臼田あさ美が語るフジロック – “現地は海外旅行ぐらいの異次元な空間”


各界のキーパーソンたちが思いのままに<フジロック>を語り尽くす「TALKING ABOUT FUJIROCK」。今回登場するのは、臼田あさ美さん。

臼田さんは現在、女優業をメインに芸能活動を送っているが、過去に音楽番組のパーソナリティを担当していた経歴から分かるように、彼女は無類の音楽好きだ。そして、音楽と同じくらい、その隣り合わせにある映画や文学、美術といった芸術分野も愛している。その愛情を注ぎ様は、彼女のInstagramのポストを眺めていると、十分に伝わってくることだろう。

そんな臼田さんも<フジロック>に参加しているフジロッカーである。と紹介しても、彼女の趣味を知っている読者の皆さんにとっては格別驚くことではないかもしれないが、完全プライベートで経験した野外フェスティバルは<フジロック>だけだという。仕事からかけ離れたロケーションとコンディションの中、<フジロック>で何を経験したのだろうか。彼女の音楽との向き合い方を踏まえて語ってくれた。

Interview:臼田あさ美

適齢期を迎えたから<フジロック>に行こう!

臼田さんが<フジロック>をはじめて経験したのはいつですか?

臼田 レディオヘッドが出た2012年がはじめてで、ビョークが出た2013年も行きました。2012年は2日目・3日目に参加して、2013年は3日間通しで行きましたね。実はスペースシャワーTVのお仕事で<SWEET LOVE SHOWER>に行ったことがあるくらいで、実はお仕事以外で夏フェスに行ったこともなかったんです。プライベートで行ったフェスは<フジロック>がはじめてでした。

意外! ってことは専らライブハウスなんですか。

臼田 はい(笑)。私はまったく音楽に詳しくないので、フェスに行くとあまりにもいろいろなアーティストが出るから、何を観ていいのか分からなくなるんですよ。フェスはライブハウスと楽しみ方が違うというか。ライブハウスは一人で行くことが多いから、「フェスで一人は寂しいな……」という気持ちがあって、なかなか勇気を出せなかったんです(笑)。

フェスは音楽も食も選択肢が幅広いですよね。いろいろな過ごし方がありますけど、裏を返せばその分迷いもあるということじゃないですか。

臼田 そうですよね。10代の頃からライブハウスにパッと行って、パッと観て、パッと帰るみたいな楽しみ方だったので、それは大人になっても変わらないんです。でも、だんだんと音楽の趣味が合う友達が自然と増えてきて、一緒に楽しめるようになってきました。

<フジロック>に行ってみたいと思ったのは何が大きかったんでしょう。

臼田 音楽番組の仕事を辞めた時期だったので、気を遣わずまた昔みたいに音楽を楽しめる環境ができたというのもありますし、<フジロック>は大人のフェスというイメージがあって、「私もいい歳になったかもしれないから行こう!」という気持ちもありました。お金もかかるし、ただのお祭り感覚では行けない環境だし、準備が必要なフェスだから適齢期みたいな感覚ですね(笑)。

なるほど、<フジロック>適齢期っていい言葉ですね(笑)。

臼田 <フジロック>に行って思ったのは、フェスは音楽がすごく広がるきっかけになるということでしたね。アーティストの名前も代表曲も知っているけど聞いてこなかった、そんな音楽と向かい合えるきっかけでもあると思うんですよ。私にとって、2012年の井上陽水さんのステージがそうでした。違うステージに行こうと一人で歩いていたら、“少年時代”が聴こえてきたんです。私事ですけど、私は秋生まれで“あさ美”っていう名前なので、よく父が《夏が過ぎ 風あざみ》を《夏が過ぎ 風あさ美》と替え歌をしていて、思春期のすごく嫌な思い出として残っているんですよ(笑)。

あはは! それは年頃の女の子にとっては嫌で仕方ないと思います(笑)。

臼田 でもあの時にグリーン・ステージから“少年時代”が聴こえてきて、足が止まって聴き入ってしまったんですよね。あの時の陽水さんは神懸かっていて、「なんて素晴らしいんだろう」って最後まで観てしまいました。何を観に行こうとしていたのかを忘れちゃいましたし、通路は人が通れないくらいになっていたから、きっとみんな衝撃を受けたんでしょうね。

そういった体験もフェスならではですね。井上陽水さんのステージは僕も観ていましたし、日中すごく晴れていて、あのロケーションと天気の中で歌う“少年時代”は本当に無敵でした。

臼田 うん、私もすごく憶えてます。フェスは一人じゃ行きづらいものだと思っていましたけど、<フジロック>に行っても、気づけば私はいつも一人行動なんですよね。やっぱり観たいものが友達とはそれぞれ違うし、<フジロック>はステージ間の距離があるから、気軽に「こっちに観に行こうよ」って連れて行けないじゃないですか。だから、<フジロック>はストイックに一人で楽しめるフェスだと思っていて。その反面なのか、普段はすごく人見知りなのに、辿り着いた場所で友人や知り合いと会うと、一緒に山を登ったくらいの感覚になって楽しめちゃいます。フードエリア辺りで誰かに会うと、思わず声をかけたくなります(笑)。2013年の時に大根仁監督と偶然会ったんですよ。大根監督は女性といたから、空気を読んで声はかけませんでしたけど(笑)。

実はその大根さんの話は他の方からも聞きました(笑)。大根さんは<フジロック>を知らない女の子を連れて行って、アテンドするのが楽しみらしいんです。

臼田 じゃあ、私も便乗してお酒1杯ご馳走してもらいます(笑)。

(笑)。お話を聞いていると、かなりステージ間を練り歩いている姿がイメージできます。

臼田 最初のときは体力と向き合って、休み休みで楽しみましたね。やっぱり、体調管理と帽子や雨具といった装備は必要だと思います。2012年はたしか一度も雨が降らなかったから過ごしやすくて、「余裕じゃん。みんなが言うほど辛くない」って思っちゃいました。でも、2013年は結構雨が降りましたよね。道が泥沼で過酷でしたし、裸足で歩いている人もいましたけど、私はポンチョと長靴のフル装備で凌ぎました。帽子もアウトドアの本格的な防水のやつで紐付きなんです。

もはやお洒落なんて考えないで、自分を守るための装備を整えるという感じなんですね。

臼田 そうですね。<フジロック>のファッションはすごくお洒落をしているお客さんや、日焼けを気にしちゃう私のアウトドアな感じも含めて、東京だと少し恥ずかしいみたいなことをやれちゃうんですよね。
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