■7月24日(日)
○午前
連日、よく遊び、よく歩いたドラゴン&ファルコンは、宿でのんびり朝ご飯を食べてから、宿の近くを散歩してまったり過ごす。お昼をオアシスで食べてからKIDS LANDへ。
○午後
14時になり、KIDS LANDから行進する「エビカニ・パレード」にベビーカー乗車のまま参加する。
準備段階で<こどもフジロックFacebook>への投稿情報やママーズから「3輪のベビーカーよ!」と強く言われた意味を砂利道と岩でゴツゴツしたこの道中で体験し、深く納得。母一人でも楽とまでは言わないが12kgを超えたドラゴンの運搬には問題なかったし、本人も快適そう(に見えた)。
森を抜け、橋を渡り、WHITEからAVALONまでの坂道を登ると、9ヶ月のかわいこちゃんや、トンボを指に止まらす名人の真夏のお父さんと娘たちなど、多くの子連れファミリーと思しき人々が客席にいた。
ケロポンズの開演を待ちながらシャボン玉を吹いて、得意げなドラゴン。
お待ちかねのケロポンズ登場に興奮する子どもたち。ドラゴン、なんとなく前へ。
どこかに落ちていたギターを拾い、ステージを見守るドラゴン。気持ちではステージ上にあがっていたのかも。
次は、楽しそうに踊るキッズたちの方へ近寄ってみるも圧倒されたのか踊れず。もちろん、ケロポンズのライブ中。
ライブを楽しんだドラゴンはここでおねむ顔。雲行きも怪しくなったのでバギー用のレインカバーをかけて移動しようとしているうちに小雨が降り始めた。
こうしてドラゴン&ファルコンは楽しい3日間を満喫し、孫と祖母の初フジロックは幕を閉じた。
今回、家族・三世代でフジロックに参加して最も強く感じたことは、実母の有り難みでした。親ひとり子ひとりで参加されている方も大勢いらっしゃいましたし、子どもの年齢にも寄るところではありますが、息子のように「歩ける/走れる/自己主張し始めたけれど話せない/離乳食は脱したものの、まだ大人同様の食べ物ではない/離乳していない/昼寝が必要」な場合でも、子ども1人に対し、大人2人体制を組むことができたことで、最大の懸念事項であった大人のトイレと食事をクリアすることができ、快適に過ごせました。
仮設トイレは子どもと一緒に入るのには狭く、自由に歩くことができるようになったものの、こちらの言うことはスルーな年齢の息子ですから、一緒に入るだけで一気に体力消耗しそうでした。しかし実母に預けられたおかげでそうした事態を避けることができました。また、息子はオムツ着用のため、今回は息子のトイレを気にせずにすみましたが、今年からはお体の不自由な方、乳幼児をお連れの方、お子様、妊娠されている方、お年寄りの方用に優先トイレも用意されていたので助かった親子も多かったのではないでしょうか。また、食事についても大人が2人いることで、片方が買い出しにいき、片方が子どもと待機していられました。
それから、今年は3日間とも好天に恵まれたことが初の子連れ参加であった私を楽にしてくれたと思います。小雨が降った時にバギーのレインカバーを出した程度で、息子は用意していったポンチョも長靴も使用しませんでした。今年はラッキーだったの一言に尽きます。
以前【こどもフジロック】コラムでもご紹介した保育のスペシャリストである柴田愛子先生も来場されていましたが、今回初の親子フジロックを体験する母のテーマとして、先生の言葉である「子どもに寄り添う」を実行しようと、我が息子・ドラゴンをとにかく見守り、手を出し口を出すことを極力我慢し、好き放題遊ぶ姿をいつもよりも少し距離を取って見守りました。すると、見えてきたのは「息子が自ら何かを発見し、それを喜び楽しむ姿」でした。そこから「うちの子、いろんなことができるんだ」ということに驚き、意外にも自分でいろいろ出来てしまっている1歳児の姿を見て、さらに「私自身が『まだ小さいから出来るわけがない』と決めつけていることがいかに多いかということ」に気づき、痛感しました。
そして同時に見えてきた音楽以外の「花火」「森」「炎」「多くの人間」「広い芝生」「目のついた石」など、子どもにとって初めて観るもの、触れるものがフジロックには溢れているということを改めて認識しました。
また、息子だけではなく他の子どもたちや親子を見ていて、子ども自身が音楽好きであることに気づき、ハッとしました。特に、ザ・クロマニヨンズのbigファンである革ジャン着てブルースハープ持っていた男の子のタテのりをする姿を目の前にして「ああ、この子は本当にザ・クロマニヨンズが好きなんだな」と。
そう。子どもも大人も、年齢も性別も関係なく、みんなシンプルに「音楽が好き」なんですよね。この、至極当たり前なことを完全に見落とし、勝手な心配ばかりしていたことに気づかされたことで、参加前に抱いていた数々の不安はその倍以上の数の子どもたちの笑顔によって苗場の空高くに吹き飛んでいきました。
そしてもうひとつの大きな発見は、子どもが本能の赴くまま歩き回ることで多くの来場者と接点が生まれ、その姿を笑顔で迎え入れてくれる環境がフジロックにはあるということ。音楽と子どもという2つのキーワードを通じてこれまでにはなかった他の来場者の方々とコミュニケーションを取ることができ、心が和らぐ瞬間が幾度もありましたし、KIDS LANDでは前述の柴田愛子先生とケロポンズのお二人が多くの親子に囲まれて話をしていたのも印象的でした。
こうしてドラゴンと私のフジロック’16は、実母と好天、そして出逢った人々が息子に優しく接してくださったおかげで、予想以上に楽しく、快適に過ごすことができました。
最近の息子は、前夜祭で見た初めての花火がよほど印象的だったのか、スーパーで見かけたビールの広告にある花火やリオ五輪の開会式での花火映像を指さしては「どーん! どーん!」と叫んだり、KIDS LANDで遊んだのが楽しかったからか動きがよりワイルドになったように思います。
来年のフジロック開催時には2歳になっているドラゴン。遊び方も大きく変わるでしょうし、持ち物や懸念事項はその成長に合わせて変化すると思います。でも、もう不安はありません。一度経験してしまえば、大抵のことは大丈夫。あとは次の春が来る頃に、また皆さんと情報をシェアし、助け合いながら親子フジロックを今年以上に楽しみたいです。
様々な観点でお届けしてまいりました【こどもフジロック】。
お子さんと一緒に、無理なく、できるだけ快適にフジロックを楽しんでいただきたいという一心で、保育歴45年の大ベテランである柴田愛子先生から見た子どもと大人がフジロックに参加する意味や昨今の育児事情、子どもたちの冒険心をサポートするKIDS LANDへのプレーパーク導入にまつわる嶋村仁志さんのエピソード、子連れで参加するときに役立つ心構えと道具の準備や食事情報に加え、子連れでのフジロック参加経験を持つジョージ・ウイリアムズさんと広末涼子さん、そしてフジロックの出演者であるケロポンズのお二人のお話をご紹介してまいりました。
フジロックが20回目を迎え、来場者の、特にリピーターの方々の生活スタイルにも経年による大きな変化が生まれることは当然で、そしてまた、人が親になることも自然なことですよね。フジロックに限らず「親になったから諦める」のではなく、これまでの自分の思考や行動をほんの少し変えてみることで、新たな「子どもと一緒に過ごす別のカタチ」を見つけられることもあると思います。
今年は参加できなかった人も来年は一緒に楽しめるといいですね。それから、会場で取材にご協力くださいました皆さん、そして息子に優しくしてくださった皆さん、有り難うございました。どうか元気で無事にフジロックへ参加できるように健やかにお過ごし下さい。それではまた来年、苗場でお会いしましょう。
取材・写真・文=早乙女 ‘dorami’ゆうこ
<こどもフジロックFacebook>では、役立ち情報のシェアを呼びかけています。子連れで不安に感じていることなどを、子連れ参加経験のある方には体験談をシェアしていただくことで、子連れ参加がしやすくなるようにするための【こどもフジロック】企画。想い出を振り返りながら、来年に備えて今年の情報シェアを!