片瀬那奈

「私たちのファンひとりひとりが意識を高めながら<フジロック>を守っていく。」

――ここ数年、ファミリーや海外からのお客さんが増えるなど、<フジロック>も変化していると思います。片瀬さんの目にはどんな変化が映っていますか。

片瀬 子どもも楽しめるフェスだと思うんです。その意味では、子どもたちのお手本になるような大人ではありたいと思っていますね。例えばごみを捨ててしまうことでも、誰かが見ている。触れること、経験することって大事。特にお子さんに<フジロック>はおすすめですよね。あんなに本物を味わえるっていうことは、世界に行かないと難しかったりするので。世界中のすばらしい人たちが一堂に会す三日間ですから。

――海外のフェスにも行かれているそうですが、どんな違いを感じていますか。

片瀬 圧倒的にホスピタリティが違いますよ。もう全然違います。外国で母国語が通じないっていうことはありますけど、それにしても優しさであったり。日本の方って、ちょっとしたことに気づいてもらえたりとか、「どうしました?」とか、声かけてくれるじゃないですか。何を食べてもおいしいっていうこともポイントは高いですね。

――昨年は雨が降り続いたこともあって、捨てられているごみや残置されるテントが多かったですね。

片瀬 すごい昔にレイヴをオーガナイズしたことがあって、3000人規模ぐらいのけっこう大きい野外イベントをやったんですよ。一番びっくりしたのはごみの量がすごくって。もうその後の片付けだけで1日ちょっとかかってしまったんです。拾うだけなのに。そうか、塵も積もればってこういうことなんだって。本当にひとりずつ、ちょっとだけでも意識を変えれば、全体として違ってくるんだなっていうことを実感したんです。みんなで気持ちよく<フジロック>にいたいじゃないですか。だって毎年できているっていうことも、すごいことだと思いますし、毎年こんなに素晴らしいアーティストを呼んでいただいていることもすごいことだし。そしたら私たちもお迎えする側として、おもてなしというか、マナーの部分でおもてなしをして、気持ちよくアーティストさんにも「やっぱり来てよかった、日本って素晴らしいな」と思ってもらいたいですから。そういう意識を持てるファンでいたいなって思っています。

02-3 「フジロック特番」放送決定!ハライチ澤部と片瀬那奈が語る、苗場開催20周年を迎えるフジロックの変化とこれから#fujirock

――参加する私たちも<フジロック>に対するリスペクトが必要だし、そのためにはマナーも求められています。

片瀬 とにかくごみ箱はいっぱいあるし、ごみステーションも多いですし。あれだけごみ箱があるっていうことを感謝しなくちゃダメですね。なおかつそこにはボランティアの人がいて頑張っている。笑顔で「こちらです」と言ってくれる。最高じゃないですか。だからそれに私たちも応えなくちゃダメですよ。

――自然に抱かれた場をお借りして遊ばせてもらっている。その意識を参加するひとりひとりが持つこと。

片瀬 ディズニーランドに来ているみたいな感覚になるんですよ。ディズニーランドってゴミも落ちていないし、「落としたくない」っていう自分の気持ちも芽生えるじゃないですか。だから意識が高まるというか、自分たちが作っているんだなっていうか。お呼ばれしているっていうよりは、自分たちが作るものなんだっていう意識を作ってくれたのが<フジロック>だったと思います。何回か行った人がこういう感じなんだよってレクチャーをして、みんなの意識が高まっていくっていうこともありますしね。

――今年は苗場での開催が20回目になります。

片瀬 正直スキーでは来たことがなくて、本当に夏の苗場しか知らないんですよ。雪が降ってる苗場をまったく知らないんです(笑)。私も仕事を始めてちょうど20年なんです。だから、なんか同い年みたいな気持ちは持っていて。いかにときが経っているかっていうことを実感しますし、自分もその同じ時間を仕事してきて、続けることの大変さをすごく感じます。

――苗場や湯沢の方も楽しんでいらっしゃいますよね。今年は地元が協力してのエリア「アンフェア・グラウンド」も登場します。

片瀬 前夜祭とか、地元のみなさんもすっごい笑顔で楽しそうにしているのを見るとこっちも嬉しくなっちゃう。「おいで、ようこそ!」みたいな気持ちで迎えてくれます。そのあったかい気持ちも伝わるので、やっぱり大切に使おうっていう気持ちになります。すごく協力されているんだなっていうことも伝わってきます。これだけ地元の人に愛されて、地元の人も生き生きしているじゃないですか。すごくうれしそうなんですよね。地元の方の協力する気持ちとか取り組み方が全然違うんだなと思って。

――ここはちょっとって感じているところはありますか?

片瀬 最近、気になっているのはイスですね。折りたたまずにそのまま持って歩いている。あれすっごい怖い。私はでかいんで、逆に目線に入るんですよ。本当に目にかすりそうになったときもあって。すぐに使うから、そのつどに折りたたむのがめんどうなのはわかるんですけどね。わかるんだけども、ひとりがやると「あ、いいんだ、いいんだ」になって、どんどん繋がってって。

――自分ひとりくらい良いだろうっていう感覚が、フェスにはふさわしくないということですね。

片瀬 みんなが気持ちいいと思えることが一番なんですから。

――片瀬さんはテントをはっているとか。

片瀬 アウトドア好きなので、キャンプすることもすごく好きなんです。<フジロック>ではテントも立てつつ基地を確保して過ごしてます。ここ数年はテントサイトもカラフルになりましたよね。以前は同じようなテントが多くて、「え?どこ!?」みたいにけっこう迷ったりしていましたから。自分のテント間違えて別の人のテントに入っちゃったりしたこともあったんですよ。いろんなテントを見ているだけでも楽しいですから。

――今年はこんなことを楽しみにしているっていうことはありますか。

片瀬 正直言って、誰がヘッドライナーだろうと、誰が出ようとどうでもいいんですよ(笑)。もう、ただあの空気にずっと触れていたい。私、8年くらい日曜に生放送をやっていて、結局3日目の朝は仕事に行かねばならないんです。土曜日の夜中に東京に戻ってきて、また仕事が終わってから苗場に向かうんです。だから一年で2回味わえるんですよ。また行けるっていうあの感覚。苗場に到着して、またやってきたみたいな。2度味わえるから幸せなんです(笑)。

――確かにそれはあるかも。苗場に向かっていくときって、不思議なテンションになりますから。

片瀬 3日目だったら、アンダーソン・パーク(ANDERSON .PAAK)が見たいとかボブ・ディランは絶対だとかあるんです。でも初めて聞くアーティストさんとかでも、なんかこう耳を傾けやすいというか、何も知らなくても触れるところがいっぱいあるんですよね。だから音楽にちょっとでも興味があったり、なんか知りたいなって人には本当に向いているフェスだと思いますし、改めてやっぱり素敵だなと思うこともよくあります。苦手だった人でも好きになっちゃうパターンもあるし。だから<フジロック>で聞くことで好きなアーティストさんが増えてしまう。音楽がより好きになるフェスですよね。

――<フジロック>に対して、こうなったらさらにおもしろくなるっていうような、夢というか未来というか、そんなイメージを持っていたら聞かせてください。

片瀬 今でも最高だから、これ以上の最高はどうなるんだろう。持続することの方が難しいって思うんです。どの仕事もそうですけど、やり続けるって一番大変なことで、しかも、去年よりも今年、今年よりも来年って、ずっと一歩ずつでも成長していかなくちゃいけない。前よりも良かった状態にしなくちゃいけないってすごく大変なことだと思います。もしかしたら、守っていくことの方が大事なのかなって思います。私たちのファンひとりひとりが意識を高めながら<フジロック>を守っていく。だから<フジロック>に求めるっていうよりは、私たちが成長しなくちゃいけないのかなとは思ってますね。自分くらいはいいやっていう気持ちではなく、みんなで楽しく気持ちよくっていうテーマはこれからも変わらないと。気分って伝染しちゃうものじゃないですか。みんなが高揚していたらさらに楽しくなるし。だからひとりひとりの責任も重いと思っています。

interview 滝沢守生
text 菊地崇
photo by 横山マサト

03-3 「フジロック特番」放送決定!ハライチ澤部と片瀬那奈が語る、苗場開催20周年を迎えるフジロックの変化とこれから#fujirock

『フジロックSP』本編では、澤部さん、片瀬さんに加え、苗場の現地ロケを敢行しているPOISON GIRL BAND吉田が2年ぶりに登場し、苗場に何度も足を運んでいる司会の小川彩佳アナもフジロックトークに花を咲かせます! 経験豊富な4人が<フジロック>の魅力を語り合いながら、注目のラインアップ紹介はもちろん、『片瀬那奈のフジロック・ファッション講座!』や、吉田による去年のリポートなど、<フジロック>ならではの攻略法やお楽しみポイントをご紹介。開催まであと約1ヶ月。<フジロック>の魅力がたっぷり詰まった『フジロックSP』はさらに気分を盛り上げてくれること間違いなし! 詳しくはテレビ朝日公式サイトをチェックすべし! 

テレビ朝日公式サイト

FUJI ROCK FESTIVAL《 OSAHO 》- Festival Etiquette –

“ルール・マナー”でもない、規制でもない。快適で気持ちよいフジロックをつくるのは、参加者ひとりひとりの気持ちが大切。国境を越え、文化を越え、フジロックから始まるあたりまえのエチケットを、あえて -OSAHO-(お作法)と呼び、キャンペーンを展開いたします。

INFORMATION

『フジロックスペシャル』

6/23(土)TV朝日にてOA!フジロックを100倍楽しむ特番放送!
6月23日(土)深夜2:45~深夜3:45放送
テレビ朝日(関東地区のみ)

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