kdj-sub3 “楽しみ方は人それぞれ” ピラミッドガーデンプロデュースのCandleJUNEが語る過ごし方

──ピラミッドガーデンはCandleJUNEさんのプロデュースによる世界観が惜しげもなく表現された、<フジロック>でももっとも美しいエリアとも言われていますが、作りあげる中で心がけていることはありますか。

JUNE 今となってみると5年間は準備段階だったような気がします。ピラミッドガーデンはキャンプエリア内にあるので、他のステージのように、「何時からオープンして、何時でクローズする」そういった概念はありませんし、他のフェスでは見られないような大きなキャンプファイヤーをしていますが、毎年お客さんの中でファイヤーキーパーをしてくれる方がいたりするなど、”かっちり”とした線引きや時間の縛りがないんです。スタッフやお客さんという主張や境界線もないですし、目には見えない結束があって、<フジロック>を愛してくれている人たちがピラミッドガーデンも愛してくれています。それもまたデコレーションの一部になっているとも感じています。その積み重ねでピラミッドガーデンができ上がるまでに5年という時間がかかったと思いますし、それが美しいのかもしれませんね。

──集った人たちと一緒にピラミッドガーデンを作り上げてきたんですね。

JUNE そうですね。いままで声をかけてきたアーティストたちから「ずっとここにいたい。」という声をもらったり、みんなからもいろいろなリクエストがあり、答えて来た結果ピラミッドガーデンのスタッフも良い意味でプライドを持ちはじめています。ピラミッドガーデンに集う住人たちも同じような気持ちの人達がいることも感じていますし、そこにとても愛情を感じています。ピラミスカフェではお客さんにたいして「おかえり」、「ただいま」というようなコミュニケーションをとりながらケアをし、インフォメーションとしての役割も担っています。ステージの音響さんたちも朝からはじまってから夜の演奏がすべて終わると、片付けは4、5時になるので、ほぼ24時間稼働しているのでとても大変だと思います。でもそのすべてに一体感を感じはじめ、それぞれのピースも揃ってきている今年がようやくスタートの年で「これからピラミッドガーデンをはじめよう!」そんな気持ちです。

kdj-sub010 “楽しみ方は人それぞれ” ピラミッドガーデンプロデュースのCandleJUNEが語る過ごし方

──5年という時を経てピラミッドガーデンにくるお客さんに変化はありましたか?

JUNE <フジロック>の本体の会場に行ってない人もいるみたいで、「今日は一度もステージの方に行きませんでした!」というような話をぽつぽつと聞きます。お子さん連れの方などはここで一日中のんびり過ごす人もいるみたいですね。

──ピラミッドガーデンはホームのような雰囲気を味わえたり、インフォメーションや、子連れの受け皿としての役割も担っているんですね。日本最大規模の<フジロック>というフェスでそんなエリアがあるなんて……考えてみると凄いことですよね。

JUNE キャンプエリアですからね。みんなの家です。とってもやさしくてそれでいてぶっ飛んでいる家。でもこれ以上人が増えたらどうしましょうね……(笑)。

kdj-sub5 “楽しみ方は人それぞれ” ピラミッドガーデンプロデュースのCandleJUNEが語る過ごし方

──ピラミッドガーデンのライブはグリーンやホワイトのようなビッグステージに出演しているアーティストさんから、独自のアーティストまで多くのアーティストさん達が出演していますね。今年のライブのお話もお伺いさせてください。

JUNE ハナレグミやCaravan。TicaやTOSHI-LOW、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、そしてGOMA君のソロもあります。毎年ピラミッドガーデンの最後はネパールからきてくれるSUNIL & BABUで終わるのが恒例です。今年ネパールで震災があったということもあるので、古くからの友人であるボビンも初日きてくれます。小さな子供は誰でも知っているムジカピッコリーノ メロトロン号の仲間たちがフェス初参戦してくれたりと親子の楽しみはばっちりとなりました。日曜夜にはハリーさんが登場してくれます。ここはとっても大切な時間で不器用なロックな生き方をしている先輩方をしっかり感じたい時間なんです。
あとはTOSHI-LOWとハナレグミの74年組がこの日までに完成してくれているといいなあとか……盛りだくさんです。

──”ネパール”は今年のテーマのひとつでもあるんですね。

JUNE そうですね。夏が終わったらネパールにも行きたいと思っています。後は“LOVE FOR NIPPON”もステージの枠で取らせていただいて、渡辺俊美さん、これまたNHK Eテレの『フックブックロー』での平積傑作役の谷本賢一郎さん、青谷明日香さんの3人に登場してもらいます。毎月福島で月命日イベントをしているのですがこの三人がもっとも一緒に参加してくれているアーティストたちなんです。被災地を通い続けてそこで生まれた歌を歌い続けている俊美さんや明日香さんの歌はもっともっと多くの人に聞いてもらいたいんです。生温いところではない今もっとも大切な現場で磨き上げているアーティストはこの人達だよって。

──ライブでは次世代に伝えていきたいロックなメッセージも含まれているんですね。

JUNE <フジロック>では海外のアーティストが多く出演していますが、ニール・ヤングやパティ・スミスのステージをデコレーションさせてもらった時に演奏や歌が上手いということではなく存在自体がロックというかアートというか感じさせるんです。日本にはうまい人はたくさんいると思いますが、存在で感じさせてくれる人は少なく思います。邦楽フェスがたくさんある中で、どこでみても一緒ではピラミッドガーデンのステージにはなりません。ワールドミュージックのバンドが以前ピラミッドの夜出演の時にフィールドをみて、持って来たセットをすべてやめてこのフィールドにあうセットに組み替えよう! となりました。空間を作る以上その空間でオーディエンスはどうなるだろう、ステージのアーティストは? そこを本気で追求していくことでピラミッドガーデンでしか見れない一瞬が生まれるんだと信じています。ピラミッドガーデン初期のころ、ハナレグミは毎晩やって来て一人歌い倒していました。
オーディエンスはうちの家族とスタッフ何人かだけという時もありましたが、歌いたくなってくれたことはとても嬉しいし素晴らしいステージでした。数少ない存在がめんどくさいTOSHI-LOWくんもきっと今までみせたことのない側面を見せてくれると思います。

──最後に今年のピラミッドガーデンの魅力や楽しみ方を教えていただけますか?

JUNE サウナにはまる人もいれば、キャンプファイヤーを楽しむ人もいる。楽しみは随所にありますし、何が魅力かは人それぞれぞれだと思うので、この場所ならではの楽しみ方は実際に触れて感じてみてください。もし自分からひとこと言えるとすれば「昼間の顔と夜の顔はちがうよ。」ということでしょうか。キャンプエリアのリストバンドを購入してもらえればどなたでも入れるので、ピラミッドガーデンに遊びに来てみてください。