佐藤「(フジロックでは)自分のサイクルで新しい音楽を見つけてもらったら、嬉しいな」

――その後2001年にはフィールド・オブ・ヘブン、2003年にはホワイト・ステージ、そして2005年にはグリーン・ステージに立ちました。そのあたりで印象に残っているのは?

佐藤:初めてグリーン立った時は「あ、ここでやらなウソやな」って思いましたね。今はそれぞれのステージのよさがあると思うし、だからこそ2011年にはそれまで出たことのなかったレッド・マーキーに出たんですけれど。やっぱり苗場の山があって、お客さんがダーっている景色を見たら、普通に嬉しかったです。

岸田:ね、<フジロック>に関してはいつまで経っても自分がお客さんの立場になってしまうんですよ。特に2001年にニール・ヤングをグリーンで見たのが忘れられなくて。僕が今まで見たロックのコンサートの中でも、一番記憶に残るライヴですね。人のライヴを観てあんなに幸せな気分になるのもなかなかないと思えるくらいすごい体験で、完璧な時間やった。「<フジロック>、これをやってくれてありがとう」という気持ちになったんですね。せやから、そんなステージに自分らが立つということで、すごく不思議な気持ちになって。グリーンから見えたのは確かに素晴らしい景色やったんですけど、それ以上に特別なものがありましたね。

佐藤:僕も一番デカいのはニール・ヤングですね。後ろの方の緩やかな傾斜で寝そべりながら観てたんですけど、他のフェスでは観れへんやろなって思います。

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――他にも印象深いライヴはありますか?

岸田:あとはPrefuse 73がレッド・マーキーでやった時のライヴもすごくよかったですね。腰が砕けるまで踊ってた。

佐藤:レッド・マーキーで観たリッチー・ホウティン、アヴァロンで観たエディ・リーダーも印象に残ってますね。

岸田:変な話かもしれないけど、僕らは時代的にもバンドの歴史的にも<フジロック>と共に歩んできたような感覚があるんですよね。僕らはもともとお客さんとして<フジロック>に行っていて、そうしたらそのまま出るようになって。デビューした後もお客さんと混じって過ごしてましたから。

――お客さんにも話しかけられました?

岸田:「サインくれ」とか「写真撮って」って言われたら「タバコくれたらええよ」とか言ってました(笑)。

佐藤:ステージでも言うてたね。

岸田:あと、よく覚えてるのはホワイト・ステージに出た時のことですね。ヴィンセント・ギャロが袖から踊りながら観てくれてたんですよ。で、終わった後に「お前ら、めっちゃええ」って言うてくれて。で、電話番号を教えてくれたんですけど、電話したら繋がらんかった(笑)。

――いい話沢山ありますね。

岸田:そんな話いっぱいありますよ。苗場のホテルでプライマル・スクリームのボビー・ギレスピーを待っているお姉さんがいっぱいいて。「すっごいなあ」って思いながら歩いてたら、Jマスシスが、そのへんをずっとうろうろしてるんです。「これはきっと、このお姉さんの誰かに話しかけられるのを待ってるな」って思ったり(笑)。

――では最後に。<フジロック>にはこういう楽しさがあるんだよ、こういう過ごし方をしたらいいよというアドバイスをいただけますか。

佐藤:商業的フェスは、やはりショーケースだと思うんです。だけど<フジロック>はライヴやと思うんですね。大自然があって、ライヴを見なくても楽しいことが一杯ある。でも、知らへんバンドを見られるいい機会なので、せっかく来たならいっぱい歩いて、いっぱいライヴを見てもらいたいですね。しかもずっと寝そべって、ビールを飲みながら楽しんでみてもいいわけだから。自分のスタンスでいろんな知らない音楽を楽しんで、「あ、これ好きやな」って思ったらCD屋さんに行ったりして。自分のサイクルで新しい音楽を見つけてもらったら、嬉しいなと思います。

岸田:<フジロック>って、不思議な開放感があると思うんですよね。そういうお祭りに近い感覚は、きいひんとわからへん魅力やと思うし。夏休みにやることない人は、行くと絶対に楽しいと思います。西日本や九州、四国の人にとっては遠い場所なんですよね。だから<フジロック>だけではなく、温泉とか日本海とかに寄って遊んで帰ってくる。旅行とワンセットにするっていうのもいいんじゃないですかね。

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text&interview 柴 那典
photo by 横山マサト

INFORMATION

FUJI ROCK FESTIVAL’17

music140217_fujirock1 “フジロックと共に歩んできた”くるりが語る、フジロックの20年間

2017.07.28(金)、29(土)、30(日)
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
OPEN 09:00/START 11:00/CLOSE 23:00(予定)

公式サイト

INFORMATION

くるり主催イベント『京都音楽博覧会2017 in 梅小路公園』

2017.9.23(土・祝)
京都・梅小路公園 芝生広場
OPEN 10:30/START 12:00(いずれも予定)雨天決行・荒天中止

詳細はこちら

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