・セイヴス・ザ・デイ(2015年秋)』の曲も聴けますか?

そうだね、もちろん。僕、ベースはジミー・ジャズ、ドラムはハウスマン、この3人によるオリジナルのG・ラヴ&スペシャル・ソースでプレイする。それ自体がすごくスペシャルなんだ。どんなバンドでもG・ラヴ&スペシャル・ソースの曲をプレイすることは可能だけど、人々に親しまれた、元々のレコーディングでプレイしているメンバーの演奏で、収録曲をライヴで聴けるのは、まさに「本物」。全てのパートは3人でつくりあげたものだからね。パフォーマンスにもパワーが宿っている。演奏を通してそれが伝わるんじゃないかな。

おお! それはかなりスペシャルなパフォーマンスになりますね!

今考えているのは、初期の2〜3枚のアルバムからのヒット曲、ここ2枚のアルバムからの新しめの曲と、他の作品からも散りばめようと思っている。あとはその日にプレイしたいと思った曲を演奏するよ。あと、僕はオーディエンスのエネルギーを感じ取るのが好きなんだ。ライヴを行う時、セットリストは作る。でも、それ通りにはプレイしない。それに縛られることはないんだ。「音楽に従え」というのが僕のゴールだと思っているからね。曲をプレイしながら、次に何をプレイするべきかがわかるんだ。今はこういう状況で、次はここに向かいたいというのが明確にわかるんだ。計画は立てる。それは良いことだと思うんだ。そして、山頂を目指すんだ。どの方向からどんな方法で進んでも良いけど、ショウの終わりにクライマックスを持ってくること。そしてオーディエンスに、もっと聴きたいと思わせること。それが僕のゴールだね。あとは、毎晩その日特有のライヴを行うこと。その瞬間、その場所にいる人たちのために、自分が持っている全てを出して、人々に笑顔で踊って、楽しんで、何かを感じ取ってもらいたい。僕たちが感じられれば、きっとオーディエンスも感じ取ってくれるよね。

これは2つのパフォーマンス両方を観なければですね。

全く違うステージになるから、僕たちのファンの人は両方観にきたほうが良いかもね。良いライヴにするよ!

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2枚のアルバムから主にプレイするとのことですが、『シュガー』はG・ラヴ&スペシャル・ソース名義で8年ぶりにリリースした作品で、新作の『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』も同じくG・ラヴ&スペシャル・ソース名義でリリースした作品。最新作(や前作)を作る際は、“スペシャル・ソース”と共に打ち出した90年代初期の“ヒップホップ・ブルース”への原点回帰を意識しましたか?

『シュガー』と最新アルバムはなんとなく対をなしているんだ。その前に『フィクスィン・トゥ・ダイ』をリリースしているんだけど、それは原点回帰的なアルバムで、コーヒー・ショップやストリートで演奏しているような、ソングライターとしてのルーツを意識した作品。そこから、ブルースと再度コネクトして『シュガー』を作った。『フィクスィン・トゥ・ダイ』で、プロトゥールスや編集などのプロダクションをあまり行わずに生の音を大切にしたライヴ・レコーディングを再度行い、そこからまたエレクトリックなアルバムを作ろうと思ったので、『シュガー』は、一周して「ヒップホップ・ブルース」というバンドの音楽のオリジナル・コンセプトに戻って制作したアルバム。僕たちにとって、最高のアルバムだったよ。『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』は色々な面で、少なくとも僕にとっては、『シュガー・パート2』みたいな作品だな。『シュガー』で自分たちのスタイルを再確認して、それを更に推し進めた作品。『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』では、「ヒップホップ・ブルース」を前に出して出して出して、ロックンロールな作品になった。でも、本当の意味でいうと、ロックンロールというのは、努力なんかしなくても突然ロックンロールしているものなんだけどね(笑)。

フェスティバルで出会ってコラボに発展したという話が出ましたが、最新アルバムにもたくさんのアーティストがフィーチャーされていますね。「この曲にはあのアーティストに参加してもらおう!」など、曲をつくりながら明確なヴィジョンがあったりするものなのですか?

そのような時もあるけど、そうじゃない時もあるな。ロス・ロボスのデイヴィッド・イダルゴが『シュガー』、そして『レモネード』にも参加してくれているんだ。彼は音楽のレベルを引き上げてくれたよ。『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』ではレコーディング初日に来てくれて、アルバム最初の3曲は彼とコラボレートしたんだ。シティズン・コープとは“ミューズ”を一緒につくり、ほんとに良い曲が出来たと思ったね。あとはルシンダ・ウィリアムスや、オゾマトリ。レコーディングの2日目には、マーク・ボーイスが来てくれた。彼は、元G・ラヴ&スペシャル・ソースのメンバーであり、90年代前半のフィラデルフィアのバンド、ザ・ゴーツのメンバーでもあった人。ザ・ゴーツ、覚えている人はいるかなぁ、ヒップホップのバンドだよ。マークと、ジャック・ジョンソンのドラマー、アダム・トポールも参加してくれた。彼はパーカッションもプレイできるので、そのために参加してくれた。曲を書くときは、ゲストのためというより、スペシャル・ソースのジミーとジェフのために書くことが多いんだ。それで、ゲストが来た時に、どの曲だったら素晴らしいパフォーマンスを披露してもらえるかを考える。来てくれる人に合わせてカスタマイズするんだ。

G・ラヴ&スペシャル・ソース“&フレンズ”みたいですね。

そうなんだ。それが、『ラヴ・セイヴス・ザ・デイ』のまた別の側面だったりするんだ。スタイル面では『シュガー』路線で行くことを決めていたので、他のアーティストに参加してもらったり、他の人のヴォーカル・パフォーマンスを楽しんでもらいたいと思ってね。作っているのは相変わらず僕らだけど、アルバムごとに違うものを作りつづけるべきだと思うからね。既にたくさんのアルバムをリリースしているから、また聴いてもらえるように色々試みているんだ。今回みたいにスペシャルな友達に協力してもらったりしてね。

90年代初期の“ヒップホップ・ブルース”への原点回帰という話がでてきましたが、日本でもここ数年前から90年代のリバイバルが起きています。

本当? デカしたね、俺(笑)。

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その時代に音楽を発信していたアーティストのひとりとして、このように90年代の音楽、文化、ファッションなどが再解釈されることについてどう思いますか?

クールなことだと思うよ。僕のキャリアは20年に渡っていて、最初の10年と次の10年の間に、最高の音楽と最悪の音楽をそれぞれ作ったと思っている。時に、成功をおさめると実験的なことをしてみたいと思ったりするからね。アーティスティックなダークだけどポップな作品とか、ダークだけどロックンロールな作品とか。そのなかで最高だと思う作品もあれば、もっと良い作品を作ることが出来たんじゃないかと思ったこともある。それはしょうがないよね。90年代は多種多様な音楽が生まれた、音楽の過渡期だったような気がする。年を重ねてから振り返ってみると、重要な音楽がたくさんあったと思う。そして今の若い世代に影響を与えたんじゃないかと思うんだ。思い返すと僕たちもなかなか良い仕事をしたんじゃないかなってね! 僕たちが登場したのはベックと同じ時期なんだ。デビュー作がリリースされたのが1ヶ月違いとかそのくらいの差。彼の方が商業的には成功を収めているけど、思い返すと、僕とベックは自分たちのスタイルでラップしていた唯一の白人アーティストだったと思うよ。ガレージ・バンド的なロックンロールとヒップホップがミックスしたようなスタイルをやりだしたんだ。それまではやっている人がいなくて、カリフォルニアで彼はそのスタイルを思いつき、フィラデルフィア、ボストンで僕が思いついた。お互いのことは知らないけど、僕らは80年代にヒップホップを聴いて育ち、ブルースとロックンロールを弾けるように練習した白人の子供だったんだ。

なるほど、接点がその時代に聴いている音楽や文化であったわけですね。

そう、ベックや僕たちが成功したことで、後に登場する様々な音楽に影響を与えたと思うし、ヒップホップの要素が入ったロック・ミュージックにも影響を与えたと思う。たとえば、デトロイトのミシガン州ポンティアックでライヴを行ったことがあって。そこで今はすごく有名になっているアーティスト、ジャック・ホワイトとキッド・ロックと話したんだ。まだ頭角を現わす前の彼らが同じショウを観に来てくれていた。クールだよね。ジャック・ホワイトは僕たちのブルースのサウンドやヴィンテージ楽器を使用するスタイルに影響を受けていたのかもしれない。ザ・ホワイト・ストライプスが出てきた時、彼はヴィンテージ・ギターを使って、ポリエステル製のスーツを着ていた。それはまさに僕のスタイルだったからね。キッド・ロックは元々ヒップホップのアーティストだったけど、今はロック色が増している。多くのアイディアが行ったり来たりしているよね。

ザ・ブラック・キーズのダン・オーバックいるでしょ? 彼は高校時代、バーでG・ラヴ&スペシャル・ソースの曲をカヴァーしていたみたい。ジャック・ジョンソンやアヴェット・ブラザーズも大ファンでいてくれたみたいだし。自慢しようとしているわけではなくて、僕たちは次の世代とか、同じ世代やちょっと若い世代の人にとって重要な音楽を作っていたのかもしれないし。ベン・ハーパーもそう。僕たちは同じ時期に世界中の人たちにインスピレーションを与えることができたのではないかと思う。90年代の音楽が再評価されているんだとしたら、クールだよ。時間をかけて証明されたということだよね。

20周年を迎えた<フジロック>、次の20年に向けて<フジロック>に必要と思うことや期待することはありますか?

2〜3年に一回はG・ラヴを呼んだほうが良いんじゃないかな!?(笑)。いや、いつも言っていることなんだけど、僕たちは世界中のあらゆるフェスティバルでプレイしていて、<フジロック>は最高のフェスティバルのひとつだと思うよ。なんて言って良いのかなぁ。ブッキング面でも素晴らしい仕事をしていると思う。リオン・ブリッジズなど、才能のある若いアーティストを招くだけじゃなく、フェスティバルにお馴染みのアーティストも多く呼んでいるしね。だから年月を重ねるうちに、コミュニティーができているよね。なぜなら、フェスティバルは年間を通してプレイしている一定のアーティストに対して義理堅かったりするから。僕は、それって重要なことだと思うんだ。僕たちもこれまでに何度も呼んでもらえているのは光栄だしね。素晴らしいフェスティバルなので、戻ってくるのが待ち遠しいよ。

<フジロック>は、Gラヴとしても世界中のフェスの中で特に好きなフェスのうちのひとつということですね?

間違いなくそうだね。アメリカには<ボナルー>という大きなフェスティバルがあるんだけど、これは良いフェスティバルだよ。<フジロック>に似ている巨大フェスで、ヒップホップ、ロックンロール、インディー・ロック、レゲェなど、ある種の一貫性があるんだ。あとは<グラストンベリー>だね。自分がプレイした中で音楽的に重要だと思う3大フェスは、<フジロック>、<グラストンベリー>、<ボナルー>だな。

最後に<フジロック>でのパフォーマンスを心待ちにするファンに一言お願いします。

忘れずにポンチョを用意すること(笑)。そして踊る準備をしてきてね。食べ物を買うために列に並んでいる僕を見かけたら、オススメを教えてね。もし夜中に僕を見かけたら、「翌日のショウに備えなくて大丈夫?」と声をかけてね、ハハハハハハ(笑)。いや、本当にまた<フジロック>でプレイ出来るのを楽しみにしているよ。<フジロック>に出演できるのが待ち遠しいし、みんなが聴きたい曲や、新しい曲をプレイ出来るのを楽しみにしているよ。そうだ、もしリクエストがあったら、ツイッターやインスタグラムから連絡してね。

おおー! リクエストに答えてくれるんですか?

みんながどんな曲を聴きたいのか知りたいし、しばらく演奏してない曲だったら、準備しておくことが出来るからね(笑)。

Interviewed by Yuriko Okamura
photo by 横山マサト
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