今年で苗場に会場を移してから記念すべき20回目の開催を迎える<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>。その苗場での第一回開催から20年間、<フジロック>をサポートしてきたブランドを知っていますか? それが会場でもお馴染みの存在となっている、オランダ生まれのビールブランド・ハイネケン。
今回、富士祭電子瓦版ではフジロックゆかりのアーティストに、ハイネケンの魅力を語っていただく特集記事をお送りします。登場していただくのは、フジロックの“裏番長”こと石野卓球さん。昨年12月にソロ最新作『ACID TEKNO DISKO BEATz』を発表し、2018年は1月に過去のソロワークを8枚組にまとめた『Takkyu Ishino Works 1983~2017』をリリースしたばかりの卓球さんは、今年はレッド・マーキーの1日目深夜と、2日目のGAN-BAN SQUARE-GANBAN NIGHT-に出演予定。当日のセットのことやハイネケンとの思い出、今年楽しみなアーティストを聞きました。
Interview:石野卓球
「最初のときのことも知っていますからね。自分にとってはやっぱり、特別なフェスティバルです。」
——今年の<フジロック>では1日目のレッド・マーキーの深夜と、2日目のGAN-BAN SQUARE-GANBAN NIGHT-に出演されますね。当日はどんなことを楽しみにしていますか?
レッド・マーキーはいつも3日目の深夜が多く、初日というのはあまり経験がないので、とても楽しみですね。それから、GAN-BAN SQUAREはレッド・マーキーと比べるともう少し規模が小さいので、そういう意味では選曲が変わってきます。それぞれ別の魅力があって、やっていて楽しいですよ。
——昨年ソロ最新作『ACID TEKNO DISKO BEATz』を出されて、今年はソロワークスをまとめた『Takkyu Ishino Works 1983~2017』もリリースしているとあって、当日はこうした作品の楽曲もセットに反映されていくのでしょうか?
それは出ると思います。もちろん、具体的な内容は、当日の雰囲気によっても変わっていくので何とも言えないですが、自分のソロ曲だけでも100曲以上あるので、たぶんそこから何かしらをかけることになると思いますね。
——それにしても、GAN-BAN SQUAREには今年で12年連続の出演になるそうですし、今や<フジロック>に卓球さんがいないと、逆に何かあったんじゃないかと思うくらいです。
今年も参加できてすごく嬉しいです。<フジロック>だけですよ、こんなのって。「気付けば長く出演させてもらうことになった」という感じですけど、<フジロック>は始まった頃から知っているし、電気グルーヴとしてもソロとしても、こうして何度も呼んでもらえるのは本当に光栄なことで。正直な話、自分にとっては『NHK紅白歌合戦』に出るよりも光栄なことだと思っています。『紅白歌合戦』は売れたら出られるけれど、<フジロック>はそうはいかない。そういう場所に毎年のように呼んでもらえて、97年にはじまったときの(悪天候などによる)大惨事から今まで、「共に歩む」と言ったら大げさかもしれないですけど――。何度も出させてもらえるのは、本当に嬉しいことなので。<フジロック>って、今年で何周年なんでしたっけ?
——今年で苗場に会場を移してから、20回目の開催を迎えます。
それは大したものですね。僕は今50歳ですけど、そのうちの20年も出ていると考えたら。
——やはり、ともに歩んできたフェスティバル、という印象が強いのですね。
最初のときのことも知っていますからね。それに、出演を続けていく中で、日高さんやGAN-BAN/岩盤の豊間根さんをはじめとする、様々なスタッフの方々との関係性も深まっていきました。自分にとってはやっぱり、特別なフェスティバルです。
——スマッシュが苗場で開催したフェスでは、卓球さんは夏だけでなく、2015年まで苗場で冬に開催されていた屋内パーティー<WeSky a Go-Go!>にも出演されていました。
基本セットは好きに何でもやっていいという話で、毎年の楽しみでした。あと、自分の場合、雪が降っている時期にスキー場に行く機会はあのイベントぐらいしかなくて、会場でスキー用のチケットをもらっても、一度も使ったことがない(笑)。一生スキーはやらない人間なんだと思います。一般的に考えれば、苗場という土地は冬に来ることが多い場所かもしれないけれど、自分にとっては、苗場というと夏の方が印象深い。本来の使い方ではないかもしれないですけど、苗場で思い出すのはやっぱり夏ですよね。
——本来冬に訪れる場所だった苗場が、いつしか夏の風物詩にもなったのは、やはり――。
僕のおかげでしょうね(笑)。
——あはははは(笑)。実際、卓球さんは電気グルーヴとしても、ソロとしても、<フジロック>に何度も出演されて、フェスを盛り上げてきたと思います。今年のラインナップの中で、卓球さんが楽しみにしているアーティストはいますか?
実はラインナップを全然見ていないんですよ。ボブ・ディランが出るのはニュースで知りましたけど。そもそも<フジロック>は、「この人が観たい」というより、偶然色んなアーティストを観る楽しさがあるフェスじゃないですか。音楽の好き嫌いを超越した楽しさがあるというか。
——まさに、それは<フジロック>ならではの魅力のひとつかもしれません。
(ラインナップを眺めながら)MGMTは観てみたいですね。僕は出演が夜中のことが多いので、そう考えるとなかなか難しい部分もあるんですけど、ニュー・オーダー(New Order)やストーン・ローゼズ(The Stone Roses)のようなアーティストが出たときは、レッド・マーキーよりも先に行ったりもしました。でもだいたいは、レッド・マーキー周辺にいることが多いですね。
「ハイネケンは米やコーンスターチが入っていない、麦芽とホップだけの本当のビール。」
——<フジロック>は今年苗場に移って20年目の開催ですが、その間ずっとサポートしてきたブランドのひとつが、ハイネケンだそうです。
ああ、そうなんですか。<WIRE>もサポートしてくれたらよかったのに!
——卓球さんのハイネケンとの思い出というと、どんなものがありますか?
そういえば、こんな話がありますよ。僕がまだ静岡で高校に通っていた頃ですけど、当時は瀧の野球部の練習が終わってから一緒に街で遊んだりしていて。そのとき、喫茶店でハイネケンを見かけることがあったんですよ。その頃ハイネケンはまだ日本ではポピュラーなものではなかったんですけど、だからなのか(メニューに)カタカナで「ハイネクン」って書いてあって(笑)。それから僕らの間ではずっと、ハイネケンのことを「ハイネクン」って呼んでいたりしました。
——(笑)。また、卓球さんは過去にハイネケン主催のイベントにも多数出演しています。
そうですね。両手では足りないくらいお世話になりました。(ハイネケンの本社がある)オランダでもイベントに出させてもらったことがあったと思いますよ。
——ハイネケン主催のイベント<Connect>では、07年に両国国技館でのレイヴパーティーも実現していましたね。
ああ、あのときは普段なかなか入れない両国国技館のバックステージに入れたのも面白かったですよ。あの会場のバックステージに入る機会はなかなか貴重ですけど、トイレが力士サイズになっていて、めちゃくちゃデカいんです(笑)。ビールが作ってくれた縁ですよね。
——ハイネケン自体には、他のビールと比べてどんな魅力を感じますか?
ハイネケンは米やコーンスターチが入っていない、麦芽とホップだけの本当のビール。僕はもともとビール好きなんで、いつも飲むのは、基本的に麦芽とホップだけのものなんですよ。そういう意味でもハイネケンは大好きだし、<フジロック>の会場でも飲んでいますよ。
——今年の<フジロック>のステージも、楽しみにしています。最後に、卓球さんや電気グルーヴの今後の活動予定についても、少し教えていただけますか?
2018年の活動ももちろんありますけど、電気グルーヴは来年30周年を迎えます。だから今年は、それに向けて色々な準備をしているところですね。そういう意味では、2018年は30周年の前の中途半端な年になってしまうのかもしれないですけど(笑)。来年の30周年にはきっと色んな活躍を楽しんでいただけると思うので、楽しみにしていてください。
text&interview by Jin Sugiyama
photo by 横山マサト
GAN-BAN SQUARE