お笑い界に留まらず、俳優や音楽好きとして広く活躍中のお笑いコンビ・ハライチの澤部 佑さん。昨年の<フジロック>の会場内にあるキッズランドでお見かけした際、遊具で遊ぶ小さなお子さんを優しい眼差しで見つめている姿がとても素敵で印象的でした。

そこで今回は、オーディエンスとして15年の<フジロック>参加歴を持つ澤部さんの、三児の父としてのリアルな子連れフジロック体験談やマストアイテム、さらに独身時代からの心境の変化などについてお訊きしました。

Interview:澤部佑(ハライチ)

■澤部流・<フジロック>参加スタイルは3世代

「この2年で、僕の長年の夢を成し遂げたんです。自分の家族とフジロックに参加することがずっと夢だったので」

澤部さんが最初に音楽フェスに行きたいと思ったのは高校生の頃。音楽好きでライブにもよく足を運んでいた両親に相談すると「それならフジロックなんじゃない?」と言われ、両親と共に初めて苗場の地を踏んだのは今から15年前のこと。

それから月日は流れ、「参加し始めた10代の頃は『全部観たい』と場内を動き回っていたものの、段々しんどくなっていき、その数年後には椅子を持ちはじめ、『ゆっくりいこうよ』となりました」という具合に年々変化していったそう。

その後、気が付けば子どもも生まれて親となり、現在は奥さんと子どもたちと一緒に家族で参加。音楽好きな両親もまた<フジロック>に来場しているものの宿も行動も完全に別という、まさに音楽フェス好きの3世代ならでは!

「うちの親も行ってますんで3世代といえば3世代で参加しています。子どもたちはおじいちゃん、おばあちゃんと遊びたいから行くと言い、会場内で会って子どもたちを親に預けて。その間、奥さんと二人でゆっくりする時間ももうけられたんです。親が、おじいちゃん・おばあちゃんが来てるといいですね。でも、アーティストを観て再び合流したら、子どもたちの顔がペイントだらけで(笑)。おじいちゃん・おばあちゃんは甘いから、子どもがやりたいことはすべてやって甘やかされて帰ってくる(笑)」

0514_yu-sawabe_01 【こどもフジロック】ハライチ・澤部が成し遂げた“家族と参加するフジロック”

■澤部流・変化を受け入れる

「去年はほとんど観れてないんですよ。でも、しょうがないなあって。基本はオアシス、ところ天国。去年初めて川にちょっと入ったり、キッズランドにも子どもたちを連れていって遊んだり。2日目には子供たちと一緒にドラゴンドラにも乗りました。ドラゴンドラで向かうデイ・ドリーミングは『天国ってこういう感じなんじゃないか』という空間ですよね。みんながゆっくりとしていて、着ぐるみもいるので子どもたちも楽しそうでした。そうこうしているとアーティストを見るのは極端に減りますね」

また、昨年2日目の夜は台風の強い影響により苗場には突風と激しい雨が降りしきりました。当時を振り返って「子どもがいたから、さすがに危ないと思った」という澤部さんは観たかったケンドリック・ラマーを諦めて早々に宿へ戻ったそうです。

それから「子どもが芝をむしってパスタにして、おままごとをする横で見たボブ・ディラン」では、ボブ・ディランが来日するたびにライブへ行く両親のことを想いながら「親が喜ぶだろうな、と。おかげさまで親孝行もできたのかな、と」思っていたとも。

0514_yu-sawabe_02 【こどもフジロック】ハライチ・澤部が成し遂げた“家族と参加するフジロック”

■澤部流・<フジロック>英才教育

「フジロックに連れていくと“特殊なとこに来たぞ”って、それがもう楽しいみたいな感じになってましたね。お父さんが音楽聞いて踊り狂ってて、それを見て子どももキャッキャ、キャッキャ踊っていて。まったく飽きてなかった。4歳、2歳なんで“何も見ないでゆっくりしようタイム”とか、メシを食べ終わった後に何もすることはないんですけど、子どもたちはなんか楽しそうにしてるんですよ。大人が座る椅子でできたサークルを走り回ったり石を積んだりして自分たちで遊びを見つけて。お店を始めて我々大人がお客さんで入っていったりとか。何もなくても楽しくなっていましたね」

<フジロック>の豊かな自然環境について話が及ぶと、「川で遊んだ経験がなかったし、虫もこれまでそんなに触れ合うことがなかったのでバッタを見つけて追っかけまわしてましたね。そういうのを見るともっと自然と遊ばせなきゃ駄目だなと思いますね」としみじみ。

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また、TALKING ABOUT FUJI ROCKコーナーで子連れフジロックについてのインタビューに答えてくれた女優の広末涼子さんとのエピソードもお話してくださいました。

「番組で一緒になった広末さんとフジロックの話をしてて。そこにアンジャッシュの渡部さんがいたので、子ども生まれたばっかりだったから、広末さんと一緒にいかにフジロックが子どもにとっていいかを延々と説き伏せて(笑)。芸能界で親子フジロッカーの良さを広めています」

■澤部流・子連れフジロック・マストアイテム

子連れフジロックを2年連続で経験した澤部さんに、“澤部流・子連れフジロック・マストアイテム”を訊いたところ、即答されたのは「お菓子」でした。その他、多くのアイテムを挙げてくださったのですべてご紹介します。

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■アイテム・その1「お菓子」
「お菓子は大事。キッズランドでも売っていますよね。でもお店まで遠いとか、お店も並ぶとか、すぐ動けないときにお菓子があって子どもの機嫌を繋ぐという意味では予め持っておいた方がいいですね。2歳の子には、おにぎりとお菓子をいっぱい持って行きました」

■アイテム・その2「雨具/防寒具」
「雨具ですね。子連れ参加での1年目がずっと雨降ってたので、去年は完璧に揃えて行ったつもりです。下の子はポンチョ、上の子は上下セパレートの雨具を用意しました。小さいときはポンチョを喜んできてくれるし、一発で着せれるので楽ですし。あとは寒さ対策ですかね。雨だと子どもたちの体温も下がるので、さらに気をつけたりはしてました」

■アイテム・その3「バギー」
「エアバギーの3輪タイプ。ベビーカーもいろんな種類があるので、周りの人に迷惑がかからないように山道行けるものをって考えるとエアバギータイプが良かったです。うちでは普通のものを使っていたので1年目はレンタルして、2年目は幼稚園の同級生のママに借りたりして持って行ってました。めちゃくちゃ泥だらけの状態になったので綺麗にして返しましたけど(笑)。そうしたレンタルや借りるのとかは全部奥さんが準備してくれました」

■アイテム・その4「背負子」
「背負子も持って行きました。あれは、めちゃくちゃしんどい(笑)。ですけど、一回乗せちゃえば楽ですね。僕の場合は下の子を乗せて、下ろしたらそのまま椅子になるので便利ですね。ガバっと屋根が出るやつなんで雨降ってきても大丈夫だし」

■アイテム・その5「ケロポンズ&ぐるぐるウインナー」
「ケロポンズはマスト。ぐるぐるウインナーもセットでマストです。日曜の最終日は、毎年朝からケロポンズを見てぐるぐるウインナーを食べるのがお決まりのコースです」

■澤部流・家族の口説き方

子連れでフジロックに参加する場合、澤部さんのように“夫婦と子ども”というスタイルが多数ですが、中にはパートナーの理解を得られないことや同意してもらえても乗り気でなかったりと難しい部分もありますよね。そこで澤部さんに「奥様はフジロック参加には最初から賛成だったんですか?」と率直に訊いてみました。

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「僕は夢だったんで。学生時代に『フェス行きたい』って親に言ったら『じゃあフジロックじゃない?』って言われて一緒に行って。そのときから“いつか自分の奥さんと子どもと一緒に行きたい”ってずっと思っていたんです。子どもも奥さんも『行こう!』って言ってくれたので、その夢をこの2年で成し遂げました。

でも世の中には反対されてしまうパパたちもいっぱいいると思うんで、そこを口説き落とせたのはラッキーだと思います。もともと奥さんは反対ではなく行ってみたいとは言ってくれていたので、子どもが4歳、3歳になって『そろそろどうですか?』って下からお伺いを立てたら『じゃ、いこうか』と言ってくれて。やっぱり下からいくのは大事ですね」

そして、インタビューの最後に訊いた「フジロックは澤部さん親子にとってどんな存在ですか?」の問いには次のとおり、即答でした。

「2年連続で行った段階で、フジロックは我が家のライフワークにもうなってます。上の子は『フジロック、いつ?』って言ってますし。ただ、第三子が生まれたのでパターンが変わるかもしれませんね。例えば、上の子だけをパパが連れて行くパターンとか。そこは奥さんと相談ですけど、子どもの中ではすでに“年に一度の楽しいこと”っていう感じにはなっているので今後もそうしていければと思っています」

photo by 大石隼土
text by 早乙女‘dorami’ゆうこ

こどもフジロックFacebook>では、フジロックに子連れで参加する人にとって役立つ情報の収集、発信、シェアを呼びかけ、皆で助け合い、子どもも大人もフジロックを思いっきり楽しもうという想いが活動のベースにあります。<こどもフジロックFacebook>では、役立ち情報のシェアを呼びかけています。子連れで不安に感じていることなどを、子連れ参加経験のある方は体験談をシェアしてください。