「みんなで作ってるっていう気持ちが強いのがやっぱり<フジロック>なんだって思います。」
豊間根 それでは、ここから2日目のお話に。2日目は朝から雨が降ってたんですよね。それで昼前に上がった。
片瀬 確かに、そうでしたね!
豊間根 2日目のはじまりは?
豊間根 2日目はかなりのんびりゆっくり過ごしました。1日目が深くまで盛り上がったのもあって、ガッツリ寝ましたね(笑)。でも部屋でYouTube配信も見ました。夕方、ユニコーン(UNICORN)を観に会場に向かい、また少しして宿に戻ってという感じでした。
豊間根 けっこう宿と会場を行ったり来たりしてるんですね。昨年のごはんはどのあたりで食べました?
片瀬 ごはんは会場でぶらぶらしながら食べ歩きました。2日目は基本、3日目までの体力を残す意味でもオアシスエリアで、ゆっくりごはんを食べて過ごす感じが多いかも。昨年は苗場食堂がすごい混んでいたので、とろろ飯は食べれなかったんです。
豊間根 それは残念。なにかお気に入りのごはんは見つけました?
片瀬 昨年のお気に入りは、パクチーがいっぱいのガパオライス。オアシスの真ん中らへんにあるお店だったと思います。あとはインドカレーや串焼き系。宿に戻るときもキャンプサイトの方にある串焼きのお店で、いつも大量に買って、ホテルに戻ってまた食べてます(笑)。
豊間根 片瀬さんはいつも会場をくまなく移動しているイメージですが、今年はあんまり奥地には?
片瀬 そうですね…、確かに昨年は珍しくホワイト(・ステージ)くらいまでしか行かなったですね。いつもはゴンドラ乗って、デイ・ドリーミング(DAY DREAMING and SILENT BREEZE)にも行くんですが、次の日行こうと思って、結局行けなかったです。アンフェアグラウンドにも行けなかったので、それが心残りです…。
豊間根 おお〜、去年は珍しく移動距離少なめですね。2日目は、ちょうどケンドリック前、スクリレックス(Skrillex)の途中から雨が降り始めたんですよね。ケンドリックのときはかなり激しく降って。
片瀬 ああ、そうです!グリーン(・ステージ)で、ケンドリックが始まる前にブワッ〜てすごい降ったんです。雨音も地面を打ちつけるように物凄く激しくて「わー…すごい雨だー!」と思って、「これはやれるのか?押すかな?」って思うぐらいだったんです。そんな大雨のなかケンドリックの登場を待っていたのを覚えてますね。
豊間根 でも、毎年<フジロック>では必ず雨が降って欲しい片瀬さんはもちろん、完璧な装備で?
片瀬 もちろんです!基本、常に完璧な装備でいるので。あとは「(雨よ)来い」って感じです。むしろ降らないと暑くてしょうがないんですよね。なので、やっと降ってくれた〜って思います。
豊間根 実際すごい大雨でしたが、ステージはどうでした?
片瀬 いやー、もう最高!雨の中でヒップホップってなかなか体験したことなかったんで、しかもケンドリック。私的には、ケンドリックのステージはもっとゲストがたくさん来てラップしまくるのかな?と思っていたので…。あの大きなグリーン(・ステージ)に本当に1人でやりきるという。あの存在感、やっぱりただ者ではないオーラを放ってましたね。
豊間根 ケンドリックのパフォーマンスと雨の相性はどうでしたか?
片瀬 すごくよかったです。最前列の方にいたお客さんたちも、全然めげず、むしろすっごい盛り上がってましたね。逆に雨でテンションが上がってました。それを見ていると自分もすごい気持ちが上がってくる。会場全体にどんどん広がっていく感じがしましたね。
豊間根 2日目の深夜は?ちょうどGAN-BAN SQUAREでもGAN-BAN NIGHTが始まるくらいから、とんでもない雨風になってましたが…。
片瀬 そうでしたよね。深夜はだいたいレッドマーキーか岩盤スクエアにいるんですが、この日はケンドリックの後に部屋に戻りました。窓に打ち付けられる雨風をみてビックリしました。翌日が生放送の仕事なので、今年はしっかり部屋に戻って休みました。いつも後ろ髪引かれる感じで、<フジロック>会場からみんなに「いってらっしゃい!」って言われて東京に一度戻るパターンです(笑)。
豊間根 そうでしたね。いやーでも、深夜のレッド・マーキーのスラック(5lack)のときが雨風のヤマでした。身の危険を感じる雨と風でしたね、本当に。正に台風の影響という。
片瀬 それはもう、スタッフさん的には大変でしたよね…。
豊間根 まあ、僕らもバタバタでしたが、やっぱり一番大変だったのはキャンプサイトのお客さんだったと思いますよ。
片瀬 宿からも見えましたが、キャンプサイトはかなり大変でしたよね。でも、やっぱり<フジロック>は1回目の台風直撃もそうでしたが。20年以上、本気で自然のなかで開催するってことをやってきて、その歴史を知ってる人は余計に運営側のみなさんの気持ちもわかります。みんなで作ってるっていう気持ちが強いのがやっぱり<フジロック>なんだって思います。スタッフのみなさんも本当に死ぬ気で作ってるし、来る方もやっぱり死ぬ気で楽しもうと思ってる。そしてマナーよく、みんなで気持ちよく過ごそうと。
豊間根 ありがとうございます。昨年は強い雨風の影響もありましたし、我々としてはお客さんの立場になったらマナーキャンペーンの「OSAHO(おさほう)」どころじゃなかっただろう、と。
片瀬 数年前にゴミが増えたときとかもありましたけど、昨年はみんな積極的にゴミを拾ったり、ゴミ袋を持っていたりしてたと思います。そういうのを見ると、結構「OSAHO(おさほう)」は浸透してるのかな?と思いました。もちろんお客さんひとりひとりの意識も向上してるのかもしれないですし、運営側のみなさんの呼びかけが伝わってるんじゃないかなと感じましたね。
豊間根 確かに、あの雨風の割にはゴミのクレームは少なかったように思えます。ただ地道にでも「OSAHO」キャンペーンは続けていかなきゃなと思います。
片瀬 そうですね、私も意識して言い続けていきたいなと思います。単に初めて来た人がマナーが悪いかというとそういうことでもないですし。ひとつ私が本当に毎年思っていることがあって、、、イスです。折りたたみイスをたたまずに頭に被って移動するタイプの…、あれは、ちゃんとたたんで移動しないと本当に危ないんです。
豊間根 うーん。本当に多いですよね。特に移動中は周りの人には迷惑ですよね。いくら混んでいてもせっかくみんなが整然と移動しているのに。
片瀬 本当にこれは迷惑です!そして危ない!私は背が高い方なのでちょうど目の高さに脚の部分が来るんですよ。入場規制がかかっている会場は本当に人でいっぱいだし、狭くなっている通路を一斉に移動するときに、イスを頭に被っている人が周りにいると本当に怖いです。例えばお子さんとかでも、肩車してもらっている子供もいるのでぶつかったら危ないし。あのイスの運び方だけは本当にやめて欲しいですね。
豊間根 それは絶対伝えなきゃですね。イスは絶対に畳んで移動すること。
片瀬 私も自分のまわりや伝えられる範囲では伝えているのですが、ぜひこういったマナーをみんなで作っていかないとですね。
豊間根 では、強風大雨で終えた2日目を経て、3日目。東京から再び会場に戻った日ですね。
片瀬 生放送を終えて家に帰って、そこからまた準備して向かいました。去年は友達2人と合流して向かい、会場に着いたのが13時くらいですね。
豊間根 さすがです。毎年、仕事を挟んで東京と苗場を2往復することで、フジロックに行くのを二度楽しめるって言ってましたもんね。
片瀬 そうなんです。フジロックに行く楽しみを二度やれるっていう(笑)。3日目も1日目と同じ気持ちで。移動中には、2日間で出演したアーティストのアルバムを聴いたり、3日目に出るアーティストの予習をしてます!
豊間根 ははは、なかなか出来ない楽しみ方ですね。では3日目、会場に戻ってからはどんな風に?
片瀬 この日はアンダーソン・パーク(Anderson Paak.)ですね! 今回、アンダーソン・パークは一番楽しみにしてたんで、生で見れてめっちゃかっこ良かったです。彼のスタイルはすべて最高でした。
豊間根 その後はいろいろ観れました?
片瀬 そうですね、仕事の現場を出るときに番組のレギュラーメンバーのおじさま勢に、「ボブ・ディラン(Bob Dylan)だけは俺たちのためにも見てくれ!」って言われてまして、観に行きました(笑)。やっぱりボブ・ディランはレジェンドな雰囲気でしたね〜。そのあとはホワイト(・ステージ)に移って、チャーチズ(CHVRCHES)をちょっとだけ見て、そこから宿に戻りつつ、レッド・マーキーでエー・トラック(A-TRAK)を見て帰りました。
豊間根 じゃあ昨年は3日間、比較的ゆっくり過ごした感じですね?
片瀬 そうですね、今まではとにかく会場に出たらひたすらステージ間を移動してました。なので、昨年は今までに比べたら一番ゆっくり過ごした年ですね。それでも満足度が高かったのは、やっぱりYouTube配信があったからかな〜!いつもよりのんびり<フジロック>の雰囲気を堪能できた感じはしますね。あとは、<フジロック>の余韻を振り返るのも好きなんです。チャーチズは映像演出が素敵で、それを思い出しながらその後もずっとチャーチズを聴いてました。
豊間根 片瀬さんほどのフジロックの大ベテラン(98年から皆勤)にとっても新しいフジロックの過ごし方をした年ということですね。ここ近年は1日だけ来るお客さんも多かったと思います。3日間通してのフジロックはどうでしたか?
片瀬 確かに、昔より<フジロック>へ参加するのが気軽になった印象はありますね。3日間いると、そういう人の流れの変化も感じるかもしれないです。楽しみ方がそれぞれ変わった部分もあるのかもしれないですね。
豊間根 昨年は特に、ヒップホップ系のアーティストからボブ・ディランまでというラインナップが大きかったと思いますね。
片瀬 そうですね。若い子たちも多かったですが、3日目は、アコースティック・ギターが上手そうなお父様たちも多かった気がします。人生の先輩たち、みんなボブを観に来てましたね。いろんな層のお客さんが集まるっていうのもフジロックならではですね。
豊間根 本当に。世代的にはかなりお客さんの層が広がった年でしたね。
片瀬 ほんとですね。いやー、去年も楽しかったな〜!