「(フジロックでは)美味しいお酒を飲んで酔っぱらって、ステージで暴れたい」
――今回<フジロック>への初出演が決まりました。過去にはあなたと親交のあるフライング・ロータスやカマシ・ワシントン、ケンドリック・ラマーも出演しているのですが、そうしたアーティストから、<フジロック>について何か聞いていることはありますか?
ロータスからは漠然と「いいフェスだ」って聞いたよ。ただ、ロータスは俺が日本のカルチャーが好きなことを知っているから、逆に具体的なことは言わないんだ。ケンドリックと話すときは個人的な話が多いから、あまり他の国の話はしたことがないね。どんなフェスなの?
――日本のロックフェスの草分けと言われる自然が豊かなフェスティバルで、山間にいくつものステージがあるので、景色がとても綺麗です。時間帯によって風景が変わって、朝は少し霧がかかっていたり、夕暮れどきには演奏中に日が沈んでいったり、夜は星空が見られたりと、日本の自然を満喫できると思いますよ。
ああ、楽しそうだね。
――会場でどんな景色が見たいですか?
俺は地球が激しく爆発するところが見たい(笑)。
――それはライブ中にあなたの超絶ベースでやっていただければ……。
はははは。でもそれは無理だな。自然に対峙するのは恐れ多いことだからね(笑)。
――また、<フジロック>はフード・ブースの出店審査が厳しいことで有名で、ご飯も美味しいんですよ。石窯で焼いたピザが食べられたり――。
おおお……!
――『天国バーガー』という名前のハンバーガーがあったり――。
(「なんてことだ!」という顔をする)
――美味しい日本料理や地酒も多く楽しめます。
じゃあ5キロぐらい太りそうだね(笑)。美味しいお酒を飲んで酔っぱらって、ステージで暴れたい。大きいフェスに出るときは圧倒されてしまうこともあるんだけど、<フジロック>は雰囲気のいいフェスティバルだと思うから、きっと楽しめるんじゃないかな。出演するアーティストにも会ってみたいし、ライブも色々と観てみたいよ。
――では、今年のラインナップで言うと、どんなアーティストのライブが観てみたいですか? もしくは一緒にジャムしてみたい人を挙げるなら?
コーネリアスだね。彼の音楽はアートのスタイルとして美しいと思う。実は、キンブラに教えてもらったのが最初だったんだ。コーネリアスの声と映像を交えたアート展のようなものがあって、それがすごく素晴らしかった。音楽ってスタンダードなコードチェンジだけではないんだな、ということが分かってすごく新鮮だったよ。
――コーネリアスの音楽に、あなたのベースが加わったら最高でしょうね……。
それができたら最高だよ!!
――あなたはこれまでも色々なフェスに出演していますが、中でも思い出に残っているエピソードを挙げるなら?
色んなスタイルのフェスに行っているから、いくつかをピックアップするのは難しいけど……。面白い話で言うと、一度スヌープ・ドッグが主催したイベントで、演奏のために向かったのにキックアウトされてしまったことがあったんだ(笑)。会場に向かったときの俺は金髪で、セキュリティに本人だと分かってもらえなくて、中に入れなかった(笑)。それに、スイサイダル・テンデンシーズのメンバーとして色んなフェスを回ったことも思い出深い。中でも俺は、ロックフェスが好きだな。ロックフェスが抱えているエネルギーってすごいと思うし、自由な感じがする。そこにいるみんなが開放されるような空気感があると思うんだ。ハードコア・ファンから、頭が開いちゃっているようなファンまで、そこにいるすべての人がそれぞれの楽しみ方で過ごすことができる。それって最高だと思うんだよ。
――<フジロック>当日のライブは、どんなものにしたいですか。
そうだな。山の中で、開放からさらに解き放たれて、頭から先に地面に飛び込みたい。
――なんですかそれは(笑)。
(笑)。初めての<フジロック>だから、とにかく楽しみたいと思っているよ。当日の自分のコスチュームはエヴァンゲリオンの使徒の恰好になるかもしれないし、ワシになるかもしれないし……。もしかしたら、自分に火をつけることだってあるかもしれない(笑)。そこは謎を残しておくから、楽しみにライブを観にきてくれたら嬉しいよ。
INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL’17
新潟県 湯沢町 苗場スキー場
OPEN 09:00/START 11:00/CLOSE 23:00(予定)
Now on sale!
Title:Drunk(ドランク)
Artist:THUNDERCAT(サンダーキャット)
BEAT RECORDS / BRAINFEEDER
BRC-542
¥2,376(tax incl.)
text&interview by Jin Sugiyama
photo by 横山マサト