フジロックまで、あと2週間。毎日育児に、仕事に、野暮用に追われていても、フジロック参加を励みにして頑張る人にとっては、本番を楽しむためにこなしておかなければならないことに手一杯で、なかなか準備に取りかかれない人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

昨年のコラムでは「こどもフジロック 〜準備を楽しもう。ゆとりと道具編〜」と題して子どもと一緒にフジロックを楽しむための‘最低限していきたい準備’」をご紹介しましたが、当時の私は子連れフジロックを未経験でしたので、周囲の経験者の言葉を基に、想像を膨らませて記事を書きました。

今回は、昨年初めて子連れフジロックを経験して感じたことや気づいたことを「道具」と「マインド」に特化して省みながら、2年目となる今年の参加に向けて準備する一児(2歳8ヶ月)の母の準備レポートを綴ります。

1.準備するもの〜親側の心の余裕〜

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実際に経験してみて、道具ももちろん大切ですが、親である私の心の有り方が一番重要なポイントだと痛感しました。

昨年の本番後の子連れレポートでも触れていますが、参加する前に抱いていた不安や心配のほとんどは取り越し苦労なものばかりで、母の心配をよそに当時1歳8ヶ月の息子は会場到着直後から、それまで見たことのなかった山の斜面を愛し、ひたすら登っては転がり落ちるという遊びを始め、会期中お腹が空いた以外は愚図ることもなく、様々な「初めて見るもの」を見逃すまいと目を見開いてじっと観察していました。そして、山を下り、普段の生活に戻ってからは、フジロックで見たものを気にした行動が随所で見られました。

例えば、前夜祭の打ち上げ花火。会場では見ているのか見ていないのかよく分かりませんでしたが、テレビやスーパーの広告などで花火を目にするたびに「ドーン!ドーン!」と嬉しそうな声を発していました。彼の気持ちは彼にしかわかりませんが、花火を見るたびにフジロックで感じた音や美しさが蘇っているのかもしれません。

それから、楽器です。ギターやピアノ、ドラムなど、楽器を演奏する音や風景を目または耳にすると、手を止めてじっと見つめるようになりました。そうこうして自分の持つおもちゃの楽器を激しく打ち鳴らしていた彼も、1年後の今では通っている園にある本物のピアノで歌いながら弾き語る(風な)姿も見せてくれます。いやはや、驚きです。

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そうした実体験からは、それまでに見えなかった息子のできる力がたくさん見えるようになり、親なら当然と思ってしていた自分の手出しが彼の可能性を広げる邪魔をしていたことに気づけたことが親として何よりの収穫でした。

こうして昨年のフジロックを境に意識できるようになった「子どもを優先に」と「子どもを見守る」を念頭に置くことを身につけるために、これまでの1年間挑戦し続けているある種の我慢大会を自分の心の中で今年も密やかに挑戦し、息子の新たな面を発見できればと願っています。

それから、子どもが小さいと自分たちのことで手一杯になってしまいがちですが、他の来場者たちと共に楽しむためにも今一度「気持ちよくフェスティバルを楽しんで頂くためにを読むとフジロック本体の在り方を改めて観察できるのでお薦めです。

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