毎回様々なゲストに登場してもらい、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>の魅力/思い出/体験談について語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回登場するのは、2021年の<フジロック>に特別編成のMETAFIVE(砂原良徳×LEO今井)として出演したLEO今井。

その<フジロック>のライブ以降、2022年春より、同じメンバーで新しいバンドTESTSETとして始動。今年7月にファーストアルバムのリリースが予定されている。

自身では4回目の出演となるLEO今井。その4回とも、すべて違うバンドでの出演だ。高校時代に体験した97年、初回の<フジロック>。そしてミュージシャンとしてステージに立つことで実感した<フジロック>。そしてTESTSETとして現在進行形のロックを示す。

Interview:LEO今井(TESTSET)

0515_LEO-imai_01 TESTSETが提示する削ぎ落とされたロック #fujirock

ロンドン時代の音楽の目覚め

──小学生の頃はロンドンで暮らしていたとのことですが、当時はどんな音楽を聞いていたのですか。

小学生の頃って、音楽に対して熱意も知識もそんなにあったわけじゃなかったんですね。ロクセット、MCハマー、UB40。それからビートルズやジョン・レノン。そんなアーティストたちの音源をカセットで聞いていました。13歳くらいのときに、私が通っていた学校に転校生がやってきたんです。彼にはお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんから音楽の影響を受けていた。彼がアリス・イン・チェインズをはじめ、ロックと呼ばれる音楽をたっぷり聞かせてくれて、ロックにどっぷりはまっていったんです。

──そして歌いはじめるようになったのですか。

大学時代に、友人とユニットを組んで曲作りをはじめたんですね。でも当時の私はドラムをやりたくて、メンバー募集をしてボーカリストを探していたんです。ふたりくらい試して、すごく良かったんだけど、その子たちとは見ている方向性などが違っていて。それで、自分で歌ったほうが早いなって思ったのがきっかけでした。

──それは日本ではなくて?

ロンドンです。19歳か20歳の頃のことです。

──ロンドンには何歳から何歳までいたのですか。

5歳から14歳くらいですね。その後日本に来て、大学でまたロンドンに行って18歳から26歳までいました。

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高校生で行った97年の<フジロック>

──LEOさんにとって、<フジロック>はどんな存在ですか。

じつは97年の第1回目に行っているんですよ。高校生の頃でした。しかも今、LEO IMAIで一緒にやっているベースのシゲクニら、何人かの友人たちと行って。97年の<フジロック>は、みなさんが語り継いでいるように大カオスでした。それがいい思い出になっています。もちろん辛かった部分もありますけど、高校時代に友人たちとあそこに行けたっていうこと自体が楽しかったんですね。だから<フジロック>は、自分にとっては特別な場所なんです。

──高校生だったLEOさんにとって、<フジロック>のどんなところに魅力を感じ、惹かれていったのですか。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、フーファイターズ……。そんなアーティストたちのライブが同じ日に見ることができるんですから。シゲクニはレッド・ホット・チリ・ペッパーズが一番で、他にはエイフェックス・ツインやプロディジーも好きでしたね。

──高校生にとってはチケット代が高かったんじゃないですか。

確かバイトしてお金ためて。高校生にとっては、かなり決意のいる遠足だったのかもしれません(笑)。

──どうやって会場まで行ったのか覚えていますか。

電車で向かって、大月で乗り換えて。そこからどうやって行ったのかな。シャトルバスだったかタクシーだったか、記憶にないですね。テントを持って行ったんですね。エントランスから離れた森の中にテントを張ったんだけど、そのテントはすぐに使い物にならなくなって。雨具をはじめ、他には準備らしいものは何もしていなかったですね。アーティストエリアのようなところに避難して、そこで一晩を過ごして。早朝に2日目がキャンセルになったっていうことを知って、しょうがないから帰るかってみんなで話して……。でもがっかりしたっていう記憶はないですね。

──高校生にとっては、夏の冒険のような体験だったのかもしれないですね。

日本のフェスティバルといえば<フジロック>みたいな感覚が、そのときに芽生えたのかもしれないですね。だからずっと憧れというか、そこのステージに立ちたいという気持ちを持っていました。

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毎回違うバンドでの出演

──LEOさんのはじめての<フジロック>は2011年のKIMONOSでした。

<フジロック>のステージに立ってライブができて、かなりうれしかったです。そしてかなり舞い上がってしまいました。

──その初出演ではどんなことを覚えていますか。

最後にオーディエンスに向かってステージにあったペットボトルを投げたことを覚えています。しかもそのペットボトル、水でいっぱいだったんですよね。誰かにぶち当たってしまって。

──そのペットボトルが当たったお客さんにとっても、いい思い出になっていると思いますが。

投げた後に水がいっぱいだって気づいたんですね。それだけハイになっていた。他では、そんな経験はあまりないですから。

──そして今年はTESTSETで出演します。

<フジロック>に出るのは、今年で4回目なんですね。KIMONOS、LEO IMAI、前回がMETAFIVE、そして今回がTESTSET。毎回違うバンドなんです。一回も同じバンドで出たことがないって、なんか自分でも変な感じですよ(笑)。前回の2021年はMETAFIVEの緊急編成でした。その緊急編成と今年は同じメンバーではあるんだけど、状況が違うし、やる曲も違う。TESTSETという新たなバンドでのライブになりますから、TESTSETらしい表現ができればと思っています。

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──前回は緊急編成ということもあり、セットリストも含め、それまでのMETAFIVEのライブとはかなり違ったものになったのではないですか。

いろいろ工夫しましたね。トラックも工夫したし。編成が違うわけですから、同じ曲でも違う響き方をしていたんじゃないかと思います。より削ぎ落とされて、ミニマルな感じになっていたと思います。私には、よりロックバンドっぽく感じていました。

──LEOさんにとって、TESTSETはどんな存在になっていますか。

砂原(良徳)さんと私のやりたいことが合致したんですね。だから続けようと。みなさんからは意外に感じられるかもしれないけど、砂原さんと私のカチッと一致したものが今は生み出されていると思います。

──それはMETAFIVE緊急編成から進化した何かが、自分たちでも感じられているということなのですか。

METAFIVEは6人編成でしたから、やらなければならないことが分担されていた。今は一人一人の負担がより大きくなっているということは実感しています。音数が必然的に少なくなって、一人一人の個が立つ。2021年の<フジロック>よりもさらに削ぎ落とされていると思います。そういう意味では、よりトラディショナルなロックバンドになっている感覚があります。

──バンドとしての一体感も生まれている?

みんなが持っている強みとか引き出しを、まだ探っている最中ではあると思うんです。けれど、曲を作ってライブを重ねれば重ねるほど、だんだんわかってくる。TESTSETでは未知な部分が多いので、とにかくいろんなことが今は楽しみなんです。

──<フジロック>ではどんなライブにしたいと思っていますか。

今、TESTSETのアルバムを作っています。バンドとしての一体感を追求したサウンドになっています。<フジロック>ではそのアルバムに収録されている新しい曲をメインにしたセットリストになります。TESTSETが持つソウルが伝わればいいなと思っています。砂原さんも、すごい魂を込めている。曲は冷んやりとした質感かもしれないけど、込めている思いはみんな熱い。白根(賢一)さんも永井(聖一)くんも。

──今年の<フジロック>ではどのアーティストを見たいですか。

やっぱりフー・ファイターズですね。97年もラインナップされていましたし、個人的にはすごいファンですから。97年のフー・ファイターズを見て、自分の何かが変わった。それまではあまり気にしていたアーティストではなかったんですけど、ライブを見て一気に興味がわいたんです。それ以降も何回かライブを見ていますけど、今年はどんなライブを見せてくれるのか。他にはアラニス・モリセットも見たいですね。私は、新しいアーティストをあまり知らないんですよ(笑)。

──最後にメッセージをいただけますか。

<フジロック>を存分に楽しんで欲しい。そしてTESTSETのステージをぜひ見に来てください。たくさんの選択肢があるなかで、TESTSETのステージを見に来てください。それが私からのメッセージです。

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Text&Interview by 菊地崇(Festival Echo/フェスおじさん)
Photo by 須古恵

INFORMATION

0515_LEO-imai_06-2 TESTSETが提示する削ぎ落とされたロック #fujirock

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