先日新作をリリースしたベル・アンド・セバスチャンが今年の<フジロック>に出演することが決定! 2004年、2010年につづいて、苗場には3回目の登場となる。2月の<Hostess Club Weekender(以下、HCW)>では超満員のオーディエンスを美しい旋律でうっとりさせていた彼らだが(いきなりの“Nobody’s Empire”“は泣けた……)、新作ではいつものベルセバ節にダンサブルなビートが加わったということで、これは<フジロック>でのステージが俄然楽しみになってくる。個人的に<HCW>で初めてベルセバのステージを拝めたのだが、同郷であるトラヴィスのステージにも共通する、友達家族のリヴィングルームに招かれたかのような親密な雰囲気が病みつきになると思った。そして、過去の名曲は言わずもがな、新曲たちがとにかく素晴らしかった。
今回、短い時間ながらインタビューに応じてくれたのはお茶目なギタリストのスティーヴィー。実はスチュアートに負けず劣らずの美声を持つ彼が、そのバリトンボイスで自身のフェス体験について話してくれた。
Interview:スティーヴィー・ジャクソン(ベル・アンド・セバスチャン)
若い頃は夜遅くまでフェスを楽しんだものだけど、いまはエネルギーを貯めないといけないから睡眠は必要不可欠さ(笑)
━━前回ベル・アンド・セバスチャンが<フジロック>に出演したのは2010年ですが、<フジロック>の思い出といえば何でしょう
スティーヴィー 自分のマイクに蚊がたくさん寄ってきたことかな(笑)。あとは……天気が最高だったし、みんなの笑顔も最高だった。小さいステージでアコースティックセットをやったときは、終演後お客さんが僕のまわりにどっと押し寄せてきて、自分がビートルズのメンバーになったような気分だったよ。日本のオーディエンスは熱意があって、音楽に興奮しているのが伝わってくる。でも、礼儀正しさもけっして忘れないよね。静かにしてほしいときは静かにしてくれるし。
━━<フジロック>で観たアーティストのなかで誰かお気に入りはいますか?
スティーヴィー 自分が出演しているときはタイトなスケジュールだったから、他のアーティストはあんまり観ていないな……そうだ、最初に<フジロック>に行ったとき(ベル・アンド・セバスチャンは2004年に<フジロック>初登場)にストリーツを観たのを覚えている。素晴らしいステージだった。その頃はまだ彼がデビューしたばかりだったね。
━スティーヴィー流フェスの楽しみ方を教えてください。
スティーヴィー 若い頃は夜遅くまでフェスを楽しんだものだけど、いまはエネルギーを貯めないといけないから睡眠は必要不可欠さ(笑)。
━━レッド・マーキーみたいな小さいステージと、ホワイト・ステージやグリーン・ステージのような大きいステージではどちらが好き?
スティーヴィー 僕は小さいステージのほうが好きだ。ステージが大きすぎると、自分がステージに立っていながらまるで映画を観ているような気になってしまうんだ。特殊効果でオーディエンスが描かれているんじゃないかってね。
━━ところでベル・アンド・セバスチャンは今年の<フジロック>にも出演が決定していますが……
スティーヴィー あら?そうなのか!聞いてなかった。予定を確認しなきゃね(笑)。
━━最新のステージがどのようなものになるのか、教えてもらえますか?
スティーヴィー 今回のツアーから背景のプロジェクションが新しくなって、楽曲ごとに映像が入るんだ。それと、新曲はこれまでよりもビッグなサウンドだから、フェス向きだと思う。いくつかの国では、特に韓国では新曲のほうの反応が良かった。どうやらニューアルバムは好意的に受け止められているようだから、僕も嬉しいよ。
━━最後に、今年の<フジロック>で観たいステージはありますか?
スティーヴィー (ヘッドライナーから順番に目を通して)ノー、ノー、ノー……、これも知らないな。みんな僕の世代のバンドじゃないんだよ(笑)。お、ここにハッピー・マンデーズがいるね(笑)。
interview&text by Hiroaki Nagahata[STUDY]
photo by Kazumichi Kokei
Belle and Sebastian(ベル・アンド・セバスチャン)
96年、スチュワート・マードックを中心にスコットランドはグラスゴーにて結成。インディ・ギター・ポップの流れを汲んだサウンドと珠玉のメロ ディが生み出すハーモニーで、唯一無比の地位を確立。数多くの作品をUKチャートに送り込んだ。また、マーキュリー・プライズやブリット・アワー ドなど数多くの名誉に輝いており、高い評価を得ている。その人気は衰えることなく、現在も多くの人々を虜にしている。