今年<フジロック>に出演した沖縄出身の5人組ロックバンドORANGE RANGE。グリーンステージにて“ロコローション”や“SUSHI食べたい feat.ソイソース”、“上海ハニー”などお茶の間を賑わせたヒット曲オンパレードのセットリストは、デビュー時からのファンはもちろん、その上の世代、下の世代までも巻き込み大きな盛り上がりをみせた。
結成21周年を迎え、気づけば「子供を持つ年齢」になったという彼ら。音楽の伝え方にはどんな変化があったのだろうか。YAMATO(Vo)、NAOTO(Gt)に<フジロック>への「思い」や、車で聴く音楽の楽しさについてじっくり話を伺った。
Interview:YAMATO、NAOTO(ORANGE RANGE)
普段聴かない音楽も楽しめるのが心地いいドライブ
──フルモデルチェンジしたフラッグシップモデル、「Grand Cherokee L」を実際に試乗してみてどう思いましたか?
NAOTO まず見た目が抜群にかっこいいですね。Jeepというと、ちょっと無骨なイメージがありましたけど、結構モダンなデザインで。個人的に「SUV」は好みですし、街にも合いそうだと思いました。
YAMATO デカくて長くて、スケールの大きさに「すご!」って思いました(笑)。旧型のCherokeeやWranglerも好きでちょくちょくチェックしていたのですが、このくらい大きいと機材や楽器も楽に積められそうだなと。
──お二人は普段から車を乗っていますか?
YAMATO 沖縄は電車がないですし、どこへ行くにも車は必需品なんですよ。僕は今、この「Grand Cherokee L」と同じタイプのSUV車を持っています。1989年のモデルで、それをもう17年くらい乗り続けていますね。近年はコロナ禍で動ける範囲も限られてしまい、もっぱらNAOTOの家へ作業をしに行くときや、趣味のゴルフをやるための移動手段として使うことが多いかな。
NAOTO 僕はハッチバックに乗っています。2台目で、もう7年くらい乗っているのかな。YAMATOと同じく、普通に生活の「足」として利用していますね。
YAMATO 僕は初めて自分で購入した車なので愛着もかなり湧いているのですが、でももうそろそろ替え時なのかも知れないです。沖縄って海風がすごいので、車は「塩害」のせいですぐ傷んでしまうんですよね。「Grand Cherokee L」、検討してみます(笑)。機材やゴルフ用具を楽に積み込めるという意味でもSUV車は便利ですしね。
──車を選ぶときのポイントなどはありますか?
YAMATO 今の車を17年前に買ったときは、やっぱり見た目が好みということが大きかったです。デカくて角ばってて、車高が高く四駆であるのが必須条件だったんですけど、ずっと乗り続けていく中でメンテナンスの大変さだとか、たまに人の車に乗った時に、近年の車の進化っぷりとか、そういうところが気になるようになってきました。17年も経つと、車もかなり快適になっていたんだなと(笑)。もちろんアナログっぽい車には、最近の車にはない魅力がたくさんあるんですけど。
NAOTO 僕は車についての知識がまったくなくて、こだわりみたいなものもほとんどないんです。今乗っている車も、ディーラーさんに「おすすめですよ」と言われたものを、言われるままに買った感じで……(笑)。なので、偉そうなことは言えないんですけど、実際に乗ってみて思ったのは「燃費は大事」ということ。その点では「いい買い物をしたな」と思っています。
──車の中で聴く音楽にこだわりはあります?
YAMATO 若い頃はそれこそThe Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)とかその辺りのクラブミュージックばかり聴いていましたが、今はもうFMラジオを流しっぱなしにしているのが心地良くて。ただ、かなりガタのきている車なので、エンジン音をよく聴いてないと異常に気づかないんですよね。普段から故障も多いので(笑)、車そのものの音を聞くことが多いです。
NAOTO 「車へのこだわりがほぼない」と先ほど言いましたが、オーディオ周りはかなり改造しました(笑)。車を買ったその日にアンプやスピーカーなどカスタマイズしましたね。聴いている音楽は、基本は4つ打ち。電車移動しているときや、友人との時間を過ごすときに4つ打ちってあまり聴かないんですが、ドライブのBGMとしてはそれが最も心地いいんです。
YAMATO どちらかというと僕もNAOTOと一緒で4つ打ちの方が運転に集中できるというか。「ドライブしている」という感覚があります。こうやって話していて気付いたのですが、メンバーの中で、唯一「音楽」の話を日常でできるのはNAOTOなんです。普段からNAOTOに教えてもらった音楽を聴くことが多いし、この間も「Kula Shaker(クーラシェイカー)のライブよかったよ!」と教えてもらったり、KASABIAN(カサビアン)の新譜をその場で流して「こんなに音、変わったのか!」なんて話したりしながら移動していました。そういう時間がドライブは楽しいんですよね。
「見せたいステージを存分にやるよりも、まずは皆さんの期待に応えられるようなものにしたかった」
──今年ORANGE RANGEはバンド編成で<フジロック>に初出演しました。その感想も聞かせてください。
YAMATO とにかくずっと出たかったフェスだったので、ステージ上では冷静でいようと思いつつも、まったく冷静ではいられなかったですね。
NAOTO 僕も緊張感はすごかったです。客としてもずっと<フジロック>には行っていたから憧れの気持ちもあったし、グリーンステージに立ちながらも、「ホワイトステージではあのバンドを見たなあ」とか「あの時は、あそこであんなことがあったなあ」とか色々思い出していました。
YAMATO ただ、デビューして間もない若い頃に出させてもらうよりも、こうやってキャリアを積んでから出させてもらった方が「ありがたみ」を強く感じることができたと思うんです。
NAOTO 「今回でよかったな」と素直に思ったよね。
──セットリストも“以心電信”や“ロコローション”、“SUSHI食べたい feat.ソイソース”に“上海ハニー”、“イケナイ太陽”などお茶の間を賑わせたヒット曲満載でしたね。
YAMATO おそらく若い頃の自分だったら、新曲を中心にもっと「攻めたセトリ」にしていたと思うんですよ。今回はとにかく「はじめまして」の思いもあったし、自分たちが今やりたいこと、見せたいステージを存分にやるよりも、まずは皆さんの期待に応えられるようなものにしたかったんですよね。そういう意味でもやっぱり今回のタイミングで出させてもらえてよかったと思います。
──いろんな世代の人たちが楽しめるヒット曲を持っているのは、やはりここまでキャリアを積み重ねてきたからといえますし。
NAOTO それに、「フジロックだから」と変に気負うことなく「普段のステージ」をそのまま持ち込めば、きっとうまくいくと思っていました。しかも<フジロック>のお客さんって、それぞれがそれぞれのスタイルで自由に楽しんでいるじゃないですか。座ってお酒を飲みながら楽しんでくれている人もいれば、踊りながら見てくれている人も、みんなで動きを揃えて前の方で楽しんでくれている人もいて。そういうところも<フジロック>が好きな理由ですね。
──セトリには、沖縄の本土復帰50周年番組のテーマソングとなった“Melody”も入っていました。この曲にはどんな思いを込めましたか?
YAMATO 戦争を経験した僕らのおじい、おばあがいて、その下におとお、おかあがいて、さらにその下に僕らがいる。そうやって戦争を知っている人たちがどんどん歳を取っていく……「時代の移り変わり」を強く感じるようになってきました。戦争を経験していない僕たちが、戦争について何かを言うのは「おこがましい」という気持ちが以前はあったんです。でも、実際に戦場となった沖縄で生まれ育った僕らは、おじい、おばあたちから聞いた話、伝わってきた話を僕らよりもさらに下の世代に伝えていく「責任」があるのではないかと。
──自分たちが「子供を持つ世代」になったからこそ、伝えたいメッセージが変わってきたところもあるのでしょうか。
YAMATO それもあると思います。おじい、おばあから同じ話を聞いたとしても、聞いている側の自分が成長していれば、捉え方もだいぶ違ってくるだろうし、その重要性も歳を重ねてきてようやく分かったところもあって。それを次の世代に「こうしろよ!」とまでは言わないけど、何か考えるきっかけになったらいいなとは思っています。
──ちなみに、<フジロック>に行くときは、みんなでどんな音楽を聴いたんですか?
NAOTO みんなこれ(と言ってイヤホンを指差す)ですね。それぞれが自分の世界に入り込んでる。
YAMATO 人によってはずっとリハの音源を聴いていたり、好きな音楽を聴いていたりして。
NAOTO 僕は<フジロック>への道すがらはレゲエを聴いていましたね。緑が続く景色にレゲエってめちゃくちゃ合うんですよ。
YAMATO 確かに!
NAOTO それこそオリジナルのレゲエから、ラバーズロック、ロックステディ、ダブ、レゲトン、ダンスホール……バンドでもポリスやスペシャルズなどレゲエやスカのスタイルを取り入れている音楽ならなんでも大好きで聴きますが、<フジロック>の時は運転しなくてもいいし、眠たくなったら眠れるようにゆるいレゲエを聴いていました。
──9月14日にニューアルバム『Double Circle』がリリースされ、それを携えてのツアーが控えています。最後に意気込みをきかせてもらえますか?
YAMATO やっとライブ活動もできるようになってきた昨今、こうやってまた本数を増やせて嬉しい気持ちと「ちゃんと開催されるのかな」という不安な気持ちの両方があるのですが、無事に完走できることを祈りながらみんなのもとへ音楽を届けに行きたいと思っています。体調管理などより一層気をつけながら、ライブができる喜びを1本ずつ噛みしめながら回っていきたいですね。
NAOTO コロナ禍になって、お客さんがライブ中にできることが限られている中で、声が出せなくても「代わりにこんなことができるよ?」というアイデアを、フェスやライブなどでちょっとずつ考えてきました。今度のツアーでもそれを織り交ぜつつ新しいタイプの盛り上がり方、一体感をみんなと作っていけたらいいなと思っています。
text&interview by Takanori Kuroda
photo by 寺内暁
Jeep Grand Cherokee L
10年ぶりにフルモデルチェンジ。最大7名の乗員とどこへでも行ける、何でもできるJeep最高峰のラグジュアリーモデル。