毎回様々なゲストに登場してもらい、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>の魅力/思い出/体験談について語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回は、どこか奇妙だがポップなメロディと、実験的かつ先鋭的なバンド・サウンドによって同世代のオルタナティヴ・シーンの中でもひときわ異彩を放つTempalayが、苗場に再び降臨!

昨年AAAMYYYを正式メンバーに迎え、新体制となった彼ら。前作から2年ぶりとなる6月リリースのサード・アルバム『21世紀より愛をこめて』は、これまでのサイケデリック路線は引き継ぎつつもヒップホップやネオソウル、ファンクなど主にブラック・ミュージックのエッセンスを取り込んだ、強靭なグルーヴが印象に残る。もはや「小原節」とも言える、小原綾斗が紡ぎ出すメロディは中毒性たっぷりで、一度聴いたら病みつきになること必至だ。

一昨年は小原が前夜祭で骨折し、苗場食堂でのライブを急遽サポートメンバーとともに何とかしのいだTempalay。今年2日目のレッド・マーキーは、その雪辱戦となるか。3人に<フジロック>への意気込みや、最新アルバムのことなど聞いた。

Interview:Tempalay(藤本夏樹、小原綾斗、AAAMYYY)

藤本「苗場食堂というシチュエーションに助けられた」

frf_tempalay_01 Tempalayがぶちかます。リベンジマッチのフジロック#fujirock

──<フジロック>にまつわるエピソードで、印象に残っていることはありますか?

小原 うーん、特にないなあ。

──何を言ってるんですか(笑)。

小原 ええと、前夜祭でケガをしてしまいまして……(苦笑)。二日後が本番なのに、骨折してギターが弾けない状態になってしまったんですよね。それで、現地にたまたまいた友人たち(ドミコのさかしたひかる、MONO NO AWAREの加藤成順、DALLJUB STEP CLUBの星優太、DENIMSのカマチュー)にギターをお願いして、徹夜で覚えていただきました。

──リハスタなんて、もちろん入れない状況ですよね?

小原 みんな苗場にいましたからね。自分は病院にいたので、ギターのコードポジションをみんなに動画で送って、みたいな。でも、どうしたって曲数が足りなかったので、最後はみんなで“革命前夜”を歌ったんですが……迷惑をかけました。

──でも結果的に、イレギュラーな編成での貴重なステージを観ることが出来たのかな? って。

藤本 そこはほんと、苗場食堂というシチュエーションに助けられたところはありますよね(笑)。

小原 苗場食堂って色々伝説があるじゃないですか。そこにもう一つ伝説が……(笑)。ちょうど雨も降ってきてズタボロでしたけど、こうやって笑い話に出来るのは、今年も出演させてもらえることになったからですよね。

frf_tempalay_02 Tempalayがぶちかます。リベンジマッチのフジロック#fujirock

──本当に良かったです(笑)。プライベートで<フジロック>に行った時の思い出などはありますか?

AAAMYYY 私はお客さんで行ったことがなくて、Tempalayとして出演する2017年に初めて<フジロック>に行ったんですよ。着いた途端に「なんだこれは!」という感じでした(笑)。もう楽しすぎて、夜の記憶は全くないです。

藤本 僕は(ザ・)キュアーが出た年だから2013年かな。その頃はバイトをメッチャしてたから1日しか行けなかったんですけど、チケット買って準備していたら1週間くらい前にリンパ節炎に罹ってしまって。

でも<フジロック>に行きた過ぎて、病院へ毎日通って点滴を打ってからバイトへ行くという(笑)。<フジロック>の当日も、結構熱があったんですけど、「もう行くっきゃない」って思って行って、現地でメチャクチャお酒を飲んで自分をバグらせて楽しんでいました(笑)。プライベートで行くと、1日を全力投球できるからとにかく楽しいです。

小原 俺はストーン・ローゼズが出た2012年が初めてです。当時やっていたバイトの社長が連れて行ってくれて、本当はジャック・ホワイトが一番観たかったんですけど、彼の出た3日目だけ観られなくて。でも、初めてローゼズをグリーン・ステージで観た時に、本当に圧倒されました。……懐かしいなあ(笑)。

で、Tempalay結成した2015年のROOKIE A GO-GOに出て以降は、ほぼ毎年行ってますね。

藤本 俺は20歳くらいの時から毎年行ってたんですけど、去年は行けなかった。

小原 毎年、どの日に行くかで迷うんですよ。本当は3日間行きたいんですけどね、金かかるからなあ。

藤本 でもやっぱ、金を払うと「楽しまなきゃ!」っていう欲が出てさ(笑)。それがいいよね。もう、寝ないで遊びまくる。

frf_tempalay_03 Tempalayがぶちかます。リベンジマッチのフジロック#fujirock

──去年はYouTubeでの配信もあって、有効活用している人もいましたね。

小原 え、会場にいながら配信を観るってこと?

藤本 そんな感じ?(笑)

──例えば、物理的に移動が間に合わないところは配信でチェックして、みたいな。

小原 なるほどね。そういえば、去年はメチャクチャな被りがありましたよね。ダーディー・プロジェクターズ(Dirty Projectors)とceroがモロ被りっていう。ホワイト・ステージとレッド・マーキーの距離ハンパないなと思ったのを覚えてます(笑)。俺、確か走って移動したんですよ。結局、どのバンドも10分くらいしか観られなかった。そういう時に配信は活用できたかも。

──あと、しばらく行ってなかった方達が、都内で配信を観て「やっぱりフジロックいいな」って思った人も多かったみたいで。

藤本 あ、絶対それありますね。俺も去年、東京で配信を観ながら「明日行こうかな」って思ったもん(笑)。

──<フジロック>へ行くと、必ずやることってありますか?

藤本 ホワイト・ステージの横の川で遊んでますね(笑)。夜もプロジェクションマッピングとか施していて綺麗だし。

AAAMYYY 私は日本酒バーに絶対いますね。隠れてるところ。

小原 ああ、あそこか。

AAAMYYY でもあんまり教えたくないかも(笑)。