5回目の<フジロック>出演が決まったG.LOVE&SPECIAL SAUCE(Gラヴ・アンド・スペシャル・ソース)。苗場に移った年が初参戦となり以降、様々なステージにて出演を果たしてきた。今回、5月下旬に行われたGラヴ初のソロ公演で来日した際、本コーナー「TALKING ABOUT FRF」の取材現場に現れてくれた。取材場所となったのが、<フジロック>のオアシスエリアにておなじみの出店バーでもある「レッドシューズ(RED SHOES)」だったこともあり、店内のロックな雰囲気やDJブースを熱心にチェック。リラックスしたムードのなかインタビューがスタート。Gラヴが今までに体験した<フジロック>の思い出、そして今年どんなステージでどんなパフォーマンスを予定しているかなどを丁寧に語ってくれた。

そしてなんと! インタビューが終わったと同時にギターを取り出し即興でパフォーマンスを魅せてくれた。調子に乗った瓦版編集部は大興奮しながら「もう1曲!」とアンコールしたことに対しても、Gラヴは笑顔で「OK!」と快諾。なんとなんと、続けて2曲目も披露してくれた。こんな贅沢なシチュエーションを瓦版編集部は独り占めしません。ファンの皆さまにもお届けすべく、もちろん動画に収めてきました。Gラヴの即興パフォーマンスはページの最後に、インタビューと合わせて<フジロック>前の気持ちを高める贅沢なスパイスとして必読・必見です。

INTERVIEW:Gラヴ

MG_5283-1140x760 5年ぶりの出演、G・ラヴが語る“これまで経験してきた”フジロックの光景

Gラヴ・アンド・スペシャル・ソースとして5年ぶりのフジロック出演。フジロック初の出演が2000年、1日目のレッド・マーキーでしたね。苗場で開催された2回目のフジロックでこの年は、フー・ファイターズやエイジアン・ダブ・ファウンデイションやケミカルブラザーズなどが出演していた年です。フジロックの初めてのステージからみた光景を覚えていますか?

そうだね、テントでプレイしたのをよく覚えているよ。縦に長いテントのステージ(レッド・マーキー)だよね。大勢の人が集まってくれていたのを覚えている。ミュージシャンというものは、ソールド・アウト・ショウをどれだけ経験していたとしても「観に来てくれる人はいるのかな?」と、 常に不安な気持ちになるものなんだ。だから、ステージに登場してたくさんの人が集まってくれているのを見た時は、マジで最高な気分なんだ。<フジロック>のお客さんは凄くエネルギッシュな人が多いといつも思う。アルバムに入っていない曲とかあまり知られていないような曲に対してもクレイジーに盛りあがってくれたのを覚えているよ。たまに、そのように何をやっても上手く行くようなショウがあるんだ。エネルギーがどんどん高まっていくような、とてつもなく情熱的だった光景が記憶に残っているよ。

なるほど、不安な気持ちがありながらも出演した初<フジロック>は大成功のステージだったんですね。

僕らはアメリカから来たし、飛行機に乗ってやって来るミュージシャンにとっては、毎回体力的にキツかったりもするんだ。ホテルには出演するアーティストがみんな泊まっていて、当時は夜通しパーティーが繰り広げられていたから寝ようと思っても寝られないんだよね(笑)。ただでさえ時差ぼけでなかなか寝られないのに壁を叩く音がしたり、廊下で人が怒鳴っていたりでね。「寝かせてくれよ〜!」って思ったり、あるいは、自分もそこに混ざって壁を叩いていたり。だからいつも、なるべく睡眠をとって、大規模なライヴに備えるというのを意識していたかな。それはかなりのチャレンジではあるんだけどね。でも、そんな疲れた状態でステージに上がると、逆に良いエネルギーが生まれることがあるんだ。なんというか、ある意味感情面が弱っている、時差ぼけの影響で開放的になっている、と言えば良いのかなぁ。「よし、頑張ろう!」というような必死さが、良いパフォーマンスを引き起こす。関連づけるのは変かもしれないし、毎回上手くいくわけじゃないけど、たまに凄いものが生まれるんだ。

山に囲まれている<フジロック>の環境がパフォーマンスに影響を与えるという風にも思いますか?

そういうこともあるよ。<フジロック>ではよく雨が降るよね。土砂降りなのにファンたちは雨具に身を包んで<フジロック>をエンジョイしている。ファンの熱心さには驚いたよ。さっきも言ったように、彼らはすごく情熱的でエネルギッシュ。そこには、都会の喧騒、両親、仕事などから逃れてきた4万人の人が週末に音楽からインスピレーションを得るために遊びにきてパーティーしている。お客さんも開放的になっているから、そのエネルギーに僕も刺激を受け、自分が刺激を受けたということによって音楽も更に刺激され、まるでテニスの試合みたいにお互いがお互いを刺激しあってその度合いが上昇していくんだ。東京はすごく密集していて人も多いし、ビルの上にまたビルが建っているような印象がある。そんな隙間がない場所から山にきてゆっくりするのは良いよね。本当に美しい会場だと思うよ。

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2回目の出演は2003年。<フジロック>ではオレンジ・コートが新設された年でした。この年、Gラヴは1日目と3日目の2つのステージに出演を果たしましたよね。3日間通しての<フジロック>を堪能した年でもあったと思いますが、それぞれ違うステージでパフォーマンスをしてみてどうでした? 覚えていますか?

ハハハハ、確かに3日間過ごしたね(笑)。特にフィールド・オブ・ヘブンは何回かプレイしたことがあるのですごく良く覚えているよ。フィールド・オブ・ヘブンはヒッピー・ステージといか、ジャム・バンドが多く出るようなイメージがあるステージだよね。レッド・マーキーはいつも人が密集している印象だけど、フィールド・オブ・ヘブンはちょっと空間があって、それぞれが好きなようにダンスできるような印象。そうだ、ある年、ガヴァメント・ミュールがフィールド・オブ・ヘブンでプレイしたのを覚えているよ。(注:2007年にG・ラヴはゲスト出演してハーモニカをプレイ)彼らはアメリカではかなりビッグなバンドなんだけど、そんな彼らが僕らにステージに参加してくれないかと声をかけてくれた。ウォーレン・ヘインズに誘ってもらえるなんて、本当に光栄なことだったよ! クールな体験だったな。それは鮮明に覚えている。あと、ベン・ハーパーがフィールド・オブ・ヘブンでプレイした時、確か「一緒に何かやろう」と言われたのに行けなかったのを覚えているよ。でも確かステージで僕らを紹介してくれたり……。

そのように、アーティスト同士のコラボレーションが観られるのもフェスの醍醐味ですよね。

そうだね。ミュージシャンにとってフェスティバル文化というのはとても重要だと思うんだ。<フジロック>や、世界中のフェスティバルに出演して、自分が崇拝しているミュージシャンや、会ってコラボレートしてみたいと思っているアーティストと知り合うことができた。ドノヴァン・フランケンレイター、オゾマトリ、シティズン・コープなどなど、これまでの殆どのコラボレーションはフェスティバルで知り合ったことがきっかけで生まれているよ。ファンの人にとっても、そのようにアーティスト同士がジャムしているのを観られるのはクールだと思うけど、僕たちはそこから多くの友情が生まれているんだ。僕たちはいつもツアーをしていて、ほとんどの場合は自分たちのショウを行っているから。こうやってまた<フジロック>に参加することで、もしかしたらレッド・ホット・チリ・ペッパーズに会えるかもしれないし、仲の良い友人であるベン・ハーパーも来るから、彼らに会えるのも嬉しいな。ジェイク・バグに会えるのも楽しみだし、1995年から知り合いのボアダムスもね。あとリオン・ブリッジズも最高だよ、会いたいな。そんな感じでいろんな人に会えるのを楽しみにしているよ。

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<フジロック>で出演するだけでなく、実際に会場内を歩き回ってライヴを観たりもしますか?

するする、もちろん! ビースティ・ボーイズが出ていた年(2007年)に、ジュリエット・ルイスとつるんでいて、すっごく盛り上がった。最終的にはビースティ・ボーイズのライヴをステージ袖で踊りながら一緒に観ていたんだけど、あれは楽しかったな。

すごく楽しそうですね! フェス・フードも堪能していますか? 特にお気に入りのフードがあれば教えてください。

もちろんだよ。それが一番楽しみにしていることだよ! お気に入り……うーん、もう全てだよ! ライヴを行うこと以外で日本でいつも楽しみているのは食べることさ。日本食が大好きなんだ。職人が手作業で作りあげる、極めて専門的な日本のフェス・フードのレベルはすごく高いよ。アメリカのフェス・フードもマシにはなってきているけど、日本にはかなわないな。

<フジロック>はごはんがおいしいことでもお馴染みなんですよ。

そうなんだ、今年も絶対に食べるよ!

先ほど2007年の思い出エピソードがでましたがレッド・マーキーでの出演でしたね。2011年は2日目のグリーン・ステージへ出演。一番大きなステージでプレイした時のことは覚えていますか?

メインステージ(グリーン・ステージ)でプレイできたのは光栄だったよ。良いライヴだったと思うよ。徐々にお客さんも増えてきて、たくさんの人が観にきてくれたのを覚えている。

ホワイト・ステージ以外、ほとんどのステージでプレイしていますが、今の所一番好きなステージはどれですか?

間違ったことは言いたくないんだけど、<フジロック>でのベスト・ショウはレッド・マーキーでのライヴかな。全てのステージでのライヴが良かったとは思うんだけど、レッド・マーキーでプレイした二つのショウはある意味スペシャルだったよ。あと、テントだと雨が降った時にたくさんの人が観にくるから、僕が好きな、満員のライヴハウス(クラブ)のような状態になるんだよね。野外でプレイするのも好きだけど、全ての<フジロック>でのパフォーマンスを思い出してみると、ベスト1、2はレッド・マーキーでのライヴ、あとはグリーン・ステージでプレイしたのがハイライトかな。

レッド・マーキーは、「レッド・マーキー・マジック」的なことが起こるとも言われているのですが、マジックが起きたのかもしれませんね。

へ〜! 良くあることなの?

いえ、そんなに多くはないです。

他のバンドのパフォーマンスをレッド・マーキーで観た時にもすごく良かったと思ったので、僕は「レッド・マーキー・マジック」はあると思うよ。でも今年はレッド・マーキーには出ないので、僕が出るステージに来てね(笑)。いや、でも、本当にレッド・マーキーでは素晴らしいライヴをいくつも観たし、僕も最高のライヴをみせることができたよ。そういった様々な経験をできるのが良いよね。テントではお客さんとの距離が近い雰囲気を楽しめるし、野外のステージは巨大で、環境が違えば感じ方も違うからね。

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