平井理央が語る、音楽、そしてフジロックへの想い

今年の<フジロック>はお客さんや会場の雰囲気を写真に収めたい。

平井さんが普段聴くのはどんな音楽ですか?

平井 一番好きなのは小沢健二さんなんです。中学2年のときにはじめて買ったシングルCDが『痛快ウキウキ通り』で、そこからハマりだして『LIFE』とかのアルバムも買いましたね。フリーで活動をはじめてからは、<風とロック芋煮会>というロックフェスにMCとして参加して、そこで怒髪天、BRAHMAN、THE BACK HORNといったロックバンドのステージを観て、バンドのかっこよさに目覚めました。最近はカメラにハマっているんですけど、怒髪天さんのライブ写真を撮らせていただいたこともあって。ライブ写真の撮影って大変ですけど、すごく被写体を好きになっちゃうんですよね。かっこよすぎるその姿を誰よりも最前線で観られるわけですから、怒髪天をますます好きになっちゃいました。

かっこいいところを収めようと思いながら撮ると思うので、その人たちの好きなところを探しているという感じですか?

平井 まさにそうですね。自分の目線を入れて撮った方がいいとアドバイスをもらったので、増子さんのYシャツのはだけた部分がセクシーだなとか、腰のラインとかを撮ったりしました。おこがましいですけど、いつか<フジロック>のライブ写真を撮れるように何かで申請したいな(笑)。

あはは、将来有り得ることかもしれませんね。先ほど幾つかロックバンドの名前が挙がりましたけど、どのバンドもとてつもないエネルギーを持っているバンドですよね。ステージ上と客席との間の雰囲気から何か思うことはありましたか?

平井 もともと2011年9月に<LIVE福島 風とロックSUPER野馬追>をフジテレビで担当していた深夜の音楽番組の取材で行かさせていただいたんです。当時震災から半年後で、自分の中でもモヤモヤした思いだったり何もできないもどかしさを苦しく感じていました。そんな中で「こんなに伝わってくるんだ……」と、すべての言葉と歌がダイレクトに響いたんですよね。そんなふうに音楽と接したことがなかったので、うまく言えないですけど、ものすごいカルチャーショックを受けたというか。こんな表現があるんだなと思ったんですけど、その空気感はライブ毎にまた違う伝わり方で、バンドの持つ力に圧倒されたのを憶えています。

僕は仕事柄、こうやって目の前の方の大切な話を聞かせていただいて、それを文字に変換しているわけですけど、バンドのライブという表現はすごく憧れますね。大きな意味で同じような伝え方ができないかなと模索していて。

平井 私もインタビューやリポートするということが多いので、言葉のチョイスを考えたり、その置き方を考えさせられます。話し言葉、文字、ラジオ、テレビ、やり方は幾通りもありますけど、ライブでの音楽はすごくダイレクトに伝わってくるんですよね。伝わるというより響くという表現のほうがしっくりくるかもしれません。私の場合は、自分の心が震えるものに出会ったときの感動を伝えるために、一番再現性が高い言葉を見つけようとします。写真も自分が感じたものを高い再現性で伝えられるツールなのかなと思います。

ライブ写真にテキストを添える平井さんの<フジロック>のライブレポートを読んでみたいですね。

平井 やってみたいです! きっと大変なのだろうけど(笑)。担当させていただいているJ-WAVEの番組で、ゲストの方のポートレートを最後に撮らせていただいているんですね。お話を伺った後に、「この方は歯を見せて笑っている方が表情がいいな」とか、「ちょっとかっこよく引きで撮りたいな」とか、そういったイメージを持ちながら、その方の魅力をトークとあわせて写真でも伝えられたらいいなって。本職のカメラマンさんが居る前でこんなことを言っていてすみません……(苦笑)。でも、写真はすごく興味がある分野なので、今年の<フジロック>はお客さんや会場の雰囲気を収めるために、カメラを持って行こうと思います。

これまでの話にあったように、フジテレビを退社してからの平井さんのお仕事の領域は広がっていますし、一つひとつの魅力を伝えるための手段も増えていますよね。様々な取材対象とアプローチに向き合ってきた経験から、どんなフィードバックがあるのか興味があります。

平井 以前はスポーツがメインだったので取材する対象はアスリートの方やスポーツの大会が多かったのですがが、退社してからはミュージシャンや、文化人の方々と、そのフィールドは広がりました。それでも共通しているのは、第一線で努力されている方の言葉や信念は違うフィールドに生きている自分にも必ず届くものがあるということです。これからも分野を限らないで、いろいろな方にお話を伺っていけたらいいなと思っています。その興奮を言葉と、できれば写真でも伝えていきたいですね。

この富士祭電子瓦版で平井さんの撮影した写真付き<フジロック>レポートが見られることを楽しみにしています。

平井 本当ですか? 機会があるなら、ぜひよろしくお願いします(笑)

text&interview by 加藤将太
photo by 横山マサト

平井理央

1982年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、フジテレビ入社。「すぽると!」のキャスターを務め、主にスポーツ報道に携わる。
2013年よりフリーで活動中。現在、J-WAVE「WONDER VISION」ナビゲーターとしてレギュラー出演、雑誌「BRUTUS」「ソトコト」にて連載を担当。
2014年ニューヨークシティマラソン完走までの記録をつづった著書『楽しく、走る。』(新潮社)2015年5月29日より発売。

INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL OFFICIAL SHOP【岩盤/GAN-BAN】

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営業時間:11:00 – 21:00
定休日:不定休(PARCO休館日に準ずる)
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