21回目のフジロックが幕を閉じてから1ヶ月が経ちました。まもなく夏も終わろうとしている今、たった1ヶ月前のことであるはずなのに、あの時間とあの空間からはひどく遠い彼方に来てしまったような感覚に見舞われています。毎年のことながら、極上の時間を過ごすことができた祭りの後での日常生活への回帰はとても難しく、何回経験しても慣れるものではありません。
今年は土曜日の公演を含むチケットがすべて完売、延べ125,000人(前夜祭15,000人、7月28日(金)32,000人、7月29日(土)40,000人、7月30日(日)38,000人)が来場し、最終日には来年の開催もめでたく発表されました。
こどもフジロック瓦版連載最終回は、昨年に引き続き、息子(2歳8ヶ月)を連れてフジロックに参加した母ライターの体験レポート「フジロック本番。2歳児との過ごし方」をドキュメンタリータッチでお届けします。1年後に苗場へ帰ること、または来年初参加を考えている人の参考になれば幸いです。
昨夏、不安とベビーグッズを山ほど抱えて子連れフジロックを初めて体験した時、息子・ドラゴンは生後1歳8ヶ月。(2016年当時のレポートは「〜フジロック本番。1歳児との過ごし方〜」にてご覧いただけます)
あれから1年経った2017年夏、【こどもフジロック】プロジェクト・2年目を体験するべく、今年も親孫子3世代で苗場に乗り込みました。家族構成は次の通り。
①長男・ドラゴン(2歳8ヶ月/フジロック歴:2回目(2016〜))
②母(兼ライター/フジロック歴:1回目から16回参加(1997〜))
③祖母・ファルコン(67歳/フジロック歴:2回目(2016〜))
昨年同様、自分一人で息子の面倒を見ながらの参加、及びライター業務の同時遂行は難しいと考え、実母・ファルコンに今年もフジロックへの出動要請をしました。
昨年の経験上、子連れフジロックを無理なく遂行するための最重要条件が大人2人体制を組んで臨めることでしたから、1年の予定をなんとなく見据える正月という割と早い段階でお願いをしました。すると、快諾とは言わないまでも依頼を予期していた様子で「いいわよ」とひとつ返事でOKをもらえたため、安心して本番を迎えることができました。
では、開催中の出来事を日ごとに振り返ってまいりましょう。
■7月26日(水)前夜祭前日
○朝
実家へ移動し、持ち物の最終チェックをファルコンとしていると、エアバギー用のレインカバー、空気入れ、モスキートネットなど、アクセサリー類を全て自宅に忘れてきたことに気づく。ネットで探すも純正品は売り切れ状態で、付近の子ども用品を取り扱う店に片っ端から電話して問い合わせるも在庫ゼロ。焦った私に救いの手をさしのべてくれたのは西松屋の店員さんだった!
純正のようにピタっとはならないものの代用品として使えそうだと確認できた時の安堵感は途轍もなく大きく、親身になって寄り添ってくれた店員さんは天使でしかなかった。その後の本番では雨続きだったため、子育て応援西松屋の品揃えと店員さんの心意気に深く感謝した。
○昼
荷物をすべて車に積み込んで、最後に息子・ドラゴンをチャイルドシートへ。それを見た祖母・ファルコンは「去年よりもだいぶ荷物が減ったわね」と言い、母である筆者も「少なくて良かったよねえ」と朗らかに会話してから出発した。
しかし、改めて写真で見てみると物量は明らかに多い。それを「少ない」と言っていたあたり、昨年心配しすぎて子ども用品を持ち込み過ぎたために捉え方が麻痺していたのだろう。
○夕方
苗場に到着。バギーは子どもを運ぶだけではなく荷物の運搬に役立つ最強ツールでもあることが判明。2歳のドラゴンでもスイスイ運べたため、面白がって手伝ってくれた。昨年まではバギーに寝転んでいた彼が今年は人手としてカウントできてしまえていることに驚き、1年という月日は赤ちゃんを子どもに成長させるのだなあとしみじみ思った。
そしてもうひとつ、1年前とは異なることがあった。昨年までの会場へ向かう車中では、筆者、または同行する友人らの好きな、その年のフジロックに出演するアーティストの音源を爆音で鳴らして気分を高めながら来場していたものだったが、今年は言葉を話せるようになり、より自己主張が明確にできるようになった進化したドラゴンによる「ケロポンズ〜! エビカニ〜!」というリクエストが繰り返され、少しでも変えようものなら文句を言われ、結局、約3時間の道中をほぼケロポンズ・オンリーで会場入りしたのも新鮮だった。
■7月27日(木)前夜祭
○朝
準備最終日、キッズランド・スタッフの朝礼に参加。一年ぶりの再会に笑顔が多く生まれていたが、ドラゴンは昨年のことをどうも覚えていない様子だった。
挨拶もそこそこに、最終準備が開始され、子どもたちも駄菓子屋の準備を率先してお手伝いしている。(のをドラゴンは眺めていた)
客入れ前、森から虫を追い出すために煙で燻すのも子どもたちの役目。一番大きな子で10歳、慣れた手つきで作業する輪に2歳の新人も興味深そうに入っていき、見よう見まねで火を起こしていく。
たくさん働いた子どもたちの最後の大役は、最終点検という名の遊具チェックだ。昨年は歩くのがやっとだったドラゴンは母とファルコンがハラハラするのをよそに、果敢に攻めの姿勢で大きな子どもたちの背中を追っていた。
本部では、ギターやウクレレを演奏するスタッフの姿。テントや乳幼児用の遊具もどんどん準備されていった。
○夜
役に立ったかどうかはわからないものの、準備に参加した後はしっかり昼寝をしてから前夜祭に参加。例年以上の人の多さに花火まで待つか断念しかけたものの、昨年この地で初めて見た花火をドラゴンにまた見せたかったので、花火を楽しんですぐに退散した。昨年はぼーっと見ていたドラゴンだったが、今年は「ワー! ドーン!」と声をあげて拍手をして楽しんでいた。
その後、こどもフジロックで紹介した場外のお店「ゴーバル」のソーセージと、湘南シラス丼をモリモリ食べて宿で就寝。