■音と食の融合
—2組は「音」と「食」を融合させた点も共通しますよね。「食」と「音」を合体させたのはなぜですか?
おみそはん:女子栄養大学に通っていた時の卒業研究でレシピをラップにして表現したことがそもそもの始まりで、とにかく食べることが大好き。だから「みそ、恋愛ソング書いてみてよ」とか「応援ソング書いてみてよ」と言われてもテンション上がんない(笑)。
ケロちゃん:うちもポンちゃんが食べることが大好きっていうのもあるけど、「食べることは生きること」と言うくらいに子どもと深く密着している。だから歌詞にも多くなるし、音楽と食べ物で楽しんで食べてもらいたいって思うし。
ポンちゃん:食べたもので体ができるし、美味しいものを美味しいと感じて食べると体の中が喜ぶ。食べ物も音楽も、体の表面じゃなくて細胞レベルで喜ぶっていうか。
おみそはん:細胞から沸き立つ、みたいなね。食べ物を美味しく食べて自分を解放するのは大切だよね。
ポンちゃん:食べることと音楽を浴びること、それがリンクする場所がフジロックだと思うから通ずるね。
■食の抱える問題 〜アレルギー問題、苦手克服
ケロちゃん:歌詞で失敗したこともあって。私は自分が海老・蟹アレルギーなので、「エビカニクス」の歌詞に「アレルギーの人、食べられない」と書いたら、その数年後に重度のアレルギーを持つ子のお母さんから「子どものコンサートでこんな歌を歌わないで下さい」というメールをもらったんです。自分の書いた歌が人を傷つけたと知ってとてもショックだった。曲はすでに一人歩きをしていましたが、辛い思いをしていたり、食べたら死んでしまう人もいるのだから歌詞を変えることにして、歌も録り直しました。一方で、「僕、アレルギーだから僕の歌だ!」という声もあったので本当に賛否両論でした。
—難しい問題ですね。おみそはんの場合はいかがですか?
おみそはん:私の曲をきっかけに野菜を食べるようになったが多いですね。スチャダラパーのボーズさんが「アスパラのベーコン巻」を歌いながらパクパク食べる娘さんの動画を送ってくれたのがメチャメチャ可愛くて(笑)。
—親にとって子どもの食わず嫌いは大きな悩みですからね。
おみそはん:大学生の時、コロッケ作ろうとして「キテレツ大百科」流れてた「お料理行進曲」を思い出したんです。大好きだった歌だから、全部歌えてちゃんと作れた。その時にレシピ覚えてるのに作らないなんてもったいない!と思ったのが「ごちそんぐDJ」のような曲を作るきっかけになったんです。料理が楽しくなる曲があってもいいんじゃないかなと思って。
—歌の力で食べられるようになって、次は自分で料理を作れるようになる。正に進化する音食育ですね。
■「音育」について
—音育に関してはどうお考えですか?
ケロちゃん:子どもに聴かせるとかじゃなくて、親が好きな音楽を聴いて、子どもも自然とそれを聴くのがいいんじゃないかな。
おみそはん:うちはお父さんとお母さんがいつも車の中でピチカートファイブを聴いていたので完全に渋谷系で育ちました。
—ラップじゃなくて渋谷系!
ポンちゃん:この前会った赤ちゃんが、ぐずると「うちの子はローリング・ストーンズがすっごい好きなんですよ」って親が言うの。で、音楽かけたらピタっと泣き止んでね、その子にとってはすごく落ち着く音楽なんだと思った。
おみそはん:「子どもだから、こういうの」って決めつける必要はない。
ケロちゃん:そうそう。子どもだからって「エビカニクス」を聴かせる必要はないし。
ポンちゃん:童謡漬けにする必要もない。
ケロちゃん:うちの母は童謡をずっと歌ってくれてたんですよ。大きくなってからは台所でハモるようになって。
—すごい!
ケロちゃん:だから好きな童謡もいっぱいあるし、童謡を歌ったりもする今に繋がっているんだと思う。
ポンちゃん:フジロックで在日ファンクを観てたら、音楽と浜ちゃんに合わせて踊りまくってた子どもがいて。「ほら、在日ファンクよ、見なさい」じゃなくて、親は親で「フォー!」って盛り上がってて、子どもは子どもで踊り狂ってた。可愛かったな〜。
—昨年のフジロックではクロマニヨンズのお客さんに素敵な親子がたくさんいて、革ジャンを着た少年がお父さんに肩車されてピザを片手にブルースハープを吹いて縦ノリしてました。
ケロちゃん:フジロックはそういう家族がいっぱいいるよね。みんなで自然の中で音楽を楽しんで。それが音育そのものなんじゃないですか?