世界のフェスを渡り歩いたFestival Junkieがお届けする<フジロック>コラム第7弾。海外フェス情報を盛り込みながら、世界のフェスカルチャーにおける日本代表<フジロック・フェスティバル>を語っていく連載企画。

せっかくフジロックメディアのコラム二ストとしてお声がけを頂いているので、日々どうやったらもっと<フジロック>が面白くなるのかということばかり考えているわけですが、<フジロック>を褒めてばっかりでも面白くないのでたまには「フジロックそのへんどうなのよ?」的なことも書いてみたいと思います。

今回お話したいのは、フェスのアフタームービーのこと。アフタームービーとは、フェス終了後にオフィシャルから公開されるその年のフェスのハイライト動画のことです。実はこのアフタームービー事情、世界に比べて日本のフェス業界は圧倒的に遅れをとっていると感じることが多いのが事実です。

私はここ2年、夏の間ほぼ毎週のように海外のどこかしらのフェスに足を運んで、世界のフェスを研究してきました。

もちろん海外フェスの非日常感や混沌とした空気感には毎回度肝を抜かされるのですが、やはり日本人として「日本のフェス」と比べたときに、日本のフェスだって独自の進化を遂げていて、外国人のフェス仲間を連れてきたいと思うほど、個性的で魅力的な日本の文化として成立しているということを実感しました。お世辞抜きで<フジロック>は世界に誇れる点がたくさんあると思いますし(あの沢尻エリカさんもそうおっしゃっておりました!)、実際に海外フェスの会場で日本人だというだけでアーティストに「フジロック最高だったよ」と声をかけられたこともあります。他にも日本を代表するフェスで言うと、<サマーソニック>に関して言えば、あんな豪華なラインナップを都心のあの環境で観られるフェスは世界中探してもなかなかありませんし、海外で出会ったフェス仲間の中には、日本の温泉地で開催されるフェスに興味を持っていたりする人も多くいました。

そのように「日本のフェスも世界に負けていないところがたくさんある」と誇らしげに思うことも多くあった中で、痛烈に感じたのが、日本のフェスのアフタームービーの充実のしてなさでした。そのフェスの魅力を言葉なしでガツンと伝えるのに適したアフタームービーが全然ない。<フジロック>に限ったことではないですが、また来年行きたくなるような、さらに言えば行ったことない人が動画を観て行きたくなるような、そんなフェスのアフタームービーが日本には少ない。一例を挙げるなら、ベルギーで開催されるダンスミュージックの祭典<トゥモローランド>は、アフタームービーをマーケティングツールとして活用することを明確に打ち出していて、中には1億再生回数を越す年度も存在します。実際にFestival Junkieチームもカメラを回しながら取材をしていたのですが、会場のいたるところにトップに掲示した写真のようにアフタームービーに映りたくて仕方のない観客を見つけることができました。我々もオフィシャルのアフタームービー制作クルーと勘違いされて、ずっと後をつけられたりするくらいの熱量です。それくらいアフタームービーというものが浸透しており、フェスの中の一つのコンテンツとして来場者にも楽しまれていて、さらに事後にはそれがフェス自体の大きな宣伝になっているのです。

というわけで、今回提言したいのが【フジロック、イケてるアフタームービー作ってよ!】です。フジロックメディアを使って<フジロック>に提言するというちょっと変なアプローチ方法ですが、耳だけでなく目でも楽しめる<フジロック>だからこそ、世界に勝負できる、ぶっ飛んだアフタームービーが制作できるのではないかと勝手に期待しています。昨年<フジロック>でも忌野清志郎さんの楽曲を使った素敵なアフタームービーが制作されていましたし、昨年始まった<ULTRA JAPAN>でもビッグスケールなアフタームービーが公開され話題にもなりました。そういった具合に日本でもアフタームービーが盛り上がりそうな兆しが出てきていることを明らかなので、ここらへんで日本代表<フジロック>からガツンと気合いの入ったアフタームービーが投下されることを期待しています。それでは最後にFestival Junkieが選ぶイケてるアフタームービーをご紹介!

海外のイケてるアフタームービーを勝手にピックアップ

Amsterdam Open Air 2014

オランダで開催される<Amsterdam Open Air>の昨年度のアフタームービー。シンプルでありながら、このフェスの魅力が目で伝わってくる素敵な動画。どことなく<フジロック>と雰囲気が似ているので参考になるかも。

The Secret Garden Party 2013

イギリスで開催される<The Secret Garden Party>。とにかくらい楽しそうな観客が印象的な動画。音楽以外の「遊び」の部分がフジロックにも通じるところアリ!

Tomorrowland 2014

ベルギーで開催位されるダンスミュージックの祭典<Tomorrowland>。そしてこれが噂のアフタームービー。年々ボリュームが増えて現在は30分強の超大作。<Tomorrowland>アフタームービーの歴史まとめ記事はこちら!

BOOMTOWN FAIR 2014

イギリスで開催される<BOOM TOWN FAIR>。アフタームービーとしてはちょっと変わり種で、絵本のような展開で物語的にフェスが紹介されていきます。実際の会場もこのカオスな世界そのものが3日間繰り広げられます。

Happy Holi Lisbon 2013

現在世界中で開催され人気を集めている。カラーパウダーを投げまくるというフェスなので、とにかく色使いが素敵。現場にいなくてもこの色の臨場感はオフィシャルのアフタームービーならでは!

瓦版にも登場してくれた関監督、こういった現状を踏まえて、これまでに見たこともないフェスのアフタームービー作ってくれないかな、なんて。

★Festival Junkieも多くの海外フェスに潜入取材を敢行してオリジナルのアフタームービーを制作しているので、こちらもぜひご覧になってみてください。

nekomeguro-m4500acrce5iq7ltm6eda3a2h2qqupqkukp1a2n62w 【フジロックへの提言】世界のフェスのアフタームービーがかなりイケてる件

著者プロフィール:津田昌太朗(nekomeguro)

世界最大の音楽フェス<グラストンベリー>に参加したことがきっかけで、突然広告会社を退職し英国に移住。ロンドンで海外フェスプロジェクト「Festival Junkie」を立ち上げ、世界中の音楽フェスに潜入取材を行っている。現在は東京とロンドンを拠点に音楽マーケター/ライターとして活動中。執筆メディアはVICE、Qetic、EDM MAXXなど多岐にわたる。今年4月にフェス特化型プレイリストサイト「PLAYFEST」をOPEN。
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