〜「DJみそしるとMCごはんのケロポン定食」2017年7月30日(日)Gypsy Avalon・ライブレポート〜

フジロックフェスティバル’17最終日の7月30日(日)、天候は雨時々曇り、正午過ぎ、ジプシーアバロン・ステージでは子どもたちにお馴染みのあそびうた作家の鈴木翼をオープニングアクトに迎え、ウォーミングアップも万全に、ケロポンズとDJみそしるとMCごはんが登場し、「ごはんハンハン」で幕を開けた。

「ごはんハンハン」は、この2組の出逢いとなったきっかけの曲であり、2015年の世界食糧デー(10月16日)に寄せて、世界の食問題を考える歌として、作詞作曲・振付・コーラスをケロポンズが担当し、歌をおみそはんが担当した作品である。これまでミュージック・ビデオでの共演はあったものの、ライブでの共演はこの日が初であり、フジロックという舞台に相応しいスペシャルな楽曲は降りしきる雨をもろともせずに、漂う空気とオーディエンスを和みの空間へと導く。

そして、「こんにちは! DJみそしるとMCごはんのケロポン定食です!」と3人が声を揃えて自己紹介し、ケロこと増田裕子が「すっごい集まってますね。私たちケロポンズは5年連続で出ていますけれども、こんなに集まったのは初めてです! 雨の中、ありがとう!」と叫び、続けて「おみそはん効果です」と謙遜シャウトを重ね、その客入りを「おみそはんエフェクト」と呼んだ。
それに対して「ありがとうございます!」と、とっても照れくさそうに、はにかんで応えるおみそはんはあまりに愛くるしい。

「こどもたち、何食べたーい?」
オーディエンスに問いかけるケロポン定食に対し、「カレー!」「ハンバーグ!」などの元気のいい声が四方八方から飛んできて、「なんでも歌合戦」が始まった。

遊び歌の場合、歌の合間にどう遊ぶかの説明が加わるのだが、主軸を子どもに置いていながらもけして大人をないがしろにしない、オーディエンス全員が参加しやすいように促すケロポンズの日本列島を駆け巡る百戦錬磨の進行術によって、子どもたちはもちろんのこと、大人たちをものっけからどんどん巻き込んでいく。
たとえば、「死ぬまでに食べてみたいものは?」との問いに対しては、子どもオーディエンスからの「唐揚げ!」という王道且つ可愛さ溢れる安定のレスポンスに対し、おみそはんは「猿の脳みそ」という驚きの願望を口にしたのを受けて動揺を隠しきれないケロポンズではあったが、ライブならではとも言えるおみそはんの突拍子もないレスポンスをネタに「唐揚げ」VS「猿の脳みそ」対決を決行、言うまでも無く唐揚げが圧勝した。

この歌合戦の最後のテーマにおける「フジロックと言えば?」の問いかけに子どもたちが大声でレスポンスしたのは「音楽」と「食べ物」であった。
2組の共通項でもある「音楽」と「食べ物」という2つのワードがフジロックの象徴であり、核心であることを、子どもたちの声によって実感させられるという非常に印象的なシーンは、この日のコラボレーション・ライブのハイライトであったと言えよう。子どもたちは本能的にその本質をしっかりと捉え、感じているのだ。

続いてはケロポンズのショー・パートとなり、この日のために結成されたコラボ・バンドのドラマーであるふーちんを前に呼ぶと彼女がまとっていた「お家にあるもので作った」というボールや板、計量カップ、お鍋のふた、そしてすし桶を背負った超大作な楽器を紹介し、彼女がプロデュースした手作り楽器を持っているオーディエンスは共に演奏するよう促してから「ひっつきもっつき」を演奏開始した。曲間でも「自分の気持ちを出して!」とポンこと平田明子が叫び、客側の自由度はどんどん上昇していった。

「前髪短協会のうた」ではこどもフジロッカーには前髪が短い人が多いことや、大人フジロッカーには前日飲み過ぎた人が多数いることが明らかになって笑いもおき、「タコクロナイズドスイミング」では涼やかなピアノの音の波が心地よく山に響いた。その後はバンドを再び呼び込み、ケロポン定食ならではの‘食’をテーマにした「ふりかけパラパラ」「糸引き納豆」へと続いた。

リアルなバンド・サウンドを肌で感じながら軽快なリズムに合わせて小気味よく踊るのは子どもたちだけではなく、その後方で子どもたちを優しく見守る大人たちがキレよく踊る姿もそこかしこに見えるほど、振りも歌も完璧にマスターしている大人が多いのも印象的だった。

老若男女問わず人々をぐっと引き込むストレートな楽しさがケロポンズの最大の武器ではあるが、それにしても大人たちは日頃から子どもと踊ったり歌ったりしているのだろう。そして知っているなら楽しんだ方がいいに決まっていることを体現する彼らの姿からは、フジロックの新しい時代の到来を感じた。彼らはパンクやロックが死ぬほど好きなのかもしれないが、子どものいる自分の環境を受け入れ、順応し、自分も楽しむ親フジロッカーたちの姿は非常に頼もしくて美しかった。

その流れからの「地球と踊ろう」では、ピアノの美しい旋律が響き渡る中、この歌詞にあるように、かけがえのない誰のものでもないみんなの地球をこどもたちの未来のために私たちはどう守っていくのかと真摯に考えるべきテーマをふと投げかけられてはっともした。

こうして大自然の中で、大勢の人々がまるで地球と踊るかのように心地よいリズムにゆったりと体を預けて揺らすその瞬間が、非常に尊いものと感じ取ることができるのは、自然と音楽が織りなすフジロック・マジックである。それは予兆もなく突然起き、瞬間的に体感するものであり、大きく心を揺さぶる。そしてその感情は消えずにずっと心に残るのだ。特に今年はマナーの悪化が目立っていたし、開催後にはゴミ問題が大きく浮上するなどの残念な部分もあったので、こうしたマジックが参加者を良い方向へと導くことを願うばかりだ。

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