「とにかくクリーンで、『みんなで作っているフェスだ』という気持ちが大事だな、と改めて思いました。」
「<フジロック>は入り口でゴミ袋も配ってくれるので、仲間で分別したりもしますよね。」
――ほかに昨年の<フジロック>でのエピソードはありますか?
片瀬 そうですね、去年は開催後にゴミ問題が話題になりましたけど、私も気になったんです。塵も積もれば、ですから、1人1人が心掛けることが大事ですよね。とにかくクリーンで、「みんなで作っているフェスだ」という気持ちが大事だな、と改めて思いました。
――新しく来場される人たちにそこが伝わりきれてないという話なのかもしれませんね。
片瀬 確かに、最近は新規の方も多いですもんね!
――もちろん今でも海外のフェスに比べたら綺麗だとは思いますが、ゴミの問題はこれからも継続して伝えていくことが大切なのかもしれないですね。ちなみに、<フジロック>会場が綺麗だと実感したエピソードはありますか?
片瀬 やっぱりいつも凄いなと思うのはゴミ捨て場にゴミ箱だけ置いてあるんじゃなくてちゃんとボランティア・スタッフさんがいることですよね。その人が分別のことまで「割り箸はこちらですよ」って言ってくれる、あの優しさ。
澤部 そうそう! まだゴミ箱までちょっと距離が遠いところから、「こちらです!」って早めに教えてくれますよね。<フジロック>は入り口でゴミ袋も配ってくれるので、仲間で分別したりもしますよね。<フジロック>のお客さんは1人1人の意識が高いので。
片瀬 あの環境づくりは素晴らしいですよ。私は<フジロック>はディズニーランドだと思っているので! ごみ問題についても<フジロック>自体は既に色々な取り組みをしていると思うので、あとは私達(来場する人たち)が持つ意識の問題なんだと思いますね。
――先ほど雨の話が出たので伺いたいのですが、去年は雨すごかったじゃないですか? どんな風に過ごしましたか。雨対策で役に立ったものは?
片瀬 私はもう、むしろ張り切って出て行きましたね! (フェス会場は)傘もさせないし、とにかく水を弾くものを着るのみです!
澤部 それしかないですよね。僕は子供がいたので、子供を背負えるタイプのグッズとレインウェアを持って行ったら背中からすっぽり包めて、全く濡れなくて便利でした。
片瀬 あと意外と重要だと思うんですけど、カイロは持ってた方がいいです。夏なので昼間は暑いから油断しがちですけど、夜は結構冷えるので。雨が降ると特に冷えるし、カイロを何個か持っておくとすごく便利だと思います。
――準備をしっかりしておけば、大雨の中で観る<フジロック>のパフォーマンスは、むしろ特別な思い出になりますよね。
澤部 アーティストの方もより盛り上げてくれますよね! 雨に関するMCを入れたり、パフォーマンスもいつも以上に盛り上がっている感じがします。
片瀬 去年も言いましたけど、「雨に負ける人と勝つ人」がいると思うんです。いかに雨を味方にするかですよね。「勝つぞ!」という気持ちでライブをしてくれたら、観客は「頑張れ!」って気持ちをぶつけるわけですよ。
澤部 それで、途中で雨が止んで光が差し込むパターンとかね!
片瀬 「これはVJかな」というくらいの、奇跡の瞬間がありますよね。夜だと特に、レイザーや照明と相まって幻想的になって、生で観ているのにすごく特殊な映像を観ているような気持ちにもなります。それがまた、現実っぽくない風景ですごく好きですね。
澤部 2013年にサヴェージズ(Savages)がホワイトに出演した時は、確か天気が悪かったんですよ。でも激しいヴォーカルのシャウトがすごくて、心を揺さぶられました。あと、それを観にいっていた友達が後日、ヴォーカルの女性と神保町でバッタリ会ったそうで、僕のところに写真が送られてきて……。その時の写真の笑顔が、ライブの時とは全然違う可愛らしい表情だったのも印象的でした。友達もよく気づきましたよね(笑)。貴重な経験でした。
――お2人にとっての昨年のベストモーメントを選んでもらえると嬉しいです。
片瀬 私はたくさんライブを観ましたけど……やっぱりビョークには敵わなかったですね。ビョークのあの衣装は何だろう、仮面みたいな? すごかったですね。ビョークは立っただけで時が止まるというか、あの一瞬の始まる前の静寂が好きです。「ついに来る!」という、エンターテイメントが始まる空気がたまらなく好きですね。過去に何回もビョークのライブは観てきてますが、今回のセットリストは本当に誰もが楽しめるもので最高だったと思います。
澤部 僕は懐かしさ含めてジェットですね。テンションが上がりました。一般的には1stアルバムのイメージが強いと思いますけど、僕的には2枚目、3枚目も好きだったんですよ。その辺りの曲もやってくれて、でも結局最後は“Are You Gonna Be My Girl”で盛り上がりました。テンション爆上がりでしたよ。でも、子供達はちょっと引いてました(笑)。僕は普段そんなに明るくないので、テンションが上がる父親にびっくりしてましたね。
――初めてご家族と一緒に行って、反応はどうでした?
澤部 子供たちは「また行きたい」という風になってました! 帰ってからも「山に行きたい」ってずっと言っていて、めちゃくちゃ楽しんでました。次回行った時に、キッズ・ランドへ行ったらやばいでしょうね。今は何にもなしで「楽しい」ってなってるぐらいですから、より遊べるものがあれば。ただ、初めてアーティストのライブを観るという経験には緊張していたみたいですよ。目の前で動くケロポンズを観て固まってました(笑)。それが今年はさらに慣れて、より楽しめたらいいなと思います。
片瀬 澤部さんにとっても初めての経験になったんじゃないですか? 友達が初めて来るのとはわけが違うと思うし、自分の子供が初めて色んな経験をしているところを見られるのは、きっと凄く楽しいですよね。私の場合、日曜の生放送番組の『シューイチ』(毎週日曜放送)に向けて一度土曜の深夜に東京へ戻って、番組終わりにまた苗場に戻ってくるんですが、そこが実は1番のハイライトかもしれないです(笑)。本来、年に1回しか苗場に向かえないはずが、1回東京に戻ってまた会場に向かうっていう、年に2回<フジロック>に行ける感覚! あと<フジロック>で毎年会う人や見かける人っているじゃないですか。その人たちが結婚したり、子供を連れてきたりしているのを見かけると勝手に感動しちゃったり……!
澤部 そう、ありますよね。僕も「写真を撮らせてください」って声をかけてくれたカップルの子達が「実は何年か前にも澤部さんと写真を撮らせてもらったんですよ。その時はまだ結婚してなかったんですけど、今はもう結婚しました」っていきなり結婚の報告を受けました(笑)。僕も「おめでとうございます!」っていう、謎の関係性ですが。現地ならではの出会い、思い出はありますよね。
片瀬 そうですね。1年に1回しか合わない人たちだけど、やっぱりそれも大事な思い出というか、<フジロック>を感じるところでもありますよね。
――2018年の<フジロック>はどんなことが楽しみですか? 「こんなアーティストが観たい!」 など、今思っていることを教えてください。
片瀬 私はDJシャドウ(DJ Shadow)。あと、もう1度プレフューズ73(Prefuse 73)も観たいです。ホワイト・ステージで観られたら最高ですね。ブッカ・シェード(Booka Shade)とか! 観たいですね〜。単独では日本には来てくれなさそうなので、ぜひ<フジロック>にお願いしたい!
澤部 今年はアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)は来るんじゃないかと予想してます。あと、個人的に期待したいのはストロークス(The Strokes)。前に<フジロック>に来た時、僕は相当疲れていて、後ろの方で膝をガクンガクンさせながら観たんですよ(笑)。その後悔もあるのでリベンジというか、来てほしいですね。フランツ(・フェルディナンド/Franz Ferdinand)も観たい!
片瀬 そういえば1月末頃にフランツが『ミュージックステーション』に出ていましたよね。ビックリしました。「フランツが『Mステ』に出てるー!?」と思って。<フジロック>の会場で聴きたいですね〜。
――今年の<フジロック>そのものに期待することを挙げるなら?
澤部 開催してくれさえすれば、我々はもうそれだけでいいんですよ。でも、去年はずっと雨だったので、今年はもうちょっと晴れてほしい!
片瀬 私は1日目から雨が降ってほしいなぁ。ずっと雨が降ってても良いかも!
澤部 それは特殊過ぎるでしょ(笑)! 去年はまさにそんな感じでしたよね。
片瀬 なので、私はウキウキでした。そのぐらいの天候の方が、逆に晴れた時に「ラッキーだな」と思えるので、気持ちが滅入ったりもしないんです。私は一年前からスケジュールを抑えているので、今年もゆっくり楽しむつもりです。
澤部 僕も、また家族で行くことにしました。今年は子供に晴れた<フジロック>も楽しませてあげたいし、子供がキッズ・ランドで遊んでいる最中に僕も多めにアーティストを観たいです。去年は家族でのフジロック・デビューだったので、今年は子供たちも自分もお互いに楽しめる過ごし方が出来たらいいな、と。
片瀬 あとは、去年やっと気づいたことがあって……今年はおぼんを持っていこうと思っているんです。ご飯を食べるときにテーブルがないので、汁物とかがこぼれちゃったり、人とぶつかったりしますし。だから「おぼん持って行こうかな」って。
澤部 おぼん(笑)! 何かありそうですけどね、折りたたみ式のいいやつがね。
片瀬 コンパクトなおぼん探します!!