いきなりこんなことを書くのも何ですが、僕はフェス・ファッションというのが好きじゃない。フェス・ファッションといえばアウトドア(都市型フェスの場合はロックTに首タオル)が定番らしいけれど、まったくもって格好良く/可愛くない。<フジロック>のサイトには「ガチ自然なので気をつけてね」という旨の注意書きが記されているが、それにしても最近のお客さんは準備万端に過ぎる。わざわざ山にまで行って音楽を堪能するのに、そんな全身装備で何の不便も感じないのって、歪な感じがしませんか? まあ、そもそも<フジロック>が公式にアナウンスを出しているし、スポンサーにはそういうブランドやメーカーが名を連ねているのだから、それが“正装”なのだろうけれど、どうもフェス好きによる同調圧力を感じずにはいられない。「<フジロック>に行くならこのくらいの格好をしなくちゃね!」みたいな。
い、嫌だ。僕はもっと気楽に楽しみたいし、変なコミュニティ意識に縛られたくない。自然に敬意を払う=責任を持って行動する=アウトドアファッションというアウトプットが気に入らない。もちろん半袖短パンでテント3日キメようと思っている輩がいたら「アホや」と思うけれど、個人的な経験で言えば、普段着の上にドンキホーテで売っているビニールの雨合羽を被れば雨風は十分しのげる(確か数百円で買えます)。いつの年だったか、ホワイトステージで僕のすぐ前にいた外国人は上裸&裸足で腰に布を巻いているだけだった。足は傷だらけで、氷水が入った袋を傷に当てていたけれど、あれ何の効果があるのかさっぱり分からなかった。てか靴履けよ。
つい極端な例を挙げてしまったが、本来ロックフェスなんて「フリーダム!(でも心遣いは忘れずに!)」なんだから、いまみたいに皆が同じような格好をしているのはどうしても違和感ありまくり。やっぱりロックフェスもサマー・オブ・ラブとかストレート・エッジのように「同調圧力を否定する動きが新たな同調圧力を生む」流れに逆らえないのかな。僕は逆らう。よし、今年はパリパリのシャツを着てやるぜ。あ、トム・ブラウンはランニング中にもシャツを着るんだってさ。それはめちゃくちゃ走りにくそうだよね。
著者プロフィール:長畑宏明
1987年生まれ/編集者
2014年に『STUDY』というファッション雑誌を出版しました。音楽、ファッションの分野でライターの仕事もしています。悪口とべた褒めが好きです。生来のものぐさですがやる気はあるので、よろしくお願い致します。
Lift公式サイト:lieeeft.com
ブログ: howtodancewithyou2015.blogspot.jp