毎回さまざまなゲストに登場してもらい、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>の魅力・思い出・体験談について語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回はMUSIC AWARDS JAPAN 2026 「最優秀オルタナティブ楽曲賞」に“Method”がノミネートされたことも記憶に新しいKroiのメンバーが全員揃って登場。
武道館公演やアリーナツアーも成功させてきたKroiの<フジロック>出演は2022年以来、2度目。彼らにとって<フジロック>はどのような存在なのだろうか。Kroiとの<フジロック>愛に満ちた対話をたっぷりとお届けする。
Interview:Kroi

絶対に良い音楽と出会える信頼がある
──2022年以来、2度目の<フジロック>ですね。
長谷部悠生:本当に1度目と同じテンションで飛び跳ねて喜びました。
内田怜央:やっぱり2度目以降は<フジロック>に出演する権利を失う怖さがあるんです。「嫌われてなくて良かった!」と安心しましたね(笑)。
長谷部:この4年間くらい嫌われていないかずっと不安だったんで。
内田:「次はいつ出れるかな?」と思いながら毎年お客さんとして遊びに行っていました。
──さっそく<フジロック>への想いが溢れていますが、皆さんにとって<フジロック>はどのようなフェスでしょうか?
千葉大樹:どのフェスも特別ですけど、<フジロック>はどこか特別感があるんですよね。どのフェスでも出られたら嬉しいんですけど、その中でも<フジロック>を目標にしているアーティストは多いし、もちろん楽しみにしているお客さんもたくさんいる。人を惹きつけるフェスですよね。
益田英知:他のフェスだとステージ間の移動のときや空き時間にふと我に返る場面があるんですけど、<フジロック>は全体が夢みたいで。ステージの間を歩くときも、山の中で開催されているお祭りの中にいるような感覚になる。非日常感が他のフェスより強いんだと思います。


長谷部:初めての<フジロック>は高校一年生のときで、怜央といっしょに行ったんですけど、「音楽のディズニーランドだ!」って衝撃で。キャンプだったので、お風呂に入っているとき以外ずっと音楽が耳に入ってくるんです。そんな空間、他にないじゃないですか。目当てじゃなかった人のライブをフラッと観に行ったらカッコよくて驚いたり、音楽やフェスの楽しみ方を教えてもらった、自分の中ではめちゃくちゃ特別なフェスですね。ライブもまだそこまで観たことがなかった年齢だったので、そのときフー・ファイターズ(Foo Fighters)やモーターヘッド(Motörhead)を最前のエリアで観て、おかしくなっちゃいました(笑)。モーターヘッドのレミーはあれが最初で最後の<フジロック>だったんですよね。
内田:2015年だよね。モッシュピットで観てた。
長谷部:そう、リュックを背負ってモッシュピットにいて、終わったらリュックが全開になっていて(笑)。「現金がゼロになっちゃった」と思って、モッシュピットで立ち尽くしていたんです。で、モッシュピットってライブが終わるといろいろ落ちていたりするんですけど、よく見たら財布やサングラスなど俺の荷物がいろんなところに散らばっていて(笑)。
内田:ね、よくここまで移動したなってレベルだった(笑)。
長谷部:だからモッシュピットにいるならリュックのチャックは横で閉めなきゃダメです。上で閉めるとダイブしてくる人がいたりもするから開いちゃうんで。あと背中側じゃなくてお腹側で持ちましょう。
内田:良いアドバイスだ(笑)。
関将典:リュックを持っていかないのが一番良いんじゃない?(笑)
──(笑)。内田さん、関さんはいかがですか?
内田:最初は好きな海外のアーティストやバンドのライブをたくさん観れるフェスとしての<フジロック>に憧れて行ったんですけど、振り返って思うのは、単純に“フェス”というものを本質的な意味で体験できた場所だなってことなんです。自分と同じような音楽が好きな人がブワーッと集まってきて、そこで楽しくお酒を飲んだり、美味しいご飯を食べたり、川で遊んだりしている、その空間自体が<フジロック>なんですよね。それがここ数年でわかってきました。もちろんタイムテーブルやラインナップを発表前に予想して楽しんだりもするんですけど、別に誰が来ても毎年<フジロック>は楽しい。お正月に実家に帰るような感覚で、夏が来て、<フジロック>に行って、「ああ、また一年生きてこれた」という感覚になる。だから、<フジロック>は自分の帰る場所ってことですね。
関:個人的にインフラ面やステージ間の距離の遠さなども含めて考えると、初心者向けではない気はするんですけど、でもそれすら愛してるたくさんの人が毎年そこに集うってすごいですよね。音楽的な意味合いでは、本当に多種多様なアーティストが出るので本当に誰でも楽しめると思います。噂で聞く話だとアーティスト発表前から翌年の苗プリ(苗場プリンスホテル)の予約をする<フジロック>ファンもいるらしいので、行けば何か特別な体験ができる、楽しいことが待っている、絶対に良い音楽と出会える信頼があるフェスということですよね。前回も今回も、そんな<フジロック>に自分たちが出ることができて嬉しいです。

──ちなみに、前回出演時の手応えはいかがでしたか?
内田:現地でも配信でも<フジロック>がきっかけで「カッコいいバンドだと思ってKroiを聴き始めました」って方が多くて。それこそ、ステージの移動中とかでさらっと観てくれたようなお客さんがそう言ってくれるのはめちゃくちゃ嬉しいです。
関:<フジロック>の配信のときにXでトレンド1位になったんですよ。スタッフがすごく喜んでいた記憶がある。
長谷部:やりやすかったし、めっちゃ楽しかったよね。
関:そういえば俺らの時間帯がすげえ暑くて。出番が終わってからすぐ雨が降り始めたんだよね。
都市型フェスでは起きないミラクル
──お客さんとして印象に残っている<フジロック>の思い出はありますか?
関:前回<フジロック>に出たとき、ザ・ブードス・バンド(THE BUDOS BAND)のライブを観て、そのあとにFIELD OF HEAVENの近くを歩いていたらベースの方を発見したんです。「写真撮ってください!」って頼んだんですけど、いざ撮ろうとしたときに、その方がピースした指にトンボが止まるという(笑)。で、それにみんなが驚いているすごく良い写真が撮れたのは良い思い出です。
長谷部:都市型フェスでは起きないミラクルだ(笑)。
内田:僕の場合はやっぱり若い頃の記憶が強いんですけど、去年RED MARQUEEでメイ・シモネス(Mei Semones)のライブを初めて観たときは、めっちゃ喰らっちゃって。そのあと彼女がサポートアクトとして出演していたメン・アイ・トラスト(Men I Trust) のツアーと彼女自身の東京のワンマンも行ったので、去年だけで計3回ライブを観るくらい大ハマりしました。もちろんワンマンも彼女の世界観たっぷりですごく良かったんですけど、やっぱり<フジロック>のRED MARQUEEで初めてあの音を聴いた感覚が鮮烈に記憶に残っているんです。完全に初見というか、音源の前にそのライブを観たので、今でも彼女の音源を聴くとあのときのフィーリングになるんです。
長谷部:うーん、いっぱいあって迷う……。あ、2年前のPYRAMID GARDENで深夜に観たクリストーン“キングフィッシュ”イングラム(Christone “Kingfish” Ingram)がヤバくて。アンプの真横くらいで彼のライブが観れて。ずっと好きだったアーティストだったんで、嬉しかったですね。あと深夜のPYRAMID GARDENがめっちゃ好きなんです。場所自体の夜遊び感というか。
内田:みんな酒臭い(笑)。
長谷部:そう(笑)。そのライブのあとDJ GONCHANがめっちゃウエスタンなDJを始めたとき「俺の居場所はここだ!」って感じで感動しちゃって。あの夜は忘れられないです。
益田:俺はRED MARQUEEで観たアーロ・パークス(Arlo Parks)が記憶に残っていて。音がカッコいいのもそうなんですけど、RED MARQUEEって良いですよね。あの天井が低い感じと、野外と屋内のバランスが絶妙で。RED MARQUEEでもいつかライブやってみたいですね。ご飯のエリアも近いし(笑)。
千葉:俺が<フジロック>で観れて良かったなと思ったのは坂本慎太郎さんですね。FIELD OF HEAVENで観たとき。悠生と関さんといっしょに観たのかな。ライティングもすごかったよね?
関:そうだね、プロジェクションマッピング的な感じで森にレーザーを当てたりしてた。
千葉:すごく幻想的で。それまでしっかり坂本慎太郎さんのライブを観たことがなかったのもあり、FIELD OF HEAVENという<フジロック>の一番奥の、秘境感の漂う場所で、サイケな照明もあって幻想的な空間があって、すごく特別でしたね。
内田:俺らはFIELD OF HEAVENが大好き!(笑)。
千葉:どのライブも2割増しくらい良く観える(笑)。
内田:FIELD OF HEAVENってセッション系のミュージシャンが多いステージだから、熱いプレイヤーや楽器好きはFIELD OF HEAVENに集まっているイメージです。



──今年のアクトで気になるものはありますか? 内田さんと長谷部さんは<フジロック>の配信する特別番組にも出演されていて、そこではレタス(LETTUCE)、平沢進+会人、ティナリウェン(Tinariwen)を挙げていました。
益田:まずクルアンビン(Khruangbin)は当然観たいよね。
内田:アーロ・パークスの今のライブのメンバーが気になるんだよな。誰なんだろう。新しいアルバムで参加しているギタリストのFlanafi(Simon Martinez)という人がめっちゃ好きで、バンドメンバーとして来てほしいですね。
長谷部:バッドバッドノットグッド(BADBADNOTGOOD)とココロコ(Kokoroko)がめっちゃ観たいんだよな。
内田:単純に気になるのはXGですね。どういうステージになるんだろう、あの近未来感が。
長谷部:あとヒョゴ(HYUKOH)も観たいんだよね。
関:ヒョゴのメンバーの数人と我々でよく会っていた時期があったりして、AAAでのライブは観たことあるんですけど、ヒョゴとしてのライブはまだなのでちゃんと観たいですね。あとテレビ大陸音頭は気になりますね。彼らは最近MVを何個か出しているんですけど、そのMVも尖っていてカッコいいんです。あの年齢であのカリスマ性がある子たちが<フジロック>の舞台で何をするのか観ておきたいですね。
長谷部:ユーフ(Yuuf)もめっちゃ観たい。
千葉:ロイル・カーナー(Loyle Carner)も良い。
関:前回の来日公演もバンドセットだったから今回もバンドセットかな?
益田:観に行ったよね。そのとき怜央と「さすがにロイル・カーナーはDJでしょ」とか話していて会場に着いたら音が漏れてて「おい!生音が聴こえるぞ!」ってダッシュして。
内田:テンション上がって大声出しながら入っていって、めっちゃうるさくしちゃって申し訳なかったね(笑)。今回はGREEN STAGEだけどWHITE STAGEの夕暮れとかも最高そう。こうやって想像できるのも良いよね。
千葉:僕は1日目が好みですね。トロ・イ・モア(Toro y Moi)は一時期すごく聴いていたし、TESTSETもめちゃ好きですし、テレビ大陸音頭も気になる。TESTSETもサニーデイ・サービスも含め、国内のアーティストでフェスにたくさん出ているわけじゃないけど、<フジロック>には出ている人って多いイメージがあります。前乗りする予定なので、この辺りは観たいですね。あと僕らと同じ2日目だと個人的にBialystocksにはめっちゃ期待しているというか、カマしてほしいです。
関:レーベルメイトですからね。
内田:Bialystocksは<フジロック>で観たら絶対に気持ちいいと思う。モグワイ(MOGWAI)も観たいな。
長谷部:PLANET GROOVEのmaya ongakuも観たいですね、たぶん深夜かな。出番の前日なんで、行けるかわかんないんですけど。
関:行っちゃうんじゃない? どうせ寝る気ないでしょ。
益田:まあ悠生は行っちゃうだろうね。でも夜に楽しみすぎると次の日の昼のライブが観れなくなる。
内田:そのジレンマがあるんだよな。
関:全部を楽しむのは無理だからね、体力的に。
長谷部:去年はカトリエル&パコ・アモロソ(CA7RIEL & Paco Amoroso)を諦めたからね。
──ええと、このまま放っておくと朝まで続きそうなので(笑)、長谷部さんに一番観たいアクトを発表していただいてこの話題を締めましょう。
長谷部:うーん……やっぱりレタスにします。去年来日ツアーをしていたんですけど、行き損ねてしまって。レタスの周辺にいるザ・ファンキー・ナックルズ(The Funky Knuckles)やゴースト・ノート(Ghost-Note)、スナーキー・パピー(Snarky Puppy)もすごく好きで。レタスのギタリストのプレイをずっと動画で観ていたので、絶対に生で観たい。<フジロック>で観たら間違いなく最高ですからね。
──ちなみにレタスとKroiはリスナーからすると近しい部分も感じます。バンドとして共感している面もあるんでしょうか?
内田:そうですね、レタスは単純にオールドなファンクをやるっていうより新しいことをしようとしている人たちの集まりなんで、割と実験的なファンクサウンドの面もあるんです。その感覚には通ずるところがあるかなってと思っていて。魅力的だし共感しますね。ドラマーのアダム・ダイチ(Adam Deitch)の動画とかずっと観てますもん(笑)。

フジロックに与えられたものとフジロックから学んできたことを発表する
──では、Kroiにとって2度目の<フジロック>ではどのようなライブを届ける予定か教えてください。
内田:まだ全くの白紙なんですけど、<フジロック>で自分が観たいと思うようなライブを作りたいと思います。ちなみに普段は関さんがそのフェスの雰囲気を見て、セットリストを組んでくれていて。
関:時間帯や景色、照明も音楽に作用すると思うので、そのあたりをうまく出せるセットリストにできたらいいなと思っています。打ち合わせをスタッフ陣としっかりして、久しぶりの<フジロック>なので、気合いを入れてライブに臨めたらなと。
──みなさんのおすすめの<フジロック>の楽しみ方はありますか?
内田:夜中の爆食じゃないですかね(笑)。音楽を聴きながら食うラーメンはめちゃくちゃ美味い。
長谷部:PLANET GROOVEの前にあるラーメン屋ね。
内田:そうそう。昼間暑くて、夜はめっちゃ寒くなるんで、寒くなった夜に温かいラーメンを食うのが良いんですよね。
長谷部:オアシスにある鰭酒を飲むのも好き。
内田:良いよね。普段あの暑さと寒さを1日で体験できないから不思議な感覚になるんだよね、<フジロック>って。それこそキャンプサイトで過ごしているときは、寒いから夜はめっちゃ着込んで寝るんですけど、朝になると汗でビッシャビシャで起きるんです(笑)。でも風呂には簡単には入れないという。あれがまた良いんだよね。
──では、最後に<フジロック>への意気込みを教えてください。
千葉:数年前から緊張しなくなって、最近のライブはすごくフラットに臨めているので、それを<フジロック>でもできたらなと。どのライブでもお客さんの反応やメンバーの気持ちで変わっていくので、それが<フジロック>でどうなるか楽しみにしつつ、前日はちゃんと寝ます!
長谷部:夢の場所、憧れの場所で、一番良いライブをします。
内田:<フジロック>に与えられたものと<フジロック>から学んできたことを発表する場にしようかなと。
関:そこで自分たちを発見してくれる人がいてほしい、その出会いを今回も獲得できたらいいなと思います。だからこそ気合いは入れると言いつつ、いつも通りの自分たちの良さを全面に出して、Kroiがどんなバンドかをあらためて<フジロック>を愛しているお客さんに届けたいと思います。
益田:ぶち上げ! 大盛り上がり! お願いします!

Photo by 垂水佳菜
text&interview by 高久大輝
Hair&Make-Up by Chika Ueno, Kaho Tazato
INFORMATION
Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE” 特設サイト
Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE” ツアー詳細
座種:1Fスタンディング 2F指定席
料金:1Fスタンディング・・・ ¥7,000 (税込/ドリンク代別)
2F指定席・・・ ¥8,000 (税込/ドリンク代別)
2026年8月10日(月)KT Zepp Yokohama(ワンマン公演) 開場18:00/開演19:00
2026年8月20日(木)Zepp Nagoya(w / レキシ) 開場18:00/開演19:00
2026年8月21日(金)Zepp Nagoya(ワンマン公演) 開場18:00/開演19:00
2026年8月29日(土)Zepp Sapporo(ワンマン公演) 開場17:00/開演18:00
2026年9月4日(金)Zepp Fukuoka(w / iri ) 開場18:00/開演19:00
2026年9月5日(土)Zepp Fukuoka(ワンマン公演) 開場16:30/開演17:30
2026年9月18日(金)Zepp Osaka Bayside(w / KIRINJI) 開場18:00/開演19:00
2026年9月19日(土)Zepp Osaka Bayside(ワンマン公演) 開場16:30/開演17:30
2026年9月22日(祝・火)Zepp Haneda(TOKYO) (w/東京スカパラダイスオーケストラ)
開場17:00/開演18:00
2026年9月23日(祝・水)Zepp Haneda(TOKYO) (ワンマン公演) 開場17:00/開演18:00
チケット最終先着先行受付中
受付期間:6/22(月) 18:00- 7/10(金) 23:59
Kroi HP/ECサイト
PROFILE
R&B /ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。
2018年2月に結成。2021年6月には1st Album「LENS」でメジャーデビュー。
2026年1月には自身最大キャパとなる、大阪城ホール・国立代々木競技場第一体育館にて初のアリーナツアーを成功に収める。
2026年夏、全国6都市10公演のZeppツアーを開催予定。
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