「都会でのファッションと繋がっているようにしたかった」
――今年はフジロックコレクションにデザイナーとして参加するわけですが、相澤さんは普段、どのような格好で<フジロック>に行くことが多いですか?
僕も含めてですが、ファッション関係の人は意外と地味というかシンプルじゃないですか。僕もきっと今日着ている格好に、上からポンチョを羽織るぐらいだと思うので。靴だけはゴアテックスだったりしますが、わりと普段着に近い格好の人が周りには多い気がします。
――フジコレのアイテムもそのあたりは意識しますか?
そうですね。今回のアイテムもそのまま東京でも着られるようにしたくて。<フジロック>とは入れますが、都会でのファッションと繋がっているようにしたかったんです。僕はこれまでもいろいろなコラボレーションのお仕事をさせていただきましたが、今回は依頼が来た瞬間に二つ返事で受けさせていただきました。まずポンチョは作りたかったですね。
――このポンチョはすごく都会的なイメージですね。
サプライヤーやスマッシュさんもすごく頑張ってくれて、いわゆるフェスで買える価格になっています。でもすごいしっかりとした作りなんです。僕らのお客様でもシンプルなアイテムが好きな方は多いのですが、これは背中のプリントを限界まで大きくしました。着ていて一目でわかるし、例えばキャンプとか<フジロック>ではない場所でも着られると思います。いわゆるフェスっぽいポップなアイテムはたくさんあると思うのですが、意外とブラックでシンプルにロゴの入った、誰でもいつでも来られるアイテムは少ないのかなと。実物はさらにカッコいいので、これを着ている人を現場でたくさん見られたら嬉しいです。
――これなら今日のような雨のときでも着たいなと思いました。そのほかにも同じテイストでTシャツやフーディー、キャップなどのアイテムがありますね。
先ほどの話のように、僕はTシャツにフーディー、ショートパンツで行くと思うので。自分が行く格好を作りたかったんです。今日は違いますが、普段はキャップも被っているので。自分が<フジロック>に行くときのアイテム一式というイメージです。
――一見すると「これがフジロックのアイテムなんだ!」という感じがします。
イベント感があるようでないようなイメージ。ただ、日程は入れちゃおうと思ったんですね。省いたらオシャレっぽくなることってあるじゃないですか。だけど、ちゃんと情報もしっかり入れた上でカッコよく作るっていうことをコンセプトにしました。
――ぜひ多くの人に着てほしいですね。今年は仕事も兼ねて行くので準備は万端だと思いますが、楽しみにしているアーティストはいますか?
シーア(Sia)ですね。この日はデス・キャブ(・フォー・キューティー/Death Cab for Cutie)も僕は大好きなので。アメリカン・フットボール(American Football)もいいですね。今年はちゃんと見よう。行っても飲んでて、結果的にまったく見てない年とかありますからね(笑)。
――今年は誰と行くかはもう決めているんですか?
今年は初めてスタッフと行くんですよ。あ、あとOAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)も出ますよね。僕は彼らのPVとかでスタイリングもしていたんですよ。なので彼らとずっと飲んでいると思います。20代から一緒に飲んでいたみんなと仕事をしたり、今でも飲んだりできるのは嬉しいですね。
――あと個人的に好きなステージはありますか?
ホワイト・ステージですね……White Mountaineeringですから(笑)! サイズ的にも見やすいですし、出ているアーティストもお客さんも“無印感”がある。ライブもごちゃまぜで、出演するアーティストのバランスや客層がころころ変わっていく感じもすごく好きです。
――最後に、改めて相澤さんにとって<フジロック>とはどんなフェスですか?
すごくクサい言い方をしてしまえば、僕の音楽の楽しみ方を変えてくれたフェス。<フジロック>とともに自分も歳を重ねている気がします。ハタチのときに受けた影響がこの20年間ずっと繋がっていて、毎年楽しみにできて、いつかは子どももきっといくだろうなと。ずっと続いてほしいですし、行けなかったときも発表を楽しみにしていて、終わったあとに雑誌とかでまとめの記事をずっと読んでいました。あと同じアーティストがほかのフェスに出ていても、何か違うんですよね。その意味でも僕は<フジロック>に行くっていう行為が好きなのだと思います。
――まだ<フジロック>に行ったことのない人には、いろいろな面でハードルを感じている人もいるかもしれないのですが、何かアドバイスはありますか?
僕はスノーボードに行くのも好きなのですが、苗場も幕張とかに行くよりどこか近い感覚なんですね。行ったことがない人からしたら車が無ければ行けないとか含めて、いろいろハードルに感じてしまっている部分はあるかもしれませんが、新幹線でも2時間掛からない。意外と簡単に行くことができるので、思いついてタイミングさえ合えば、みんなで行けると思います。
――相澤さんのように<フジロック>を愛していて、結果的に今回のように仕事として関わることができるというのは、羨ましいと思う人がたくさんいると思います。
僕もやりたいなと思っていたし、これまで他のデザイナーがやっているのが羨ましかったですからねなので今回のフジコレへの参加は、ここまでブランドを続けてきたことへの“ご褒美”なのかなと思います。
text&interview by ラスカル(NaNo.works)
https://www.instagram.com/rascaaaaal/
photo by 大石隼土
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