「フジロックは新しい出会いや発見の場」

originallove_tajimatakao_3 田島貴男が語る、ORIGINAL LOVE最新作『bless You!』とフジロック出演への想い#fujirock

――今年は<フジロック>に初出演となるわけですが、伝説の第一回目の参加を始め、ふと思い立ってバイクで単身観に行ったりと、かなりこれまで参加されてきたとか。

そうなんです。僕の場合、日本の音楽よりはどちらかといったら洋楽の方が好きなんで、最初の<フジロック>の時は、それこそ自分が普段聴いている洋楽のアーティストが一度に介するんで、マジかよ!!ってビックリもしたし、心躍りましたよね。「絶対に行くぞ!!」って。それこそ最初の3~4回は欠かさず毎年行ってましたから。豊洲も行ったし。

――あの第一回目をお客さんとして体感したアーティストさんもそう多くいないと思われます。

いやー、大変でしたよ。今となってはそれも含めていい体験だったとは思っていますが (笑)。土砂降りの中、会場も河みたいになっちゃって。足もひざ下まで泥につかるところもあったり。救急車も来たり、「なんかすごいところに来ちゃったゾ」って(笑)。でも、あの劣悪な環境の中、レッチリとレイジは普通にめっちゃいいライブをやってましたからね。中でもあんなコンディションの中、レッチリの演奏が揺るがなかったのには感心しました。演奏も完璧な上にむちゃくちゃオーディエンスも盛り上げていて。

――それだけ<フジロック>に思い入れがある田島さんでしたら、ここまで「何でこの俺に声がかからないんだ?」と思ったこともおありでは?

最初の頃は出たいとも思ってました。とは言え色々と事情もあるでしょうから(笑)。自分が願っていても叶うものでもないでしょうし。逆にここ数年はそんなことずっと忘れていたから、今回は意表を突かれたところはありました。「ホントに決まったんだ!?」って。

――思い立ってバイクに乗ってフラッと苗場を訪れた話も訊かせて下さい。

行きましたね。ブライアン・フェリー(ROXY MUSICのボーカルとして出演)とデレク・トラックス(DEREK TRUCKS & SUSAN TEDESCHI BAND)が観たくて。その時はジョン・フォガッティ(CCR)も観たんだけど、素晴らしいライブで感動しました。でも皮ジャン、皮パンの着の身着のままで行ったんで、着替え等も全く持って行かずに。いやー、あん時は暑かった(2010年)。

――まさにロッカーですね。

行くときはほとんど一人ですからね。友達と連れ立って行ったことってないかも。バイクでよく行くんですけど、一番最後に<フジロック>に行った際は夜中の2時~3時に力尽きちゃって。よし帰ろう!と思い立ち、バイクでひたすら真っ暗且つ雨で前が何にも見えない中、高速を目指して山道を走り抜けてました。ところが高速に入ってもずっと真っ暗で(笑)。朝の6時ぐらいにようやく家に辿り着いた想い出があります。

――基本、田島さんの場合は、来られた際は毎度音楽をガッツリと楽しんで帰るタイプなんですね?

もちろんそうです。基本はアーティストのライブを観に行く為に行ってますから。そこにも理由があって。フェスが全盛になるのと比例して、海外アーティストの単独の来日公演の数が減ってきたんですよね。フェスでしか来なかったり、フェスでしか観れなかったりってアーティストも多い。僕は興味がある音楽は体感したいタイプなので。やはり作品とライブは別物じゃないですか。だからフェスに行ったらガッツリ観るタイプ。だけど、もちろんあの苗場の雰囲気も好きですよ。なんか70年代のヒッピーカルチャー的な共同体みたいな感じとか。あれを見るにつけ、自分の大学時代の学祭を想い出すんです。僕、大学は和光大学なんですが、当時の学園祭はなんかあんなノリで。

――これまでで想い出に残っているアクトはありますか?

これまで数多く観てはいるんだけど、やはり第一回目のインパクトが大き過ぎて(笑)。最初のレイジとレッチリ、それからATARI TEENAGE RIOTは衝撃的でした。ATRはホント痛快で。当時、爆笑しながら観てました。ATRはリハーサルでも自分たちで機材のセッティングや調整を真面目にやっていて。「本当にこの人たち?」って思ってたんだけど。実際、ライブが始まって、再度ステージに登場した際にはいつものあの感じで。1曲目から全開で暴れまくってましたね。音も凄かったけど、アレック・エンパイアが途中息切れしちゃったのか?ヘバっちゃって。あの女の子のメンバーがそのぶん頑張ってた。

originallove_tajimatakao_4 田島貴男が語る、ORIGINAL LOVE最新作『bless You!』とフジロック出演への想い#fujirock

――ここ最近の<フジロック>への参加は?

ここんところは残念ながら行けてないですね。そうそう。去年はいけなかったんだけど、かわりにネットで観てました。その時に観たアンダーソン・パーク(Anderson .Paak)に衝撃を受けて。「なんだこいつスゲエ!!」って。新しいスターの登場を感じましたね。時代はディアンジェロから彼に移ったとの確信がありました。

――今回のニューアルバム『bless You!』は昼夜野外屋内ステージ問わずアルティメットな印象があるので、どのステージでどの時間でやっても映えそうですね。

内容等はこれから考えます。本気出しますから。まっ、ずっと本気ではやってますが、それを上回る、ここならではってヤツを。ORIGINAL LOVEの神髄はやはりライブなので。ライブならではの良さを是非観てもらいたいですね。

――対して、参加する側として何か観たいアクトはあったりしますか?

ザ・キュアーですね。キュアー大好きなんですよ。

――意外ですね。

僕の青春の音楽ですから、キュアーは。高校1年から3年まで僕と木暮(木暮晋也)はボーカルのロバート・スミスになりたかったですから。木暮なんてそれこそ当時のロバ夫(ロバート・スミス)と同じ髪形をして学校に行ってたぐらい(笑)。あいつは初来日公演も学校サボって当時住んでいた郡山から東京まで観に行ってましたから。特に僕は彼らの『Pornography』(4th album)が好きで。今や世界的に有名ですけど、当時は全くアメリカではウケていない状況でしたからね。なのでキュアーが今や世界各国の大型フェスのヘッドライナーをつとめるのが信じられなくて。「嘘だろう?」って(笑)。まさか2019年にキュアーをこんな大きなロックフェスで観れるなんて……だし、それこそ大好きだった1st~4thアルバムまでの曲を演ったら間違いなく号泣でしょう。それと同じ年に自分たちも出演できるのも嬉しいし。そこが<フジロック>の凄さや取り合わせの面白さなんでしょうね。

――他、何か観たいアクトがあったりは?

他にもジェームズ・ブレイクやThe Cake等、沢山あるし、あとは知らないアーティストを観れるチャンスでもあるので、機会があったら逆に知らないアーティストを観たいですね。アンダーソン・パークもあのネット中継を観るまで全く知らなかったんで。それ以降、なんか出会いみたいなものにも期待しています。

――最後に憧れでもあった<フジロック>でみなさんの前で歌うことへの想いがあったらお願いします。

ORIGINAL LOVEを名前しか知らない方や、ここ最近観てない方々にもこの機会に観て欲しいですね。このようなフェスはそれこそ新しい出会いや発見の場でもあるので。このタイミングで出会ってくれたり、発見してもらえたら嬉しいです。とにかくやる気十分でソウルパワーを爆発させますから。

originallove_tajimatakao_5 田島貴男が語る、ORIGINAL LOVE最新作『bless You!』とフジロック出演への想い#fujirock

originallove_tajimatakao_6 田島貴男が語る、ORIGINAL LOVE最新作『bless You!』とフジロック出演への想い#fujirock

text&interview by 池田スカオ和宏
photo by Chika Takami