毎回さまざまなゲストが登場し、<フジロック・フェスティバル(以下、フジロック)>の魅力や体験談を語ってもらう「TALKING ABOUT FUJI ROCK」。今回は、2025年に初出演を果たす2人組バンド・離婚伝説松田歩(ボーカル)と別府純(ギター)が登場する。

今年4月にリリースした新曲「紫陽花」がドラマの主題歌に起用され、さらなる注目を集めるなか、初めて立つ苗場のステージでふたりはどんな景色を描こうとしているのか。<フジロック>への憧れから、野外フェスでの演奏、そして音楽との向き合い方まで、じっくりと話を聞いた。

Interview:離婚伝説

TARU-6-Edit-2 憧れのフジロック。離婚伝説が“自然体”でたどり着いた現在地 #fujirock

〈フジロック〉初出演。観る側から、立つ側へ

──<フジロック>出演が決まったとき、まずどんな気持ちでした?

松田歩(Vo): 「嬉しい!」という感じでしたね。ほんとに、素直に。

別府純(Gt): そうですね、もう「よっしゃー!」って(笑)。

松田:<フジロック>にはまだ一度もお客さんとしても行ったことはないんですけど、音楽を始める前からずっと憧れていたフェスだったし、その気持ちは今も変わっていないので、本当に光栄だなと思いました。

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別府:僕も同じで、行ったことはないんです。でも、楽器を始めたきっかけがレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)とレディオヘッド(Radiohead)の存在が大きくて、彼らが<フジロック>に出たときのライブ映像は今でも鮮明に思い出せるぐらいに記憶に残っています。それが今、自分が出る側になるって考えると、なんだか不思議な感覚ですね。

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──個人的に楽しみにしているアクトはありますか?

松田:僕はカトリエル&パコ・アモロソ(CA7RIEL & Paco Amoroso)ですね。音楽も最高だし、僕たちと同じ2人組っていうのもあって、「どういうパフォーマンスをしてくれるのかな」と、純粋に気になります。

別府:全員観たいくらいですけどね(笑)。その中でも、あえて挙げるなら……ジェイムス・ブレイク(JAMES BLAKE)かな。2014年ごろ、新木場のSTUDIO COASTでライブを観たことがあるんですけど、それがもう人生で五本の指に入るくらい素晴らしかった。音圧もすごくて、ライブハウスが揺れてるんじゃないかってくらい低音が響いていて。クラブとか行ったことなかったので、ああいう体験自体が初めてだったのもあり、すごく印象に残っています。

松田:バーミングタイガー(Balming Tiger)も気になりますね。離婚伝説の映像作品まわりを活動初期から撮ってくれているstacksのスタッフがずっと推していて。近い所だとjo0jiも出るしね。

別府:そうだね。あとmei eharaさんのバンドには、「愛が一層メロウ」でベースを弾いてくれたCoffさんが参加しているので、久々に会えたら嬉しいなと思っています。

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松田:君島大空さんやSTUTSさんも、以前番組でご一緒したことがあるので苗場で観られるのは楽しみ。

別府:ニューダッド(NewDad)も観たいなあ。

松田: うんうん、いいよね。

別府: でも……どう考えても、全部は観られないよね(笑)。

「愛にあふれたライブを届けます」

──直近の活動についてもお聞かせください。新曲「紫陽花」がテレビドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』の主題歌に起用されましたが、書き下ろしという点で、普段とは制作の仕方など違いはありましたか?

別府: やはりタイアップならではの制作というか。ドラマという作品が軸にあり、その物語にどれくらい寄り添うか……そのバランスがすごく難しくて。でも、そこがまた楽しい部分でもありましたね。

松田:原作や台本も読ませていただいて、作品の空気をなるべく自分たちの中に取り込んだ上で、「自分たちとして何を届けたいか」をじっくり考えて作りました。最終的には、自分たちなりに伝えたいことがちゃんと形にできたんじゃないかなと思います。

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──完成した楽曲がテレビで実際に流れたとき、どんな気持ちでしたか?

松田: いやー、ドキドキしましたね(笑)。ドラマで自分たちの曲が流れるのは今回が初めてだったので、本当に特別な気持ちでした。リアルタイムで観ていたんですけど、なんか恥ずかしくて……片耳でそっと聴いてました(笑)。でも、仕上がりはほんとうに最高だったと思います。

──2025年も、もうすぐ折り返し地点が見えてきました。ここまでの活動を振り返って、どんなふうに感じていますか?

松田: 振り返ってみると、あっという間のような気もするし、ものすごく長かったような気もする……なんだか不思議な感覚なんですよね。どちらにしても、人生の中でいちばん濃い時間を過ごせているんじゃないかなと。

別府:うん、ほんとそうだね。

松田: これからも、こういう時間がずっと続いていけばいいなって。素直にそう感じます。

──次に向けて、「こんなアルバムを作りたい」「こういう展開をしてみたい」といったイメージは、いまおふたりの中にありますか?

松田:まだ全然(笑)。ほんとはテーマを決めて、コンセプトアルバムを作るようなこともやってみたい気持ちもあるし、そういう時期がくれば、やるかもしれないですね。でも今は、その時々の気持ちを大事にしながら、自然体で作っていく感覚が強いです。

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──海外への発信や展開については、今どんなふうに考えていますか?

松田: 海外……難しいですね(笑)。正直なところ、あんまりちゃんと考えたことがないんです。これまでも、海外に向けて何かを仕掛けようっていう意識はそんなに強くなくて。でも、たまたま海外で演奏する機会があって、特に台湾でのライブは現地の方たちがすごく盛り上がってくれて、本当に驚きました。

別府: あれは野外の会場だったんですけど、多分、今までの活動の中でいちばん大きな規模のライブだったと思います。

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松田: 一緒に歌ってくれたりもして、「どうやって僕たちのことを知ってくれたんだろう?」と純粋に思いましたし、「ああ、やっぱり音楽ってすごいな」と、あらためて感じました。だから、もし自然な流れで海外にも届いていくなら、それは本当に嬉しいことですね。

別府: 今って、聴こうと思えば、どこにいても音楽を聴ける時代じゃないですか。だから、無理に海外向けを意識する必要もないのかなと。まずは、自分たちらしく、ちゃんと地に足をつけて活動を続けていけたらと思っています。

──最後に、<フジロック>で離婚伝説のライブを初めて観るという方、そして出演を楽しみにしている読者の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。

松田: 愛にあふれたライブを届けます。

別府: 「苗場で会おう!」って、ぜひ書いておいてください(笑)。

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Photo by Kana Tarumi
text&interview by Takanori Kuroda

RELEASE INFORMATION

2025年7月23日発売
離婚伝説『離婚伝説』

インディーズ時代にリリースした1stAL「離婚伝説」を第17回CDショップ大賞<青>大賞受賞を記念して再リリース。既存の収録曲に1曲を追加し、初回盤には「1st ONEMAN LIVE 愛が一層メロウ -Love is more Mellow- @ZeppShinjuku(TOKYO)2024.03.23」を収録。離婚伝説にとって初のライブ映像作品を収録となる。
初回生産限定盤 【CD+BD】¥5,500 (税込) /通常盤 【CD】¥3,300 (税込)

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