残念ながら開催延期となってしまった今年の<FUJI ROCK FESTIVAL(以下、フジロック)>。しかし、「Keep On Fuji Rockin’」を合言葉に、8月から様々な企画が展開される。その1つが8月21日(金)から3日間にわたって開催される『FUJI ROCK FESTIVAL’20 LIVE ON YOUTUBE』。
過去、<フジロック>に出演したアーティストのステージ・パフォーマンスを中心とした特別ライブ番組が、YouTubeにて配信され、配信中はスーパーチャット機能(投げ銭)を利用した寄付を募るという。1997年にスタートし、これまで数多くの伝説的なパフォーマンスを生み出してきた<フジロック>。その中から一体どんなパフォーマンスの映像が配信されるのか、期待は高まる一方だ。
そこで富士祭電子瓦版では、去年に引き続き2年連続出演予定だったTENDOUJIのモリタナオヒコ、アサノケンジ、ヨシダタカマサの3人と共に「フジロック談義」を敢行。『FUJI ROCK FESTIVAL’20 LIVE ON YOUTUBE』で観てみたい過去のライブ映像や、初めて苗場で音を鳴らした感想などたっぷりと語り合ってもらった。さらに、『振り返るフジロック』をテーマにTENDOUJIに作成してもらったプレイリストも。
そして、2016年にLicaxxxと青柳文子が考案し、<フジロック>の会場でも大好評を博したカクテル「塩レモン×ミント ZIMA」を実際に飲んでもらい、「酒とフジロック」の楽しみ方についても聞いてみた。
Interview:TENDOUJI(モリタナオヒコ、アサノケンジ、ヨシダタカマサ)
※ドラムのオオイナオユキは冠婚葬祭で欠席
──8月21日(金)から3日間、<フジロック>の過去のライブ映像がプレミアム配信されることになったのですが、TENDOUJIの皆さんが観てみたい出演アーティストや、印象に残っているライブというと?
モリタナオヒコ(以下、モリタ) オアシス(2009年)が観たいですね。
アサノケンジ(以下、アサノ) うん、確かにオアシスは観たいな。
ヨシダタカマサ(以下、ヨシダ) 伝説になっている第1回の<フジロック>の映像も観たいよね。レッド・ホット・チリ・ペッパーズにレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン……過去のフライヤーを改めて見ると、すごいメンツだな。この時のTHE HIGH-LOWSの映像は何回も観ました。確か(甲本)ヒロトさん、豹柄パンツみたいなの履いてなかったっけ。
モリタ 自分もこの時の映像はめっちゃ観た!
アサノ 2日目は中止になったんですよね。アウトドア苦手な僕らじゃ絶対生還できなさそうだけど(笑)。一瞬だけでも、その場を体験してみたい。
ヨシダ 1999年のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTも伝説だよね。人が押し寄せ過ぎて、チバ(ユウスケ)さんがMCで安全を呼びかけてる様子とか、テープがすり減るほど観ました。
モリタ 2回目は豊洲で開催したんですよね。この年はソニック・ユースとベックとビョークが出てるのか。すごいな。
アサノ 2001年はパティ・スミスもいるんですね。
ヨシダ 2001年というと、僕らが中学3年の頃ですね。KICK THE CAN CREWにラッパ我リヤ、山嵐だって。もし苗場に行ってたら絶対に観てるでしょ(笑)。
アサノ KEMURIとかあの頃めっちゃ聴いてたよね。エミネムもいる。しかもニュー・オーダーもいるし、この年もスゴいですね。
アサノ こうやって見るとレッチリの出席率もかなり高いっすね。
モリタ 前に観たレッチリの映像、アンソニー(・キーディス)がブチ切れてなかった?
ヨシダ 最後、マイクをぶん投げて帰っていったやつ?
モリタ そうそう!めっちゃ怖かった(笑)。
──個人的には2005年の最終日、クロージングで出演したプライマル・スクリームのステージに、J・マスキスが飛び入り出演した映像が観たいんですよね。当時のプライマルにはケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)がサポートで参加していたから、オールスター総出演という感じだったんですよ。
モリタ それ、めっちゃヤバイですね。きっと僕たちが知らないだけで、苗場ではそういう奇跡がたくさん起きていたんでしょうね。僕らが<フジロック>に興味を持ったのはバンドを始めてからなので、フジロッカーズの先輩たちに色々教えてもらいたいです。
ヨシダ 2005年は(ザ・)ビーチ・ボーイズもやってるんですね。今年ヘッドライナーとして出演予定だったストロークスは翌年のホワイト・ステージに出てる。
モリタ 2010年のルーキー・ア・ゴーゴーもすごいですね。女王蜂とかThe SALOVERSが出てる。
アサノ へえ!あ、踊ってばかりの国もいるじゃん。当たり年っぽいね。
モリタ 最近の映像だと、2018年にヴァンパイア・ウィークエンドを配信で観たんだけどめっちゃ良かった。
アサノ あの年は現場にいたよ!(笑)ハイムのダニエル・ハイムが飛び入りしてシン・リジィのカヴァーやってたんだよな。
ヨシダ 2018年はMISIAも良かったすねえ。
モリタ いやあ、選びきれないなあ。こうやって過去のラインナップを眺めてるだけでも時間が過ぎちゃう(笑)。
──昨年は、ついにその<フジロック>にTENDOUJIも初出演しましたね。
アサノ 嬉しかったです。僕らがバンドを始めた時から<フジロック>に出ることを目標にしていたので。昨年は最終日の夜、苗場食堂で演奏させてもらったんですけど、びっくりするくらいお客さんが集まってくれました。僕ら目当てで観に来てくれた人もいれば、通りすがりに立ち止まって観てくれていた人もいて、なんというか……苗場でしか作り出せない空間が生まれていました。
ヨシダ 前日は豪雨だったじゃないですか。それが最終日にようやく晴れて、「最後は楽しんで帰るぞ!」みたいな空気も充満していましたね。
アサノ 演奏中もすごく楽しくて。終わった後に自分自身が浄化されたような感覚がありましたね(笑)。最後はめちゃくちゃ酒飲んで酔っ払って遊んで帰ろうと思ってたんですけど、酒とか飲んじゃいけないのかなみたいな、変な感覚になりました(笑)。
──現地でどんなバンドを観ました?
アサノ キング・ギザードとかとても楽しみにしていたのに、結局観られなかったですね……(笑)。ホワイト・ステージでクラムボンを観ている時に、雨がメチャクチャ降ってきて。酔っ払ってたのもあるんだけど、その辺からスイッチ入っちゃったんですよね。あとはほとんど記憶がないですね。
──目当てのバンド、結局観ないで終わっちゃうのも「フジロックあるある」ですよね(笑)。
モリタ 僕たちは2日目の昼から苗場に入ったんですけど、ルーキー・ア・ゴーゴーで君島大空くんを観ていたときにはもう、ケンジはバグってたよね。それは覚えてる(笑)。自分は初日のレッド・マーキーの「PLANET GROOVE」に観たいアクトが多かったんですよ。イェジ(YAEJI)やケイトラナダ(KAYTRANADA)、バンド・セットのKID FRESINOとか。それが観られなかったのは残念でしたね。それに、ずっと雨だったからホテルで配信を観ていたライブも多かった(笑)。
──出演前に体調を壊すわけにもいかないですもんね。
ヨシダ 自分はクルアンビンが一番観たかったんだけど、自分たちのライブの準備中にやってたんですよね。なのでクルアンビンも配信で観ていました(笑)。
アサノ 苗プリの部屋でクルアンビンを配信で観ながら「これ、ほとんど観ているようなもんだね」って話してたよね(笑)。
モリタ あ、でも3日目のnever young beachとヒョゴ(HYUKOH)は観ました。ヒョゴは同じアジア人だとは思えないくらいパワフルで素晴らしかったですね。あと、自分は今回いちばん奥にあるCafé de Paris(カフェ・ド・パリ)まで行ったけど、とても雰囲気が良くて最高でしたね。
──苗場では、他のアーティストとの交流もありました?
アサノ 同世代で出演している日本人のアーティストは、もはや知り合いや友人が増えてきていて。それってすごいことだと思いましたね。初出演なのにホームというか、落ち着く感じではありました。
ヨシダ 僕はその場にいなかったんですけど、2日目の夜にケンジがクリスタルパレスで飲んでて、そこでテキーラのショットを友人たちに大盤振る舞いしてたってウワサは聞きました(笑)。
アサノ 10万くらいは使っていたかもしれない……気づいたら金がなくなってましたね(笑)。
モリタ 意外と現地では、そんなに友人と会って話した記憶が自分はないかもしれないです。むしろ帰宅してからの方が、余韻もすごかった。「早く来年になってほしい」なんて思っていたし、ドミコやTempalayのメンバーに「フジロックの話をしよう」って呼び出されましたよ、東京で(笑)。
──実は今回、皆さんに「塩レモン×ミント ZIMA」を飲んでもらおうと思いまして。用意してきたのでまずは乾杯しましょうか。
全員 カンパーイ!
ヨシダ うん、梅雨明けにぴったりの味っすね! 苗場にももちろん合うし、フェスっぽい。
モリタ 塩でミネラルも摂れるから熱中症対策にもなりますね。てか、これアルコール入ってます?
アサノ 入ってるよ!(笑)確かに飲みやすいですね。自分はビールが飲めないので、フェスとか行くと飲めるお酒が限られてるんですよ。なので、もしこれがあったら最高だろうな。
──実はこの「塩レモン×ミント ZIMA」、2016年にLicaxxxさんと青柳文子さんが発案したオリジナル・カクテルで、苗場では大好評でミントが切れてしまい、会場中のミントをかき集めたっていう逸話もあるんですよ。
ヨシダ そうなんだ!
──もし皆さんだったらZIMAを使ってどんな飲み方をしますか?
モリタ 自分は、パクチーZIMA!これ、間違いなく流行ると思います。あと、梅干しとかも良さそうじゃない?
ヨシダ 確かに。苗場で採用されるといいなあ(笑)。
アサノ ZIMAってオレンジやライム、ベリーなど23種ものフレーバーを融合してるんだ。この中に入ってる果物だったら、とりあえず何使っても美味しそうだね。
──ちなみに、<フジロック>でお酒を飲む楽しさって何だと思います?
モリタ まず、いくら飲んでも酔っ払わないこと(笑)。泥酔して潰れてる人って、あんまりいなくないですか? 酔っ払っていてもちゃんと自分でコントロール出来てるというか。きっと泥酔した人は宿に帰っちゃうからだと思うんですけど、その結果かマナーがいいですよね。そこがすごく大事だと思う。
アサノ 確かに、変な酔っぱらい方している人って全然見かけなかったですね。喧嘩とかもないし。
──残念ながら、今年TENDOUJIが出演予定だった<フジロック>は来年に延期されてしまいました。
モリタ 楽しみにしてくれた人もたくさんいるだろうから悔しいですね。その楽しみにしていた分、悔しい思いなどを倍にしてぶつけたいという気持ちでいっぱいです。<フジロック>がないと、なんとなく寂しいんですよ。すごく特別な場所だなと思うし、もし来年また出られる機会があったら、最高のライブをしたいという気持ちでいっぱいです。
──では、最後に改めてフジロックの魅力について教えてもらえますか?
ヨシダ 会場が広いので、その時の思いつきで好きなところへ行けるところですね。そもそも僕自身、「何を観に行かなきゃ」みたいな計画を立てて動くタイプじゃなくて。もし目当てのバンドがあったとして、それを見逃しちゃったとしても「ま、いっか」と思えるくらい、どこへ行っても楽しい瞬間があるのが<フジロック>の良さかな。自由度が高いというか、自分で楽しみを見つけていけるところが好きです。
アサノ 出る側としては、音量制限がうるさくないのも嬉しい。あと、山に音楽を捧げている気分になるんですよね(笑)。
モリタ やっぱり、世界中の音楽を体験できる数少ない場所なのかなと。僕らの世代はSNSやサブスクがあって、いつでもどこでも古今東西の音楽を聴くことができるんですけど、それを実際に目にする場って実はそんなにないんですよね。憧れの洋楽を体験できたり、そこに「仲間入り」できたりする場が<フジロック>なのかなと思います。だからこそ、バンド側も僕たちみたいに「絶対に出たい!」と思っているアーティストも多いんじゃないかな。これからも変わらず存在し続けてほしいですね。
TENDOUJIが『振り返るフジロック』をテーマに作ったプレイリストはこちら
text&interview by Takanori Kuroda
photo by 大石 隼土
Official Supporter ZIMA
2020年の延期は残念ですが、ZIMAはこれからも皆様と一緒にフジロックをサポートしていきます!2021年苗場でお会いしましょう。(引用:フジロック公式サイト「オフィシャルサポーターメッセージ」より)
TENDOUJI
2014年、中学の同級生であったモリタナオヒコ(Vo,Gt)、アサノケンジ(Vo,Gt)、ヨシダタカマサ(Ba)、オオイナオユキ(Dr)により結成。自主レーベル「浅野企画」を設立して、これまでフルアルバム1枚、EP3枚、シングル3作品をリリース。類まれなメロディーセンスと90年代のオルタナシーンに影響をうけた爆発力のあるサウンドを武器に、全ての会場をハッピーなグルーヴに包みこむ4人組バンド。2018年には「RUSH BALL」「BAYCAMP」などの国内フェス、そしてアメリカ最大級のフェス「SXSW」にも出演を果たす。2019年には、グラスゴーの至宝バンド「TEENAGE FANCLUB」の来日公演のサポートアクトを務める。また各地大型フェスに続々と出演し、シーンを席巻。11月に初のシングル『COCO』を発売。全国ツアー<TENDOUJI TOUR PINEAPPLE 2019-2020>も各地大好評で、2020年2月14日のツアーファイナル 恵比寿リキッドルームワンマンも完売御礼&大熱狂で幕を閉じた。2020年2月14日に2ndシングル「HEARTBEAT」、4月17日に3rdシングル「SUPER SMASHING GREAT」を配信リリースし、6月17日にはその2曲を両A面に収録した『HEARTBEAT/SUPER SMASHING GREAT』を発売。2020年も2年連続で日本テレビ『バズリズム02』の「コレがバズるぞ!」にランクインし、今年もさらなる活躍が期待されている、東京インディ/オルタナ・シーン屈指の愛されバンド、TENDOUJI。