フジロックでの子どもたちの様子は? 

うちの子どもたちはほとんど音楽聴いてなくて、とにかくキッズランドやピラミッド・ガーデンで遊びたいみたい。家で私が音楽を聴いていてもそんなに興味を示さないし。もともと私も音楽がそんなに詳しいわけじゃなくて、なんとなく好きっていうフワッとしているので、子どもも同じように音楽が鳴ってて、いろいろあって楽しいねって、遊園地的な感じで飽きずに楽しんでるんじゃないかなと。長女は成長と共にライブや美味しいものに興味を持ち始めていますけどね(笑)。

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飽きてしまって嫌だと言われたことは?

ないですね。一番下はぜんぜんわかってないと思いますけど、行きたくないって言われたことはまだ一回も。長女は毎年行っていたせいか1回行けなかったのがすごく悔しかったみたいですが、先輩フジロッカーには中学生くらいになってくると「それよりばあちゃんちにいるわ」とかになっちゃうんだよねーっていう人もいるので、これからかもしれないですね。

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子どもが嫌がらないのは、準備もしっかりされているんでしょうね。

そうかもしれません。でも毎年何かしらの課題が出てくる。長女が小さい時なんて、長靴と普通の靴を一個ずつしか持って行かなかったら、抱っこしていたときに長靴がなくなっちゃって、気づいた時には足から冷えて全身冷えていたりとか。そういうのを経験して、靴は最低3足だなとか、もしなくなったらどこへ買いに行けばいいとか、レインウエアも2セット用意するとか。だから余計な荷物もいっぱいあるんでしょうけど。バギーもすごく増えましたよね。

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バギーは最初から使用していましたか?

誰も使っていない時代から2人の子連れの先輩が2台持ちで来ていて「断然バギーだから。ベビーカーなんて絶対無理だよ」と言っていたので最初はレンタルしたんですけど、2番目の子どもが生まれたときに買いました。

どこのメーカーですか?

ニュージーランドのマウンテンバギー。2番目の子が小っちゃいとき、20kgくらいになった上の子をバギーに乗せたほうが楽だったので、2番目は抱っこして。上の子は寝ちゃったままホテルへ連れて行っても起きなくて、彼女はそこで2泊したことがあります(笑)。

寝心地が良いんでしょうね(笑)。

快適なんでしょうね、きっと。それに強いバギーなら椅子とか荷物とかガンガン乗せられるから、親がへたれないんですよ。だから正直、子連れの方が楽。よく回りからは「子連れでよく行くねー」って言われますけど、プライオリティテントもあるし、キッズランドもあるし、それを知ってからは独身時代よりも快適ですね。

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独身時代のしんどさもご存知だからこそでしょうね。

だから、おっきな顔はしたくないし、そこはみんな勘違いしちゃいけないよって思うんですよね。バギーが邪魔って問題になったこともあるけど「確かにこれ邪魔だ、だけどごめん、これがないと」という思いもあるからすごく難しい問題だなって思いますし。だからこそ、子どもを連れて行く人がルールを守ったり、やらせてもらってるっていう気持ちじゃないとダメじゃないかなあって。

お互いを尊重することが大切ですよね。

そう、そう。大人の人だって、しんどい人はいるだろうし。大人のくせにって思っちゃいそうなときは、きっと何かあるんだろうな、そういうもんだよねと思えばちょっとだけ楽にもなるので、そういう心がけ次第なんだろうなと。あとは子連れで大事なのは諦めですよね。酒飲めない諦めとか、あれ食べたいけど子どもは辛いの食べられないからとか、子ども寝ちゃったからライブを諦めるとか、それができるかできないかで楽しめるかどうかが変わりますよね。

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欲張りどころが増えてしまうと自分が苦しくなってしまいますよね。

そういう意味では、私は恵まれてるんでしょうね。旦那も毎年楽しいから行きたいって行ってくれて。私が一人で連れて行こうと思えば連れてけるなって思ったんですけど、そうすると私がもっと我慢しなきゃいけないことが増えるので、そこを分散できるのがいいですよ。夜中に見たいライブがあったりしても交代で観れますしね。今年しか行けない人だと「なんで?!」とかなっちゃうかもしれませんけど、私は今年しか行けないという考えがないから今年見れなくてもって思える部分もあるし、半日潰れても「ま、いっか」と思える。

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記憶に残っている子連れエピソードは?

長女が生後10ヶ月で初めて子連れで行ったとき、夜中に変な咳が出始めて。レンタカーで来ていたので、車で湯沢の病院に行ったものの、土曜日だから小児科の先生がいなくて。月夜野の手前、温泉あたりなら小児科の先生がいると聞いて、湯沢から月夜野まで高速に乗ってまた苗場に向かい、その先生に診てもらって。すごく良い先生で、「フジロックなんだね。今すぐどうこうなるような感じではないけど、よっぽど何かあったらまた連れておいで」って言って下さって。それが一番子連れで大変だったことでした。そういうときのために、事前に夫婦で“子ども優先”と確認しあえていたり、準備をどれだけしておくかでしょうね、快適さってね。

子どもに病気は付きものですからね。

ほんとに。親への教訓です。だからこそ、子ども優先だよっていうのは口を酸っぱくして言いたいです。

子連れ参加マストアイテム3つと言えば?

バギー、子どものレインアイテム、あとピカピカ。他にも必要なものはいっぱいありますけど、あえてピカピカ! ライジングの前なんて、ピカピカが札幌の百均から消えますからね。それにあれはピカピカ光って楽しいだけじゃなくて、子どもの体中につけておけば迷子防止にもなりますし、他の人から低い位置に子どもがいるよって目印になるから。そういう意味でもマストアイテムですね。

お子さんの夏休みの宿題に役だったことはありますか?

小学校の最初の自由研究は「各国の料理」。ワールドレストランで写真を撮って、それをまとめました(笑)。フジロックはネタがいっぱいありますよね、ワークショップもあるからそこで何か作っちゃえるし。そういうのでも使えるんですよ(笑)。6年間、フジロックネタでずっと行くのも面白そうですよね。うち、真ん中は1年生だからできるなぁ。苗場で見た植物だったり、なんならミュージシャンを調べたりしてもいいと思いますしね。そこに行って実体験する、体感して調べたいって思うって、すごいいい経験だと思うんですよね。

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自由研究テーマを集めたら面白そう。みんなでシェアできたらいいですね。その他、改善してほしいところなどありますか?

トイレとか食べ物問題ですか? もう全然大したことじゃないですね(笑)。これだけ改善されている経緯を見てるので、もういいんじゃない? そんなに快適にしなくてもって。もう充分整ってると思いますけどね。昔はあんなコンクリートや優先トイレなんかなかったし。それからしたら全然快適ですよね。次から次へと、飽きない工夫とかも含めて、今年ここが変わったとか、こんなとこ頑張ってんじゃんとか、そういうのを見るのも楽しいですよね。すごい上から目線ですけど、SMASH頑張ったね! みたいな(笑)。

夏目さんがお子さんをフジロックに連れていく理由は?

一番は自分が行きたいんです。97年から行ってるので1年たりとも途切れさせたくないとは思っているんですけど、それは親のエゴなので、子どもが行きたくないって言ったときはそれで終わりかなと思ってます。お金かかりすぎるし、苗プリも抽選外れたら行くのやめようかと思ったこともあったんですけど、行ける限りはやっぱり行くでしょうし。子どもたちがよっぽど嫌だって言わなければ。

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子どもに何かを見せたい、感じさせたいというのはあるにせよ、まずは自分が行きたいということを認識していないと自分のエゴも抑えられないと思うんですよね。

そう、そう。自分の気持ちを全面に出しちゃったら、付いてきてくれる子どもたちが嫌な気持ちになっちゃうっていうのは違う。まずは付いてきてくれる人たちを快適にしてあげないといけないし、一緒に楽しんで貰えるようにするためには、些細なことですけど、子どもに光るものやシャボン玉を買ってあげたりすることも大切ですよね。それにフジロックは、みんなでちゃんと助け合おうみたいな、このフェスを守ろうっていう気持ちが強いフェスだと思っているので、そういった良さを伝えたい。みんながゴミを分別していることも、誰も見て無くてもやることが当たり前のことだからねって。むやみに木を伐採したりしないとか、自然と一緒に遊ぶとか。大人と子どもが同じ空間に混ざって、同じレベルで楽しく遊べるってなかなかないですからね。大人も子どもも関係なく楽しんでる場所があるってことを教えてあげたいです。音楽の力も、「この音楽がいいのよ」ってくどくど聴かせるわけでもなく、家で強制的に流すわけでもなく、「お母さん、なんかいいと思ってる。なんかいいでしょ?」って(笑)。

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好きなものは他人にも押しつけがちですから。

こういう人たちが出るよって事前に聴かせたこともあったんですけどやめました。いいと思ったら聴けばいいし、うるさいと思ったら耳をふさげばいい。子どもだって音楽聴きたいって思ったら勝手に聴くでしょうしね。それが後で「あのとき聴いた音楽じゃん!」ってなったらすごく嬉しい。どの親もそう思ったりするんじゃないですか? それにフジロックへ行けるって、子どもにとってすごく嬉しいことだと思うんです。フジロックを全然知らない人からすれば、そんなところとかって思うのかもしれませんけど。うちの両親だって最初は「そんなところへ連れて行って」とか言ってましたけど、ついにこの間子どもたちに「ばあばも一緒にフジロックいきたいなぁ」って言い出しましたからね(笑)。

20年経つと、自分も周りも変わりますね。

本当はね、自分がばーちゃんになって、孫と一緒に来たいなっていうのが夢としてはあります。成長して別行動になるのも、それはそれでいいと思うし。いつまでも親にべったりでもねえ? 隣りの部屋取るとか、別の宿取るとか、そうして同じ場になんとなくいるのでもいいし、子どもだけで行きたいと言うのであれば、それを自分で選択したんだったら行かせてもいいと思います。「ライブ見てたら、いた」みたいな。男の子といちゃいちゃしてて「えええええ」って驚いたりとか(笑)。そういうのも経験して、失敗して大人になると思うので、若い頃にいっぱい失敗しとけって思います。

フジロックでも失敗しとけ、と。

ほんとですよ。そんなんばっかりですよ、フジロックなんて(笑)。だから、行きたいなって思っている人がいるなら、一回頑張って行ってみてって言いたいです。安心して、みんないい人だよって。困っていたら、みんな助けてくれますから。まずは自分の身は自分で守る、ちゃんと準備するのは当たり前で、その上でお互いを助け合えるようないい人でいて欲しいなっていうことも伝えたいですね。

企画・取材・文=早乙女‘dorami’ゆうこ
写真提供=夏目家

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