各界のキーパーソンによって<フジロック>の魅力を語り尽くすコーナー「TALKING ABOUT FUJIROCK」。今回登場頂くのはテレビ朝日のアナウンサーとして活躍している小川彩佳さん。おしとやかな雰囲気をイメージしながらも、実はオールジャンルに詳しい根っからの音楽好き。なかでも共感したのはストレス解消に爆音でパンクロックを楽しんでいるという親近感。緊張の途切れることのない報道担当として多忙を極めるなか、これまで<フジロック>には3回足を運ばれたそうです。好きなアーティストを訪ねたら、ボン・イヴェールの名前が出てくる驚きな一面も。というわけで詳しくお話を伺ってきました。小川彩佳さんによる<フジロック>トークをお楽しみ下さい!

INTERVIEW:小川彩佳

MG_6408-1140x760 アナウンサー小川彩佳が楽しむ、フジロックでの自然と音楽の共存

小川さんの<フジロック>歴から教えてください。

恐縮してしまうのですが、<フジロック>には3回しか行ったことがないんです。仕事が忙しくてなかなか行けなくなってしまって。

それはそうですよね。最初に行ったのは何年ですか?

最初に行ったのは2006年でした。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、フランツ・フェルディナンド、ザ・ストロークス、ジェットが出た年ですね。

最強な年ですね。<フジロック>に行こうと思ったきっかけは?

中学生のころからロック好きで、<フジロック>に憧れていました。でも、中高生にとっては金額的に手が届かない存在だったんですよ(泣)。ですので最初に行ったのは大学生のときでした。会場でネットカフェを開設するということで、学生アルバイトを募集していたんです。でも、応募するにはレポートを書かなきゃいけなくて。<フジロック>にどれだけ行きたいかという想いを書くという(笑)。それで、なんとかチケットを手に入れました。

お〜、熱い想いが伝わったのですね。読んでみたいです。

バイト仲間で、シフトをやりくりして楽しみました。こんな世界があるんだって驚きでしたね。知らない世界に足を踏み入れた瞬間です。<フジロック>のように音楽を肌と五感で感じられる空間って他にないですよね? 人間って本来こうあるべきだよねって。自然と音に身をゆだねるだけで最高っていう。どこに行っても音楽がずっと鳴っていて、空も綺麗でまわりに緑しかなくて。衝撃的な体験でした。

まさにフジロッカー体験ですね。ライブでの思い出はいかがでした?

2006年はジェイソン・ムラーズが出たてのころで、ライブの後にふらっと歩いていたらGAN-BAN/MTVブースでミニコンサートの呼び込みをしていたんです。前のスペースを陣取って、至近距離で観ることができて感動しましたね。

<フジロック>ならではの素晴らしい体験ですね。レッチリもお好きなんでしたっけ?

レッチリも感動しましたよ。90年代や00年代に聴きまくっていたアーティストだったので、生で体験できたのがすごく不思議な感覚でした。いや〜ホントかっこよかったですねぇ。

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もともと幼少期に海外で生活されていたことが音楽好きのきっかけだったんですか?

そのころはまだロック好きではなかったです。でも、父の影響で、小学生の頃からビートルズを聴いていました。幼稚園の弟と2人で。

それは早熟ですねぇ。

父はオールジャンル、いろいろな音楽を聴くのが好きで、CDラックにいっぱいCDが並んでいたんですよ。そこからジャケットを見て一目惚れしたのを聴いて遊んでいました。そんななか中学のときに見つけてハマったのがボン・ジョヴィだったんです。

お〜、そこからロックにハマったんですね。その後は、どんな広がりになっていきましたか?

高校生のときにホームステイでアメリカに行きました。ホストブラザーと音楽の話で盛り上がって、いろいろ教えてもらったんです。クリスチャンのおうちだったので、クリスチャン・ロックをすごく聴いていて。クリスチャン・ロックのフェスが人生初のフェス体験でした。ホームステイ先を去る日に、バスに乗り込んで出発を待っていたらホストブラザーの男の子が駆け寄ってきて窓越しにテープを渡してくれたんです。「これに僕の好きな音楽を全部つめたから帰ってからも聴いてね」って。嬉しいですよね。そこに入っていたのがいわゆるアメリカン・ロックで、オフスプリング、SUM41などイケイケなロックを知ることになって。そこからいろいろ広がっていきましたね。そして、大学時代はUKロックが好きになりました。

どの辺のアーティストがお好きだったんですか?

MUSEですね。あの世界観がたまらないですよね。

ちなみに、これまで参加された<フジロック>で、小川さんのベストアクトは誰ですか?

個人的に思い入れがあるのはグリーン・ステージで観たスノウ・パトロールですね。ライブ自体の出来が素晴らしかったかというと、そうではなかったのかもしれないのですが、個人的にとっても感動しました。直前までいろいろステージをまわって疲れて芝生にごろんと寝転がって聴こえてきたのがスノウ・パトロールだったんですよ。

<フジロック>らしいシチュエーションですね。

寝転んで聴いていた“Chasing Cars”の歌詞がマッチして、私のなかで特別な瞬間となりました。「If I lay here, if I just lay here, Would you lie with me and just forget the world?」という歌詞があるんですね。「一緒に横になって、世界を忘れないか?」という。その瞬間、すべてが絶妙にかみ合って「うわぁまさに<フジロック>だ!」って思ったんです。音が空気に溶け込んでいるのを感じることができて気持ちがよかったです。ちょっと曇っている感じとか、すべてが音楽とともに溶け合っていたというか……。

それは素敵な体験ですね。

あとは、2006年のハイヴスのパフォーマンスも忘れられません。

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