毎回さまざまなゲストに登場してもらい、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>の魅力・思い出・体験談について語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回は、2022年に大阪で結成された3人組ロックバンド、ブランデー戦記の蓮月(Gt, Vo)、みのり(Ba, Cho)、ボリ(Dr)が登場。
昨年5月にメジャーデビューアルバム『BRANDY SENKI』をリリースし約1年、国内外を問わずライブで各地を湧かせ続ける若き3人に、今年2日目のRED MARQUEEで初出演となる<フジロック>について大いに語ってもらった。
Interview:ブランデー戦記

憧れのラインナップに名を連ねる初出演
──<フジロック>初出演、おめでとうございます! 出演が決まったときの心境を教えてください。
蓮月:私はお客さんとして2023年と2024年に遊びに行ったことがあって。すごく出たいフェスだったのでめちゃくちゃ嬉しかったですね。
ボリ:ビックリしたよね。蓮月が遊びに行ってたのも知っていたし、当たり前ですけど超有名なフェスなので「呼んでもらえた!ありがたい!」って感じで。出演が決まってから、<フジロック>に出ることはずっとバンドの中で話題になってます。
みのり:錚々たるメンツの中に入れてもらえて光栄です。
──<フジロック>にはどのようなイメージを抱いていますか?
みのり:日本では珍しく、洋楽、邦楽を問わずにラインナップされていて、どちらの文化も味わえるフェスですよね。それにキャンプもできたりするから、音楽を楽しむのはもちろん、それ以外にも楽しい要素があるフェスというイメージです。

ボリ:僕は<フジロック>が日本のフェスの始祖やと思っています。僕らが生まれる前に始まって、今も続いている、もうレジェンド級のフェスですよね。自分たちが出ると考えると、<フジロック>が今まで続いてきた中で作られた重みのようなものを感じます。どのフェスもすごいですけど、また違った重みがある感覚なので、絶対に良い日にしたいです。
蓮月:<フジロック>に行く前は出演アーティストのラインナップに惹かれていた部分が大きかったかもしれないです。でも実際に行ってみて、独特な空気感に驚きましたね。自然が広がっているというのは知っていたけど、お客さんが本当に自由なんです。寝転がってライブを観てもいいし、雨が降ったって気にせず楽しんでいい……開放的な空気感は特別でした。行く前と後では、印象が大きく変わりましたね。

──お客さんとして今年の<フジロック>のラインナップで楽しみなアクトはありますか?
蓮月:私は邦楽と洋楽で別という感覚があまりなくて、国や時代とかも気にしていないんです。カッコいいと思ったらカッコいい。だから<フジロック>のどちらも混じり合ったタイムテーブルは自分の感覚と合うんですよね。ソニック・ユース(Sonic Youth)のサーストン・ムーア(Thurston Moore)もタイミングが合えば観たいなって。あと、まだXGのライブを実際に観たことがないので、この機会に観たいです。同じ日の出演ですし、<フジロック>の雰囲気の中で観れるというのも嬉しいですよね。
ボリ:僕はターンスタイル(Turnstile)が観たくて。アルバムもすごくカッコ良かったし、スタイルも独特で。2024年のWHITE STAGEのトリでたくさん人をステージに上げまくっていたライブ映像を観て「なんじゃこれ!」って。衝撃でしたね。ハードなライブをしているけど平和な感じがあるというか、オラオラしているかと思いきやピースフルなムードもある。
みのり:私はFujii Kazeさんが観たいです。一度埼玉スーパーアリーナでビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の来日公演をやったときにスペシャルゲストとして出演していて、ライブを拝見したことがあるんですけど、この間コーチェラを配信で観ていたのもあって、フェスのKazeさんも生で観たくなっちゃって(笑)。
ボリ:トモーラ(TOMORA)も気になります。オーロラ(AURORA)とケミカル・ブラザーズ(The Chemical Brothers)のトム・ローランズ(Tom Rowlands)がどんな感じのライブをするんかなって。
──楽しみですね。蓮月さんはすでに2回<フジロック>に足を運んでいるとのことですが、配信などで観たものを含め、<フジロック>で特に印象深いライブなどはありましたか?
蓮月:2023年はザ・ストロークス(The Strokes)とフー・ファイターズ(Foo Fighters)が目当てで観に行ったんです。ケニヤ・グレース(Kenya Grace)というアーティストも好きで観れたし、ウィーザー(Weezer)も、カネコアヤノさんもすごくて。あとリゾ(Lizzo)がビックリするくらい時間に遅れてステージに出てきたのも印象深いです。そもそも遅れて出るってこと自体、私にとっては衝撃的で。で、どうなるんだろうと思っていたら、自信満々でドーンと出てきた(笑)。普段日本で生活している中ではあまりない感覚で、強烈でした。「ごめんねー」じゃなくて「おまたせ!来たでー!」みたいな(笑)。あと矢沢永吉さんを初めて観たんですけど、めっちゃカッコよくて。グッズのタオルも買いました(笑)。この年は他にもたくさん観ましたね。

ボリ:そういえば、僕はフィーバー・スリー・スリー・スリー(FEVER 333)が好きなんですけど、2022年にギターとドラムが脱退して、実質ソロプロジェクトになっちゃったんです。その初来日が<フジロック>だったんですよね。それと2023年の配信でTohji(トウジ)さんがすごかったのを覚えています。たしかPAテントの上くらいから現れて、そのまま1曲目を歌いながら客席の真ん中を歩いてそのままステージに上がっていって。ぶちかましてましたね。
蓮月:あ、アイドルズ(IDLES)っていうバンドを知らなくて、名前だけ見て「女性アイドルかな?」ってイメージして観に行ったら、おっちゃんたちだったのも印象的でした(笑)。めっちゃカッコよくて、観入ってしまったんです。
ボリ:<フジロック>から帰ってきた蓮月から「アイドルズ良かった!」って言われて「え?」ってなったの覚えてますね。調べたらたしかにおっちゃんやった(笑)。
蓮月:名前だけ見て、ライブを観てみるのも面白いですよね。

RED MARQUEEでいつも通りを、ブレずに。
──今回の<フジロック>はどのように楽しむ予定ですか?
蓮月:絶対に観たいアクトは決めておいて、空いている時間で川の方に行ってみたりとかしてちゃんとフェス全体の空気も楽しみたいです。
ボリ:観たいアクトももちろんあるんですけど、何よりGREEN STAGEを間近で体験したいです。GREEN STAGEはすごいってこれまでたくさん聞いてきたので、音の出方も含め、自分の身体で味わってみたいですね。
みのり:私はフェスに行ったら基本ご飯も食べず、移動は走るんです。極限まで全部観たいんですよね。今回は出演者なので、どこまでできるかわからないんですけど、5時間くらい私が姿を消す時間があると思います。
ボリ:楽屋に行っても見当たらない?
みのり:いません。「電話してください」って置き手紙します(笑)。「みのりさん、走ってました」っていう目撃情報があちこちからあるかもしれないですね。ガチガチに楽しみます。
ボリ:でもみのりんは心配なこともあって、暑さ耐性があんまりないんですよ。
みのり:夏フェス問題です(笑)。スポーツドリンクをいっぱい持って、万全の体制で楽しみます!

──暑さ対策も大切ですね。ではここからは出演者としてのお話も聞かせてください。どのようなライブにしたいですか?
蓮月:RED MARQUEEは屋根があって一番ライブハウスっぽさのある場所なんで、いつも通り、しっかりバンドらしさを観せられるんじゃないかと思います。音をバチっと出して、近くを通りかかった人にも来てもらえるようにしたいですね。
ボリ:巻き込めるといいよね。
蓮月:あと屋根があるから雨降ってくれたら雨宿りがてら観てくれる人もいるのかなって(笑)。
ボリ:それは言わないでおこうと思ったのに(笑)。ただ避暑的なニュアンスもあるステージだと思うんで、時間が合う方には気楽に来てほしいよね。そういうお客さんにもしっかり自分たちの音楽をぶつけたいです。
みのり:<フジロック>は海外のお客さんも多いというのもあって、いろんな楽しみ方ができるフェスなんじゃないかと思っているので、海外のステージで味わった楽しい気持ちをまた感じれるんじゃないかなっていうワクワク感もあります。
──海外でのライブの経験が活きてきますね。セットリストはすでに考えていたりしますか?
ボリ:ライブのセットリストは基本的に僕が軸になって考えているんですけど、ステージの雰囲気や、去年の出演者がどうしていたかを事前に確認して、どういう感覚で観てくれているのかを考えながら決めていっているんです。だから<フジロック>は一応屋内という想定で、いろいろやってみたいパターンがあるんで、持ち時間との兼ね合いも考えつつ、現在鋭意検討中です。あと配信もありますからね。大げさかもしれないですけど、世界に観られていると思っているんで、配信と現地、どちらも意識していきたいです。

──実際に演奏するかは別として、<フジロック>でやりたい曲はあったりしますか?
蓮月:私は「27:00」って曲をやりたいです。この曲は低音、ビートが大事な曲で、低音多めの感じがRED MARQUEEのステージや照明と合ってカッコよくできそう。
ボリ:めっちゃ悩みますね。「悪夢のような」って曲もありかなと思っていて。室内感があるステージだとより映えるんです。
みのり:「春」も良いかもしれないです。曲の構成が特殊というか、変わったことをしていたりもするので、そういう部分もフジロックのお客さんには特に楽しんでもらえそうだなって。
──ではブランデー戦記のライブを<フジロック>で観る方は本当にその曲たちをやるのか楽しみにしておいていただきましょう。メジャーデビューから約1年、凄まじい勢いで活動してきたと思うのですが、現在のバンドの状態はいかがですか?
蓮月:去年はたくさんライブもリリースもあって、すごく忙しかった部分もあるんですけど、年末から少しお休みをいただいたりもして、あらためて基本的なやり方を見つめ直しつつ、今年は今まで届けられていなかった層のお客さんにもフェスも含めて届けていきたいなって状態です。<フジロック>をはじめ、新しいお客さんとの出会いをたくさん作れたらいいな。曲に関しては毎回チャレンジし続けているので、そこは変えずに、自分自身が新鮮にワクワクできる曲を作っていけたらいいなって思ってます。

──ちなみに今夜、配信ライブ「ブランデー戦記 YouTube Live 2026」では新曲も披露するそうですね(取材日:4月29日)。どのような1曲になりましたか?
蓮月:「もういらない」という曲なんですけど、今回MONJOEさんといっしょにアレンジを作っていった曲で。
ボリ:「悪夢のような」もMONJOEさんといっしょにやったんですけど、今回の曲にも携わってもらっているんです。
蓮月:曲調はポップなロックという雰囲気なんですけど、歌詞の内容は今までとは違った書き方に挑戦してみているんです。普段は物語性を大事にしていて、歌詞に出てくるシチュエーションもフィクションというか物語として作っていくことも多いんですけど、今回は日記をそのまま切り取ったような書き方をしました。実際に普段の私の日常を切り取ったような内容になってます。
──新たな挑戦ですね。聴くのが楽しみです。では、最後に<フジロック>の意気込みを教えてください。
蓮月:初めて観てくれる人が多い気がしているので、まずとにかく「カッコいい!」と思ってもらえるよう頑張ります。爪痕を残します!
ボリ:もちろん大舞台なんですけど、<フジロック>でもこれまでやってきたことの延長線上でしっかりやれたらなって。普段通りを<フジロック>でもブレずに表現したいです。
みのり:本当に2人の言う通り!

Photo by 垂水佳菜
text&interview by 高久大輝












