毎回様々なゲストに<フジロック>の魅力/思い出/体験談について語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回は以前それぞれに登場していただいた記事も大好評だった、女優の片瀬那奈さんと沢尻エリカさんによるフジロック対談をお届けします。
それぞれ16年と15年に「TALKING ABOUT FUJI ROCK」に登場していただいた片瀬さんと沢尻さんは、苗場でもともに行動することがあるフジロック仲間。海外フェスなどに行くことが多かった沢尻さんが初めて<フジロック>に参加した13年も、第2回から毎年足を運んでいた片瀬さんが「絶対に楽しいよ」と誘ったことがきっかけになったそうです。今回は2人の<フジ>での交流や現地での思い出、そして今年の<フジロック>で観たい楽しみなアーティストについて、たっぷりと語ってもらいました!
Interview:片瀬那奈×沢尻エリカ
片瀬「(エリカは)丘が好きだよね(笑)」沢尻「あの景色を俯瞰して観るのが好き」
沢尻エリカ(以下、沢尻) 去年のラインナップもよかったですけど、今年のラインナップ、やばいですよね。
片瀬那奈(以下、片瀬) そう、今年はやばい! エリカはどれが一番観たい?
沢尻 ビョークはもちろんだけど、エイフェックス・ツイン、ボノボ、ザ・エックス・エックス、メジャー・レイザーも楽しみだよね。
――片瀬さんと沢尻さんは過去にそれぞれ「TALKING ABOUT FUJI ROCK」に出ていただきましたが、お2人は音楽仲間だそうですね? 普段どんな話をするのでしょう?
片瀬 話というよりは、お互い好きな曲をかけて「いいね」と言い合ったり、お互いに好きな曲をかけて踊っていたりする感じですね。
沢尻 共通して好きなものはダンスミュージック。サッシャとか、ルチアーノとか。 片瀬 お互いプログレッシヴ・ハウスっぽいものやエレクトロニカっぽいものが好きなんです。どこか海を感じる、ハウシーなイメージのものが多いですね。
――では、2人で<フジロック>の話もしますか?
沢尻 それはもう、ガンガンします(笑)。私は4年前に初めて<フジロック>に行ったんですけど、そのときも那奈が「フジロック行こうよ。何で行かないの?」と誘ってくれたのがきっかけだったんですよ。
片瀬 絶対好きなはずだし、フェスやレイヴも行ける人なので、「絶対楽しいよ」と思って。
沢尻 その年にちょうどビョークが出るということで、「じゃあ行こう」となって、みんなで行ったのが私の初めての<フジロック>でした。
片瀬 でも、そのときすでに、エリカは<フジロック>が初めてだとは思えないほどだったよね。ずっとグリーン・ステージの後ろの方に陣取っていたし、朝まで会場にいたんだよね(笑)。
沢尻 いた(笑)。それは2年目かな。オールナイトフジのところに朝までいたんですよ。
片瀬 私が「先に休んでるね」とホテルに戻ったんですけど、なかなか帰ってこなくて(笑)。朝になっても、一時間待っても二時間待っても……帰ってこない。何かあったんじゃないかと心配しました(笑)。
沢尻 帰る前に、一回川で休憩していたんですよ。そこを「もう出てください」と言われてからも、会場を出るまで30分ぐらいかかるので、途中で何回か休憩してたら時間がかかっちゃった(笑)。
片瀬 暑いしね。でも、「あと15分で会場を出る」と聞いてからも全然帰ってこなくて、不安になりました(笑)。
――それだけ楽しんでいたということなんですね。2人は去年も<フジロック>に行かれたそうですが、当日はどんなアーティストを観ましたか?
片瀬 去年はあまり一緒に行動しなかったんですよ。でも、ディスクロージャーのときに落ち合ったよね。
沢尻 そうそう、ディスクロージャーで合流しました。私は去年は、ホワイトにいることが多かったです。ディスクロージャー、よかったなぁ。
片瀬 確か、ディスクロージャーはシガー・ロスとタイムテーブルが少しかぶっていたよね。シガー・ロスのステージが終わる20分前ぐらいにダッシュで向かいました(笑)。
沢尻 私は絶対に入場規制になると思ったから、早めにホワイトに向かっていたんです。それで、また斜面のところで色んなライブを観ていて。
片瀬 丘が好きだよね(笑)。
沢尻 (笑)。<フジロック>では自分だけのスポットを見つけるのが本当に好きで、いい場所を探してゆったり観たい。それが楽しいし、あの景色を俯瞰して観るのが好きなんです。
片瀬 私も丘が好き。でも、ホワイト・ステージだけは前で観るのが好きです。お気に入りの定位置があるんですよ。何かあったらすぐにはけられるというのも大事ですからね。
沢尻 あと、去年はグリーン・ステージで初めて八代亜紀さんを観たんですけど、それがすごくかっこよくて! <フジロック>のようなフェスに出られるイメージはなかったですけど、びっくりしました。つい見入っちゃいました。
――たまたま遭遇したライブで新しい発見がある、というのも魅力のひとつですね。
沢尻 本当にそうですね。
片瀬 まったく知らなかったアーティストでも、移動しているときに「すごくいい曲だな」と思って、そこから調べて聴きはじめることがあったり。特に<フジロック>は、そういうことが多いと思います。(17年のラインナップを見ながら)今年はジェットが出るんですよね? ジェットは思い出深いです。最初(03年)にレッドマーキーで観たときは、本当にセンセーショナルでした。今回はまた復活してやってきますけど、一回<フジロック>で観たアーティストがまたやってくると、「おかえり」という気分になりますよね。
――ちなみに、音楽以外での思い出というと? <フジロック>はご飯も美味しいです。
片瀬 私は鮎の塩焼きと、苗場食堂のとろろめしと、最近はワールドレストランのガレットもお気に入りですね。
沢尻 会場では食べて踊っての繰り返しで、お腹が空くのでつねに何か食べていると思います。
片瀬 最近は雨が降らなくて体力を消耗するから、ちゃんと食べなきゃいけなかったよね。
――2人はお酒も飲まれる方ですか?
沢尻 私はもう、大好きです。
片瀬 エリカはすごく好きだよね。ちなみに、エリカが作るお酒は美味しいんですよ。私はあまり飲めない方ですけど、それは美味しいから飲めちゃう。
沢尻 当日は会場を隅から隅までぐるぐる回っていますよ。前回の取材のあとに初めてドラゴンドラにも乗ることができて、実は去年も乗って山頂まで行きました。
片瀬 そうだ、私は去年ドラゴンドラに乗ろうと思って、入り口で迷ったんですよ(笑)。10数年ぶりに「ドラゴンドラに乗ろう」という話になって久しぶりに向かったら、間違えてテントサイトの奥まで行ってしまって(笑)。途中から畦道みたいになってきて……。ちょうど同じ境遇の人に「こっちであってますよね?」と言われて「こっちです!」って(笑)。
沢尻 でも確かに、ゴンドラの搭乗口はちょっとだけ離れているんだよね。
片瀬 あそこはもうちょっと分かりやすくしてもらえると嬉しい(笑)。
沢尻「フジロックは戦いです」片瀬「そんなことないでしょ(笑)」
――では、今年のラインナップで楽しみなアーティストというと?
片瀬 一番はもちろんビョークです。でも、ビョーク以外だと、私はゴリラズ。大好きなんですよ。DVDも含めて全部持っているし、カラオケでも歌うぐらいで。
――沢尻さんが楽しみなアーティストというと?
沢尻 私は最初にも言いましたけど、ボノボとザ・エックス・エックス。
片瀬 私も観たい。エックス・エックスはまだ観たことがないので、今回初めて観たいです。あと、小沢健二さんも、ずっと好きなCorneliusも観たい。アルカも気になります。アルカはビョークをプロデュースしているし、この人のMVってすごいじゃないですか?
――今回一緒に出演するジェシー・カンダはまさにそのMVを作っている人なので、ライブもすごいものになりそうです。
片瀬 映像にもこだわりがある人なので、どうなるのか楽しみですね。2日目はエイフェックス・ツイン。エイフェックスのライブを観ているときの、お客さんの顔を観たい(笑)。
沢尻 あははは。
片瀬 「みんな、どんな顔をして観るんだろう」って(笑)。10代の人たちの中には、ブレイク当時のことを知らない人もいると思いますしね。
沢尻 あと、私はニーナ・クラヴィッツも楽しみです。ニーナは私、ウインクしてもらったことがあるんですよ。アイスランドのフェスで一番前で踊っていたら、本当に至近距離で目が合って、「わぁ、ニーナだ」と思ったらウインクしてくれて。本当に可愛かった!
片瀬 可愛いのにあの音だもんね。ロングセットで5時間ぐらい聴きたいです。
沢尻 (笑)。今年は本当に盛り沢山で、3日間飽きないんだろうな、と思いますね。
――ちなみに、ここに追加されてほしいアーティストというと?
片瀬 それは沢山います(笑)。でもやっぱり、<フジロック>というとケミカル・ブラザーズですね。よく出るアーティストですし、またいつ出るのかな? と思っていて。それに、ケミカルは雨に強い人たちで、フジに愛されてるなぁと思います。雨に打ち勝つアーティストにはぐっとくるし、「プロだなぁ」と思います。私は、雨に強い人募集中です(笑)。<フジロック>は雨が降ったときの方がテンションが上がるんですよ。
沢尻 確かに、最近は雨が降っていないしね。
――最近は女性のフジロッカーもますます増えている印象ですが、片瀬さんと沢尻さんがオススメしたい、現地で使える便利グッズというと、どんなものがありますか?
沢尻 日焼け対策として、絶対にサングラスや帽子は必要だよね。暑いですし。
片瀬 あとは雨対策でポンチョ。日焼けも防止できるので、私は基本的にポンチョのような、防水タイプのものを持っていきます。
沢尻 イスも必需品ですよね。持ち運べて、サクッと動けるスタイルにして、いつもリュックの中に入れています。
片瀬 あとはライト! ライトは2個ぐらい持って行って、ひとつ切れても大丈夫なようにしています。ライトを持ってると知り合いに自分の場所を教えやすいんですよ。目印になる。
沢尻 「ここだよー!」って?(笑)。私も2~3年前、<フジロック>に行くときにポイをはじめて買って持って行ったんですよ。それが「初ポイ」で、そこからポイを回すのを練習するようにもなって。色んなフェスに持って行って、ポイの上級者を見つけたら「すみません、教えてもらっていいですか?!」って聞いたりしています(笑)。
片瀬 いきなりエリカが「ポイを教えてください!」って来たら、きっと動揺するよ(笑)。
沢尻 (笑)。最近はちょっとずつ上手くなってきてて。しかも、照明にもなるから、いつもぶら下げて歩いているんですよ。座ったときにもいい感じの照明になるのでオススメです。
――なるほど、そんな使い方があったとは……(笑)。今年<フジロック>に行こうかとまだ二の足を踏んでいる人たちに、何かメッセージをいただくことはできますか?
片瀬 <フジロック>ってたやすくはないし、ハードだと思うんですよ。普段クラブに行ったり、音楽を聴いたりするのが好きな人でも、「敷居が高そう」と思っている人も多いはずで。でも、最近なかなかクワワクすることって少なくないですか?<フジロック>は「行けば何かが起こる」という雰囲気が絶対にあるので、ワクワクしに向かってほしいです。もちろん、装備は万全にして、ですよね。
沢尻 とにかく、「100%楽しむ」というモチベーションで向かって、攻めてもらえたらきっと楽しいと思います。攻めて攻めて攻めまくって……(笑)。私の中では、<フジロック>と私の勝負なんですよ。勝つか負けるかの勝負です(笑)。
片瀬 勝ってるの……?(笑)。
沢尻 今のところは勝ってる(笑)。勝敗の決め手は、自分の「やり切った感」ですね。3日間を通して全部を楽しむというか。だから、(声を張って)「フジロックは戦いです」。
片瀬 そんなことないでしょ(笑)。<フジロック>って、毎回違った楽しさがあると思うんですよ。私は第二回から毎年行っているのに今もワクワクするし、一回行っただけでは全部は楽しめないと思う。それがいいんですよね。置き土産みたいに、「じゃあ来年は、今年行けなかったところに行こう」って、毎年違った楽しさを見つけられるし、知りすぎてもなお楽しい。私の中ではディズニーランドと一緒です(笑)。何度行こうと楽しくて、行くたびに発見がある。会場に向かえばきっと、新しい自分に出会えると思いますよ。
沢尻 本当にそうだよね。今年もすごく楽しみです。そういえば私、<フジロック>の会場で思いついた俳句があるんです。
――おおっ、本当ですか。では最後に、それで締めていただけますか?
沢尻 (コホン、と咳ばらいをして)「夏休み/大人の遊び/フジロック」。
――お2人とも、ありがとうございました!
INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL’17
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
OPEN 09:00/START 11:00/CLOSE 23:00(予定)
片瀬那奈
沢尻エリカ
text&interview by Jin Sugiyama
photo by 横山マサト
片瀬那奈さん衣装
トップス ¥34,000(税抜)/パンツ ¥25,000(税抜):08サーカス/エム(問:03-3498-6633)
スニーカー ¥45,000(税抜):ワーク オン/スタニングルアー 青山店(問:03-6418-4783)