家族の数だけそれぞれのスタイルがあるように、子連れフジロック・スタイルも様々でしょう。
この「子連れフジロッカーズ・インタビュー」では、子どもを連れてフェスに参加する人がその時の自分には何が必要かを最終確認していただけるような参考例を集め、フェス参加ファミリーのケース・スタディとしてアーカイブしていきたいと考えています。
第4回は、2017年に子連れフジロッカーズとして登場してくださった齋藤家親子が、実際にフジロックに参加してみてどうだったのかについてのアフター取材を行いました。
父は過去に仕事で携わるもオーディエンスとしては初参加、そして5歳の娘と母も初めてフジロックに参加した齋藤家。今回は、その母と娘の苗場物語をお届けします。
■齋藤家プロフィール(東京都在住・移動手段/車)
父・ケンジ(フジロック参加歴:仕事で有/53歳/カメラマン)
母・ユミコ(昨年初/46歳/フリーアナウンサー)
長女・ハヅキ(昨年初/5歳1ヶ月)*昨年参加した当時の年齢です
□フジロック参加前のインタビュー記事
『子連れフジロッカーズ・インタビューVol.2 〜伊藤家、齋藤家、長谷川家〜』
■斎藤家の場合 〜フジロック参加後のお話〜
初めてのフジロックはいかがでしたか?
母:雨が意外と楽しかったんです。それに、子どもと行くと絶対大変だろうと思ってたけど、それがまったくなかった。
まったく、ですか?
母:まったくなかったし、子どもが楽しんでいるのを見るのが楽しかったですよね。
参加前に不安だったことは?
母:雨です。降ったら子どもが楽しめないんじゃないか、疲れちゃうんじゃないかというのを一番心配していたから、雨具を考えたり着替えはどうしようとか荷物もやけに増えちゃって。でも実際行ってみたら、雨って実は楽しいのねと思えた。それもザっと降ったわけじゃなく、降って止んでを繰り返す霧雨っぽい気持ちのいい雨で。自然の中で降るその程度の雨だったので、心配するほどでもなかったなって。
参加されたのは?
母:日曜、ケロポンズの日。2日目の雨はすごかったって聞いて、いいときに行ったなと(笑)。
(笑)。泊まりは?
母:いろいろ事情があって、チケットを買ったのもギリギリで、キャンプする余裕もなくて、前日の夜に駐車場へ到着して車中泊にしました。高速を降りてから途中で温泉に入って。
日帰り温泉ですか?
母:そう。入ると中に“フジロックへ行ってます”風な人がいっぱいいるのを見て、フジロックに来たね気分を味わって(笑)。そこで夕飯も食べました。駐車場では車中泊が初めてだったから、わくわくして布団も持ち込んで、車内を快適にして、ビールも買ってたくさん楽しむつもりだったのに、はしゃいでたはずのハヅキは速攻で寝て、私もビール半分も飲まないうちに寝落ちして、旦那だけが一人テレビ見ながらビールとおつまみを楽しんで。でも夜中にトイレで起こされて、ハヅキは戻ってすぐ寝てしまったものの、私は旦那のいびきがうるさくて全く寝られなくなってしまい…。そういえば! とハヅキ用のイヤーマフがあったことを思い出して装着してみたら、これがとっても快適! いびきをしっかりシャットアウトしてくれて、その後はぐっすり寝られました。旦那は、そんなものいらないよと直前まで言っていたけど、ホント買っておいてよかった!
そんな一夜が明けて(笑)、起きるといよいよフジロック本番です。まずはどこへ?
母:ケロポンズのエビカニ・パレードに間に合うように9時頃に出て、様子を見ながらキッズランドへ向かいました。キッズランドに着いた途端、子どもは見えた遊具めがけて遊びに行って、楽しくなっちゃって。ケロポンズ前だったこともあって、約束していなかったけれど友達家族ともそこで会えました。一通り遊んでからパレードに参加して、子どもたちの行列と一緒にアヴァロン・ステージへ移動して。
子どもも大人も参加して大盛況でしたね。
母:人がすごく多くて! 子連れの数の多さにびっくりしました。あ、そうだ! あのパレードの時、うっかりカートごと荷物をキッズランドに忘れてしまって。用意していた椅子なども丸ごと全部。でもまあ、取られるものはないしってことで、後で取りに戻りました(笑)。
あらあら。ところで、バギーとカートで悩んでいたのは結局カートにしたんですね。
母:そうなんですよ。うちはもう5歳だし、カートでいいんじゃないかって。直前に旦那が何気に張り切って用意してくれて。
ケロポンズのライブではアヴァロンのどこに陣取りました?
母:現地で合流したママ友が1歳の子を連れていたので、そのママに数家族の子どもをすべてお任せして、子どもたちはステージ前方に。私は別のママたちと後ろで離れて見ていました。パパたちはもっと下がって遊んでましたね。
お子さん(ハヅキ・当時5歳)の様子は?
母:あれからケロポンズが大好きで! ケロポンズのライブは、ここ数年地元で参加しているフェスでも毎年見てはいるんですけど、地元で見た人たちが、違う場所にもいたというのが嬉しかったみたい。あとは、たまたまだけど友達がいて、あそこで会えて。非日常の場所で日常の仲間と遊んだことが楽しいイベントだったみたいです。
フジロック全体では?
母:お友達がフジロックを語っていたのを聞いたらしく、フジロックが何かは分かっていなかったけれど、行く前からずっと「フジロックに行きたい!」と言っていたんですよ。家族で車の中に泊まるってこともないし、行ったら音楽が鳴っているところに自分が大好きな遊園地みたいなのまであって、本当に楽しかったみたい。きっとこの人の記憶はキッズランドとケロポンズだけだと思うけど。ああ、あと、ゴンちゃん捜しがとっても楽しかった。
持って帰れました?
母:もう3日目だったからかなあ? すごく頑張って探したけど大きいのしかなくって。「これ持って帰りたい!」って川の中で騒いでたんですけど「いや、いや、いや。それは持って帰れないでしょう〜」っていう大きさで(笑)。小さいゴンちゃんもあるんですか?
はい。それに「日曜夕方にはゴンちゃんの役目は終わるのでみんな持ち帰ってもいいよ、でもそれまでは持って行かないで」と作者のゴードンさんは言っているんですけど、私もまだひとつも持って帰れたことがないです。
母:そうなのね。会場に入る前から、駐車場からゴンちゃんがいろいろな場所にいたから、探すのがとても楽しかったみたい。ゴンちゃんもそうだけど、子どもが興味を引くものが多くあったなあ。あと、ハヅキがゴンちゃんを川で探しているとき、持って行った椅子に座っていたら、音楽が聴こえてきて。奏でている人の姿は見えないんだけど、自然の中で聴こえてくるそれがすごく気持ちよかった。