■10月7日(日)曇り⇒霧⇒虹⇒晴天!
□虹、出現!
早朝5時半。気球の音ではなく、気球に乗るための目覚ましアラーム音で目が覚めた。しかし、いくら待っても気球の音がしない。今日は上がらないのだろうか?
外へ出ると、どよーんとした灰色の空が広がり、昨夜の強風と大雨によってタープが2箇所外れているのが見えた。お隣さんのタープはもはやタープではなくなっていた。ほどなくしてドラゴンも起床。
テントに戻って着替えていたら、テントの外から「おおお!」や「キレイ〜!」という声が聞こえてきたので慌てて外へ。虹の出現だ!
手を伸ばせば届くような近さで虹を見るのは初めての経験。しかも2度もだ。ドラゴンは「に〜じがにじが〜 空にかかって〜」と名曲「にじ」を大きな声で歌っていた。前日は暗雲をまとって隠れんぼ状態だった富士山もだんだん姿を現し始めた。朝からいい感じじゃないか!
ぼんやりしたダイヤモンド富士を見て、身支度をし、簡単な朝ご飯を食べて会場へ。
□暑い2日目の幕開け、またしても牛乳飲めず
9時過ぎ、会場に到着。ものすごく暑い。頭上には真っ青な空が広がり、富士山はドドーンと姿を見せていた。その風光明媚なロケーションにはたまらず写真を撮りたくなってしまう。昨日とは打って変わってまさに、ピーカン! これぞ朝霧Jamの景色だ!
Rainbow Stage側へ行く途中、近くのファミリーがそれぞれ瓶牛乳を手にして美味しそうに飲んでいるのが目に入った。そうだ、これは昨年飲めなかった地元の酪農家の皆さんが丹精込めて作った牛乳だ。
東北の酪農家支援金として100円以上寄付をするとその味を堪能できるというスマートな活動に我が家も参加しようとその列に並んで待っていたのだが、我らの目の前で「はい、終わり〜」と配布終了を告げられた。これは大人にとっても辛いことだが、3歳児にとってはもっと辛いことだった。次回のためにも2年連続で飲めなかった敗因を考える必要がある。
仕方がないので大汗流して牛乳アピールを頑張っていた牛(の着ぐるみ)の給水タイムを待って、牛と記念撮影をしてもらった。なんだかホッコリする、いい写真が撮れたので満足できた。我ながら単純だと思う。
ドラゴンはミルクの代わりに持参したりんごジュースを一気に飲んで水分補給をしてから、前日何度も通った「宇宙大使マザーシップ」のある丘を指さして「上にいく!」と走り出した。
乗船後、美容室をやりたがっていたドラゴンだったがRainbow Stage上のラジオ体操おじさんの声が彼をステージへと引き寄せ、すぐ下山。
□2日目開幕。名物「ラジオ体操」にも参加!
恒例の朝霧Jam名物であるラジオ体操に参加した後は、本門寺重須孝行太鼓保存会の演奏を凝視。
その後、再び約束の地「宇宙大使マザーシップ」へ行き、青空美容室でピンクの花をさしてもらってから子連れファミリーに特製ステッカーを配布。他のキッズとの交流を楽しむドラゴンは、途中、母の知らないところで友人Aにぐるぐるウインナーを所望し、ペロっと食べたらしい。朝食にソーセージを食べたのに…。そしてコロンと寝転んだりしていた。
景色によく合うSAKURA FUJIWARAの歌声が高原に広がる中、喉が渇いた我らはジュースを購入。ト音記号を象ったライムがチョコンと飾られていて嬉しくなる。
ジュースを一気飲みしたドラゴンは、暑さのあまり氷をガリガリと食べながらしばらくステージを眺めていたが、体を動かしたくなったのか再び「宇宙大使マザーシップ」へ。やっぱり天気がいいと写真が綺麗に撮れる。
□運命の本と出逢えるマーケット
Moon Shine Stageに移動すると、ちょうどNAO KAWAMURAが最後の曲を演奏していた。このエリアからの富士山の眺めもまた格別だ。ドラゴンは入口のデコレーションのインフレータブルと泥濘みに興味津々の様子。
このエリアに広がるマーケットで予期せぬ灼熱の太陽からドラゴンの頭を守るための帽子を買おうとしたのだが、ドラゴンと意見が合わずに購入できず、母の持参したタオルで凌ぐ有様だった。気がつけば始まっていたGA-PIに耳を傾けながら、店から店へと見てまわった。
途中、暑さのせいで突然泥濘みにゴロンと寝転がり、顔を両手で覆うドラゴン。大人にも厳しいのだから仕方ないけれど、それにしても、なんと自由なことか!
しかし、そんなグダグダなドラゴンを立ち上がらせ、母をも救ってくれたのはバスの本屋さん「BOOK BUS」だった!
「あ〜! あんなところにかわいいバスがあるよ〜!」と声をかけると、乗り物が大好きな3歳児はスクッと起き上がって母の指さす方向にバスがあるのを確認できると、パッと顔を輝かせてバス目がけて突進。数秒後にはバスに乗り込んでいた。
バスの中にも外にもぎっしりと詰めこまれた古書。赤ちゃんを抱いた女性が絵本を選んでいたり、小学生が品定めをしていたりして時間の流れが止まったかのようなゆったりとした空間だった。
ドラゴンもお店のお兄さんと交流を深めながら「1冊ね」という母の声のとおり、数秒で絵本を選ぶジャケ買いスタイルをきめた。300円のその本は我が家の朝霧Jamでの思い出となるだろうから、帰宅したら購入場所と日にちを書き込んでおこうと思った。
KENTA MAENOが軽快に盛り上げているのを横目で見ていると、また石川家に遭遇した。朝霧Jamは狭くはないが、フジロックほど広くもない。ほどよい規模感なので知り合いにもかなりな確率で出会えるフェスだ。
石川家の娘たちがかぶっていた紙製の富士山の帽子を欲しいというので、どこで入手したかを尋ねるとKIDSLANDという答えを受け、そのまま一緒にKIDSLANDへ。
□富士山の帽子を目指してKIDSLANDへ
意中の帽子がもらえるという富士宮市のブースへ直行すると、ゲームに参加するとその帽子と風船をもらうことができた。欲しいものを手にして大喜びするドラゴン。帽子をさっそくかぶって風船を手に、フラフラと遊んでいた。
ワークショップでは丸太を切ったり、木や絵の具で工作する多くの子連れファミリーで賑わっていた。まだそちらへ興味を示さないドラゴンは太鼓を叩かせてもらえて大喜び。結局、キッズランドが終了する最後の最後まで居続け、走り、投げ、登り、転がって、笑顔で過ごしていた。
たった1年だが昨年と比べて遊び方が少し変わっていたし、体も大きくなったことで自分より小さな子にはフラフープなどを譲れるようにもなっていた。そうした我が子の成長を感じる瞬間を自分の好きな空間で目にできることが、子連れフェスの最大の親としての喜びだと思う。
そうこうしていると、とても美味しそうなメロンのソフトクリームのせを食べている人を見かけた。たまらずどこで売っているのかを聞き、「アイスを食べよう!」とRainbow Stageへ向かった。それぐらい暑かったのだ。
□富士山をかぶった人、ハーレム状態に
しかし、真夏のような陽気は皆に同じ行動をさせていた。「ハートランド・朝霧」にはパッと見、1〜2時間はかかるんじゃと思える長い列ができていた。友人Aが途中まで並んでくれたが断念。小さな子どもとその親は辛抱強く待てないのだ。
他に何かないだろうかとRainbow Stageエリアをフラフラ歩いていると、「ドラちゃーん」と音楽ギョーカイのお仲間女子から声をかけられた。mabanuaを聴きながら、母はそのチームのボスと談笑し、ドラゴンは若手の女子2人と追いかけっこをしてもらい、最後はハーレム状態になっていた。それにしても滑稽に見えるのは帽子のせいだろうか。このまま電気グルーヴのライブへ行ってみるのもいいかもしれない。
その後、あまりの暑さに真っ赤な顔をしたドラゴンを少し休ませようと、ふもとっぱらへ戻った。2時間片付け&休憩。昼寝のはずが、まったく寝なかった。
17時。シャトルバスは並ばずに乗れて、Rainbow Stageではclammbonが始まったところだった。SNAIL MAIL観たかったなあ…と思いながら、目に入った夕陽に照らされた赤い富士山を美しいと思った。お昼寝タイムは難しいだろうと踏んではいたもののやっぱり残念だった。
昼寝を拒否し、疲れ気味のドラゴンは「バギーにのる」と言い、率先してバギーへ乗車。このように「疲れた」「お腹が空いた」「喉が渇いた」「トイレ行きたい」などを態度だけではなく言葉で伝えられるようになると、本人もきっと楽だろうし、親は確実に楽になる。そんなことを実感しながら観ていた大盛況のClammbonが終わったところで、Moon Shine Stageへ。
しかし、途中のキッズランドに寄ると言って聞かないので、終了間際のところへ立ち寄った。「もう終わりなんだよ」「いやだ!」と押し問答をした挙げ句、見事に最後の一人になったドラゴンだったが、ボランティアの方々が終了ミーティングを始めたところで空気を察したのかMoon Shine Stageへ移動することに渋々ながら同意してくれた。
□母はサウンドに、子は炎の虜に
日の暮れた暗がりのMoon Shine Stageエリアには灯りがともり、昼とは違う柔らかな顔を見せていた。その空間に漂うJ.ROCCの流れるようなサウンドに母は全身をどっぷりと浸し、ドラゴンは揺らめく炎が気になるらしく蝋燭屋さんの前で立ち止まっていた。
蝋燭と言えば、今年はピーターパンcafeには行けずに終わってしまった。台風の影響により昨年の場所から変わったことで基地から遠くなってしまい、訪れる時間をうまく作れなかった。
□「ライブが見たいの! はやくして!」
トリのJOHN BUTLER TRIO +の前に夕食をとろうとRainbow Stageで夕飯を物色したが、売り切れで店終いした店舗もあった。「藤太郎」のシュークリームとロールケーキ、「アローイ・アロイ」のガパオなどを入手していると、ドラゴンに「ライブが見たいの!」とまだ始まってないのに怒られた。日に焼けて真っ赤な顔をしたドラゴン、今日はやる気だ。
お待ちかねのJOHN BUTLER TRIO +が登場するとバギーに座ったドラゴンが覚醒し、「オー!」と拳をあげて叫んだ。そんな息子を抱き上げて共に踊ることもでき、初めて夜のフェスティバル空間を息子と共に過ごせた。感無量。早めの時間設定が有り難い!
大満足の朝霧Jamのステージを見終えた夜、ドラゴンは早々に寝てしまった。昨年のように夜空の星を一緒に見ることは叶わなかったけれど、雨が降っても、泥だらけでも、ライブを見ることや食べることを楽しもうとする彼は本当にたくましかった。
友人も疲れ切って寝たところで、焚き火をしながらお酒を味わい、ひとりの時間を静かに過ごした。これからのこと、来年のこと、明日のこと。大自然を感じながら、日常ではなかなか作ることができない贅沢な時間だった。