7月28日(金)から30日(日)の開催を控える＜FUJI ROCK FESTIVAL ’23＞を前に、＜フジロック＞と 東京ミッドタウン八重洲がタッグを組み、＜フジロック＞本番に向けた初のコラボレーション企画＜FUJI ROCK WEEK at 東京ミッドタウン八重洲＞を7月8日(土) から 7月17日(月・祝)の10日間限定で開催。
高層ビルが筋骨隆々と立ち並ぶ東京の景色と、緑豊かな木々生い茂る新潟・苗場の風景──互いが持つ真逆の雰囲気は、果たして融合できるものなのか？と思いつつ足を運んでみると、むしろこの場所で開催するからこそ得られる＜フジロック＞の良さを、思う存分に感じることに。今回は、フリーライブやＤＪイベントが開催された7月15日(土)の様子をレポートします。
Report：FUJI ROCK WEEK at 東京ミッドタウン八重洲
2023年3月10日にグランドオープンした、大規模複合ビル・東京ミッドタウン八重洲。今回のイベントは、1階の外通路【ガレリア】で行われる「FUJI ROCK GARDEN」エリアと、八重洲セントラルタワー2階にある【ヤエスパブリック】で行われる「FUJI ROCK SQUARE」の２カ所で開催。まずは、「FUJI ROCK GARDEN」からレポートしていきます。
東京駅から地下直結（八重洲地下街経由）という好立地にある複合施設ということもあり、土曜日のオフィス街とは思えぬほど多くの人で賑わいを見せていたガレリア。頭上高く設置された透明な屋根から降り注ぐ柔らかい光の下、解放感抜群のエリアの入り口に堂々と掲げられた＜FUJI ROCK FESTIVAL’23＞の看板は、見る人の高揚感を掻き立てます。
そこから一歩進むと、実際にフジロックの会場で見かける木製の看板やモニュメント、来場者を明るく出迎えるかのような色とりどりのフラッグが目に飛び込んできました。それもそのはず、今回の＜FUJI ROCK WEEK＞の装飾は、＜フジロック＞で会場装飾を手掛けている現地チームによるものとのこと！ 本格的な仕様に驚きつつ、＜フジロック＞に行ったことがあるのであろうお客さんたちが、「これって会場にあるやつじゃない？」と嬉しそうに写真を撮っていた姿が印象的でした。建物の中ではなく、半屋外だからこそ感じられる心地好さと空気感に＜フジロック＞らしさを感じつつ、イベント目当てでない人も「何か面白そう」と思ってふらっと立ち寄れる間口の広さや身近さは、東京会場ならではだなと感じました。
大人も子どもも一緒に、フジロックの晴れを願ってーー
さらに進んでいくと、＜フジロック＞の「KIDS LAND」で人気のワークショップ「ハギレで作るぽんぽんアクセサリーワークショップ」と、フジロック当日の晴れを願う「てるてるさんワークショップ」が開催中。作業テーブルが多くのご家族連れで賑わう中、お店の方に話を伺うと、ここで使われているハギレは、折れたテントやタープに使われていた布を再利用しているとのこと(実際にハギレを見せて頂いたところ、人気のアウトドア・メーカーの刻印のある布もありました)でした。サステナブルを大事にしつつ、遊び心や楽しむ気持ちも尊重するという、なんとも素敵な取り組み。、子どもたちだけでなく大人も楽しみ、時に真剣な面持ちで色とりどりのアクセサリーやてるてる坊主を作る光景は、年齢関係なく楽しめる＜フジロック＞らしさ溢れるワンシーンでした。
その先に停まっていた赤と白のキッチンカーでは、＜フジロック＞で人気の「苗場食堂」から、「きりざいめし」と「越後名物 もち豚丼」が販売されていました。「きりざいめし」とは、新潟・魚沼の郷土料理である、刻んだ野菜と納豆を混ぜ合わせた「きりざい」がご飯の上に乗ったもの。そのさっぱりとした味わいは現地でも、朝ごはんにうってつけのメニューです。「もち豚丼」も、ほかほかのご飯の上に、甘辛いタレが掛かったジューシーな豚肉が乗ったがっつり丼で、エネルギーチャージに抜群！暑さで食欲があまりないという時でも箸が止まらなくなるような美味しさでした。
フジロックの熱狂が、いまここにーー
更に奥のスペースには、フリーライブが行われるステージが登場。絨毯が敷かれ、後方には観葉植物が飾られたステージの雰囲気はとてもアットホームで落ち着いた空気が流れていました。ステージ前にも、ベンチの他にオーディエンス用に絨毯が敷かれており、地べたに座りながら音楽を楽しめる仕様に。その環境はフェスそのもので、お客さんも自由なスタイルでご飯を食べたりお酒を飲んだりしながら、ライブが始まるのを待っていました。
そんな素敵なステージに、この日は、＜フジロック＞に縁のある曽我部恵一、Michael Kaneko、Ｔ字路sの3組が登場！通りがかりの人たちにも明るく声を掛けつつ、オーディエンスと共に楽しめるライブを繰り広げた曽我部恵一は、「この近くに保育園があるそうで、14時までは子どもたちが寝ているから、それ以降なら音を出していいよって言われてね。僕もね、子どもが3人いるんだよ」と慈愛に満ちた表情で伝えながら家族愛を歌い、聴き手の心にジンと染み入る楽曲たちをプレイ。
Michael Kanekoは、豊かさと心地好さが宿る柔和な歌声を響かせると、「みんな声は出せますか？盛り上がっていけますか？」と呼びかけつつ、ハンズクラップやシンガロングを巻き起こしながら、時に甘美で情熱的に、時に清涼感たっぷりに歌い上げた。
ギターボーカルとベースのデュオＴ字路sは、パワフルでエネルギッシュで、抜群にソウルフルな音楽を届けて聴く人を元気づけ、「これさえあれば平気さ」という歌詞の一部を替えて「フジロックさえあれば平気さ」と歌うと、オーディエンスの特大の拍手と歓声が沸き起こりました。
通路を歩きながら音楽に触れて楽しむ人、お酒を片手に声を出して一緒に歌う人、お子さんを抱えながら後ろの方でゆっくりと音に浸る人──音楽の聴き方に正解はなく、どこまでも自由で、多様性に満ちている。多くの人が行き交う大都会の真ん中で、生音と生歌が鳴り響き、聴く人の心を動かしているのが目に見えて分かるこの時間は、まさに至福のひと時でした。
名物キャラに豪華抽選会、見ても買っても楽しいオフィシャルショップ
続いて、【ヤエスパブリック】で行われる「FUJI ROCK SQUARE」エリアへ。飲食店や雑貨／衣料店がひしめくこのエリアでは、フジロック・オフィシャルショップ「岩盤/GANBAN」のポップアップストアがオープン。ここでは、各コラボTシャツや、現地で使えるボディバックやグッズがずらりと並んでおり、ガレリアの空気感とは一変し、ショップ内の雰囲気はかなり都会的。そんな中、至るところに＜フジロック＞の名物キャラクター・ゴンちゃんの姿を発見しました。子どもも大人もみんなで「かわいい！」と言いながら、石に描かれた愛くるしいゴンちゃんたちを手に取り、笑顔を零していました。
さらに、この場でフジロック入場券を購入した人を対象とした「フジロック大抽選会」も行われており、苗場プリンスホテル宿泊券やツアーバス乗車券、＜フジロック＞の会場に持っていったら絶対に便利なアウトドアグッズなどの賞品ゲットを目指したお客さんで盛り上がっていました。実際に豪華景品が当たった人もいて、通りすがりの人から拍手も贈られ、とてもピースフルな空間が生まれていました。
ミッドタウン八重洲にフジロックの夜がやってきた
19時から21時の間は、SUGIURUMNによるDJイベントがスタート！座席自由の立ち飲みスペース「ALL STANDS」の隣にあるポケットエリア「イチジテイシ」にて重厚かつクールなビートが響き始めると、フロアはドリンク片手に気持ち良さそうに身体を揺らす多くの人でどんどん埋まっていく！ガラス張りの会場から外の景色も楽しむことができ、フジロック現地さながらの時間の経過を体感できます。日が暮れてきた頃には、休日の夜を楽しむ人や、仕事終わりにふらりと立ち寄ったのであろう人など、老若男女問わず、諸手を上げたり、思うままにステップを踏んだりしながら、会場のテンションはさらに加速！デイタイムの爽やかさとはまた違った、ムーディーでアーバンな雰囲気が漂う、まさに＜フジロック＞の夜のような気分を存分に楽しめました。
自然と都会──当初は相容れ難いと思われたその両性質は、「フジロック」というテーマの下で共鳴し、「多様性」という共通項で繋がりつつ、互いの良さを高め合うことができる。＜FUJI ROCK WEEK at 東京ミッドタウン八重洲＞は、そのことがよく伝わるイベントでしたし、＜フジロック＞と「東京・八重洲」のタッグだからこそ生まれた相乗効果を確かに感じることができました。
text by 峯岸利恵
photo by Sohei Takahashi
